(『Newton 2021年11月号』から抜粋)
中国の「嫦娥計画」では、これまでに1~5号と、5号の試験機(5T1号)の、合計6機が月へと送られた。
2007年の嫦娥1号と、2010年の嫦娥2号は、月面の立体地図の作成や、月面の組成分析を行った。
2013年の嫦娥3号は、雨の海への軟着陸に成功した。
月面への軟着陸は、ソ連のルナ24号以来で、37年ぶりの事であった。
嫦娥3号には、月面を移動する「玉兎号」が搭載されていて、移動しながらレーダーで月内部の観測や土壌の分析をした。
嫦娥4号は、2019年に月の裏側へ世界初で軟着陸した。
4号は玉兎2号を搭載していて、月の裏側を移動して探査した。
なお月の裏側は、地球からの電波通信が届かないため、中国はあらかじめ中継用の人工衛星「鵲橋(じゃっきょう)」を打ち上げて、月を周回させていた。
嫦娥4号が着陸したのは、月の裏側の南極にあるエイトケン盆地の、フォン・カルマン・クレーターの内である。
4号は実験用に、綿花の種やイースト菌を積んでいたが、綿花の種は『月面で発芽した』ものの、低温のため枯れてしまった。
2020年11月24日に打ち上げられた嫦娥5号は、嵐の大洋に軟着陸した。
ロボットアームと掘削用具が装備されていて、月面の砂と2mほど地中にあった岩石を採集した。
12月17日に帰還機が地球に戻り、1731グラムのサンプル(砂や石)を持ち帰った。
月からのサンプル・リターンは、ソ連のルナ24号以来で、44年ぶりだった。
なお持ち帰ったサンプルは、アメリカのアポロ計画およびソ連にルナ計画で持ち帰ったものよりも、10億年以上も若い地層のものと見られている。
余談になるが、インドもチャンドラヤーン計画を立てて、月面への着陸を試みている。
2019年のチャンドラヤーン2号は、失敗に終わった。
〇村本のコメント
中国の科学技術のレベルは、世界最高の所まで来ているようですね。
宇宙関連の技術も、アメリカやロシアに並ぶ所まで来ているのが、この記事で分かります。
例えばパソコンでも、私は中国のレノボ社のものを使い始めて1年になりますが、日本製のパソコンよりも段違いに性能が良いです。
「同じ価格帯なのに、こんなにも動作が軽いのか!」と衝撃を受けました。
残念ながら日本は、政治の分野だけでなく、もはや科学技術でも後進国に近いです。
自公政権が、大学などの研究に成果主義とかいって短期のみで結果を求めたため、まともな研究が出来ずに、どんどん日本の知的レベルが後退しています。
(2022年8月6日に作成)