(以下は『毎日新聞2012年8月20日』から抜粋)
火星において、NASAのキュリオシティーの探査が始まった。
火星は気圧が地球の100分の1で、水が氷か水蒸気でしか存在できない。
2008年に地下で氷が見つかった。
かつては地球のような水の惑星だったと推察される。
(以下は『Newton 2021年8月号』から抜粋)
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」の装置「MOXIE」は、二酸化炭素から酸素をつくり出す装置だ。
これは、トースター・サイズの大きさで、取り込んだ火星の大気を800℃まで加熱して、ニッケル合金の触媒と反応させて、二酸化炭素を酸素と一酸化炭素に分解する。
補足すると、火星の大気は二酸化炭素が多い。
「MOXIE」を使って、5gの酸素をつくって貯めるのに成功した。
これは人が10分間の呼吸ができる量だ。
「MOXIE」は、1時間で最大10gの酸素をつくれるという。
NASAの探査機「インサイト」は、15ヵ月の間に数百回もの「火星の地震」を観測している。
地震の原因は不明だ。
月でも地震が観測されていて、アポロ計画では5ヵ所に月震計が置かれ、月の深い場所を震源とする揺れを観測した。
中国は、2011年にロシアのロケットに相乗りする形で、ロシアの探査機と共に「蛍火1号」で火星を目指した。
しかしロケットのトラブルで失敗に終わった。
中国は2020年7月に「天問1号」を打ち上げて、2021年2月に火星の周回軌道に入った。
天問1号には、火星に着陸する機体が積んであり、着陸機は軟着陸に成功した。
これまで火星に軟着陸させたのは、アメリカとソ連だけであった。
着陸機には、探査用の車「祝融号」が積んであり、無事に火星の表面に降り立った。
祝融号は240kgの六輪車で、最高速度は時速200mだ。
NASAの探査車のように原子力電池は積まず、4枚のソーラー・パネルで電力を得る。
カメラやレーダーなど6個の観測機器を搭載しており、天問1号と連携して探査を行う。
(土壌などの)サンプル取得の機能は付いていない。
なお、祝融号の降り立ったユートピア平原は、NASAの探査で地下に豊富な水の氷があると確認されている所だ。
かつてのソ連の3機の火星探査機は、いずれも短時間で交信不能になった。
だから中国の祝融号による火星表面の探査は、アメリカに次いで世界で2番目となる。
中国は「嫦娥計画」で、2020年に月への軟着陸に成功し、サンプルを持ち帰るのにも成功した。
また、人の宇宙飛行を目的とした「神舟計画」もスタートさせていて、2016年までに10名を超える宇宙飛行士を地球の周回軌道へ送り出している。
さらに2021年には中国版の宇宙ステーションである「天和」が、地球の周回軌道に打ち上げられた。
中国の宇宙技術は、すでに世界屈指である。
(以上は2022年5月2日に作成。8月4日に加筆)