(『ニュートン 2014年7月号』から抜粋)
木星は、太陽系で最大の惑星で、淡いリングを持っている。
小さなコアを持ち、その周囲を金属状態の水素が覆い、さらにその周囲を水素ガスが覆っていると考えられている。
木星の謎の1つは、『コアが非常に小さい、もしくはコアが無い』と思われる事である。
通常は、星が成長して大きくなるにはコアが不可欠である。
コアを必要とせずに巨大なガス星になった方法として、「重力不安定モデル」という説が提唱されている。
これは、「木星の基になったガスが、自分の重力で収縮して、周囲のガスを取り込んで一気に木星になった」という説である。
(2014年10月25日に作成)
(『惑星地質学』東京大学出版会から抜粋)
木星は、太陽系で最大の惑星で、質量は地球の318倍もある。
(ただし、太陽の質量に対すると0.1%にすぎない)
中心にはおそらく地球質量の10~15倍の岩石からなる核を持ち、それを厚い水素の層が覆っている。
内部の水素層は、高い圧力のために金属化していると考えられる。
大気層は、水素やヘリウムを主成分とし、メタンやアンモニアを含んでいる。
大気の流れで生まれる巨大な渦は、地球の望遠鏡からも見える。
質量のほとんどがガス成分のため、土星と共に「ガス惑星」と呼ばれる。
木星は多数の衛星を持ち、63個(2007年9月時点)も発見されている。
サイズの大きい4つ(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は、「ガリレオ衛星」と呼ばれている。
ガリレオ・ガリレイが見つけたからだ。
ガリレオ衛星は、木星から40~200万kmの距離にある。
その内側には、いびつな形をした4つの小衛星がいる。
木星には、環がある。
1979年にボイジャー1号が見つけた。
環は微粒子からできていて、数cm~10cmの氷粒子から成る土星の環とは大きく異なる。
3つの層(メイン・リング、ハロー、希薄リング)に分かれていて、メインリングは幅6000kmで厚さは数十km。
ハローは、メインリングに重なるように上下に広がる薄い環で、ドーナツ状をしており厚さは5万kmにも及ぶ。
希薄リングは、木星半径の約3倍の軌道まで広がっている。
環の主成分はケイ酸塩あるいは炭素質化合物。
本来ならば微粒子なので木星に落ちてしまうが、衛星の重力作用で環が維持されているらしい。
メインリングは、衛星アドラステアとメティスの軌道に挟まれている。
ガリレオ衛星は、木星に近い順にイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストで、双眼鏡でも見えるほどに大きい。
小さな惑星に匹敵するサイズである。
4つ共に、軌道面と公転方向は木星の赤道面と自転方向にほぼ一致し、地球の月と同様に木星にいつも同じ面を向けている。
1979年にボイジャー探査機が木星に接近した際、ガリレオ衛星も撮影されて、イオの活火山、エウロパの筋模様、ガニメデの明暗二分性と、想像を超えた個性が明らかになった。
これにより調査ターゲットになり、1995年から8年間にわたってガリレオ探査機が調査を行った。
その結果、様々な情報が入手できた。
ガリレオ衛星の重要性は、4つの衛星が様々な個性をもち、多彩な表層状態・地質活動が見られることに尽きる。
個性がどのように形作られたかを探っていけば、天体の理解が深まる。
ガリレオ衛星は内部も大きな違いがあり、イオは岩石のみから出来ており、エウロパは9割が岩石で1割が氷成分、ガニメデとカリストは半分が氷成分である。
内側を回るものほど氷成分が少ないが、これは潮汐加熱の影響が大きい。
潮汐加熱とは、衛星の軌道が円からずれている場合に、母惑星からの潮汐力が刻々と変化することで、衛星が揉まれて加熱される作用をいう。
(2016年10月24日に作成)