(『Newton 2021年8月号』から抜粋)
宇宙飛行士の多くは、吐き気や頭痛といった「宇宙酔い」を経験する。
これは、平衡感覚などが無重力になって狂うためと考えられている。
無重力の中で生活していると、筋肉や骨がおとろえてしまう。
無重力の状態で運動をしないと、10日で筋肉量が2割も減るという。
そのため宇宙飛行士たちは、筋トレや薬で対策している。
他にも無重力だと、眼球が変形して視力が下がることもある。
ちなみに地球人の宇宙空間での最長滞在は、ロシアのヴァレリー・ポリャコフの宇宙ステーション滞在を使った437日である。
ちなみに国際宇宙ステーションに行く者は、感染症を持ち込まないように、出発前に2週間の隔離生活を送る。
新型コロナウイルスの登場後は、4週間の隔離期間に伸びた。
地球人が宇宙空間に放り出されると、酸素が無いため10秒ほどで意識を失う。
また、身体に空気の圧力がかからないため、「減圧症」になり、窒素が気泡として出てきたり、体液が沸騰して蒸発し始める。
よく宇宙空間では凍り付くというが、宇宙空間はー150℃以下だが、空気が無いのですぐには凍り付かない。
動物実験では、30秒以下ならば身体に深刻なダメージはなかった。
しかし90秒を越えると、ほぼ死ぬ。
宇宙服は、熱の発散を防ぎ、酸素を供給する装置が付いている。
宇宙空間は、恒星などの熱源が近くにない場合は、ー270℃になる。
地球を周回する人工衛星は、太陽光が当たると表面が120℃になり、逆に日陰だとー150℃になる。
宇宙空間は空気が熱を伝えないので、太陽光が当たるかで温度が大きく変わる。
宇宙空間は、放射線量が1日あたり最大1ミリシーベルトにもなる。
これは地球上の放射線量の半年分にあたる。
被曝線量が増えた時は、地球に帰還することもあり得る。
宇宙空間はほぼ真空だが、わずかに水素などの星間ガスと呼ばれる物質が存在している。
国際航空連盟(FAI)は、地球の高度100kmを、大気圏と宇宙空間の境界と定めている。
つまり、100kmよりも上空は宇宙空間である。
ただし、アメリカ空軍やNASAは80kmよりも上空を宇宙空間としている。
「宇宙条約」は、宇宙でのルールを定めた国際法で、「宇宙の憲法」とも呼ばれている。
1966年に国連で採択された。
この条約は、宇宙での活動の自由を保障しつつ、宇宙空間や天体の領有の禁止や、平和利用の原則を定めている。
大量破壊兵器や軍事施設は禁じているが、自衛のための通常兵器の使用は禁じていない。
アメリカやロシアは、宇宙軍を持っている。
(2022年8月4日に作成)