(以下はウェブサイト『ハンギョレ新聞』クァク・ノピル記者の記事
「宇宙に水が初めて出現したのはいつ?」から抜粋)
水は生命の維持に欠かせない物質だ。
2025年3月12日に打ち上げられた宇宙望遠鏡「スピアエックス」は、宇宙に水がどこにどのように分布しているか把握することを主任務としている。
宇宙の水はほとんどは、ガスとほこりの雲の中の星間塵粒子の表面に氷の形で存在する。それが地球などの天体にある水の発源地だ。
では、宇宙の水がその姿を初めて現したのはいつだろうか。
これまで宇宙で発見された最も古い水は、地球から128億8千万光年離れた銀河で捉えられた水分子のシグナルだった。
宇宙が生まれてから10億年にやや及ばない時期だ。
しかし、水が初めてできた時期がいつかはまだ明らかになっていない。
英国ポーツマス大学の研究チームは、138億年前にビッグバンが起き、1億〜2億年後に最初の星が死んで水を作り出したというシミュレーション研究結果を、国際学術誌「ネイチャー天文学」に発表した。
水はこれまで考えられていたよりはるか以前、ビッグバンの1億~2億年後に作られたというのだ。
水素とヘリウム以外の重元素は、ビッグバン直後には存在しなかった。
したがって、最初の星は水素とヘリウムだけで構成されていた。
その後、星内部の核融合や寿命が尽きた星の超新星爆発の過程を通じて、酸素も登場したものと推定される。
原子番号8番の酸素は、質量が水素の16倍だ。
最初の星が寿命を全うした後、超新星爆発を起こす過程を研究チームがシミュレーションした結果、かなりの量の水が生成されることが分かった。
これは最初の銀河が形成される前のことだ。
研究チームは、大小2つのタイプの超新星モデルを使って爆発過程を追跡した。
一つは太陽の質量の13倍の核崩壊型超新星、もう一つは太陽の質量の200倍の対不安定型超新星(pair-instability supernovae)だ。
小さい星は1200万年後に超新星爆発を起こし、太陽の質量の0.05倍(地球の質量の1万7000倍)、大きい星は250万年後に超新星爆発を通じて太陽の質量の55倍(地球の質量の1800万倍)の酸素を生成した。
高温で生成されたこの酸素が、徐々に冷却され、周辺の高密度分子雲にある水素と結合して水が生成された可能性がある。
この高密度の分子雲は、重元素が豊富な星と惑星の誕生をうながす。
重元素の含有量が多いほど、中心星の周辺を回る原始惑星系円盤から岩石惑星が現れる可能性が高い。
一つ目のシミュレーションでは、超新星の爆発後3千万〜9千万年の間に太陽の質量の1億分の1〜100万分の1に該当する水が生成された。
二つ目のシミュレーションでは、300万年後に太陽の質量の0.001倍に当たる水が生成された。
この時に生成された水が、宇宙塵に保護されて苛酷な放射線環境に耐え、分解されなかったとすれば、数十億年前に岩石型惑星が作られた時、最初から水が存在したという。
シミュレーションによると、初期銀河系で作られた水の量はこんにちの10分の1程度だが、水が非常に古くから豊富に存在した可能性がある。
研究を率いたダニエル・ウェイラン博士(天体物理学)は、「今回の重要な発見は、原始超新星が最初の銀河よりも先に宇宙に水を作ったこと」とし、「したがって水は最初の銀河を構成する主要構成要素だった」と述べた。
この研究チームは最近、後続のシミュレーション研究で、最初の星が超新星爆発を起こした後、星の周辺に微惑星が形成される可能性があることを発見した。
微惑星は地球のような岩石型惑星の前駆体で、宇宙塵と氷粒子が結合した天体をいう。
太陽の質量の4分の3の小さい星が爆発した後、星から0.46~1.66天文単位(1AU=1億5千万メートル)離れた距離に原始惑星系円盤が形成され、以後その中で地球サイズの微惑星が多数現れた。
水はこんにちの太陽系より数倍少ない水準だったが、惑星が作られる高密度地域に集中していた。
研究チームは「最初の銀河が出現する前、宇宙の第1世代の星が生命誕生に必要な条件を先に作った可能性がある」と述べた。
では、地球にも最初から水があったのだろうか?
これまで有力だった説は、地球の水の相当量が地球初期に月が作られる過程で流入した、だ。
ところが米ラトガース大学の研究チームは最近、これとは異なる研究結果を発表した。地球を構成する物質は、水がほとんどない太陽系地域に由来し、したがって地球は初期から水が存在する惑星ではなかったという。
研究チームは地球の地殻と隕石で発見されるモリブデンの同位元素に対する分析をもとに、地球の水は月が形成された後、長い時間が過ぎてから小惑星の衝突などを通じて次第に流入したという。
(2025年4月3日に作成)