(以下は『毎日新聞 2012年7月5日』から抜粋)
ヒッグス粒子は、あらゆるものに質量を与えたと考えられる素粒子だ。
1960年代に提唱された「標準理論」で存在が予言された18種の素粒子のうち、唯一未発見である。
ヒッグス粒子は、素粒子に質量を誕生させる過程で重要な役割を果たしたとされ、「神の粒子」と呼ばれている。
素粒子は物質の最小単位で、顕微鏡でも見えない。
昔は原子が最小単位と信じられていたが、原子は原子核と電子に分かれていると判明した。
さらに原子核は陽子と中性子でてきていて、陽子や中性子も「クォーク」という粒からできていると分かってきた。
素粒子にはクォークとレプトンのグループがあり、それぞれ6種類の素粒子が見つかっている。
他には力を伝える素粒子もあり、重力を伝えるのは「グラビトン」、電磁気力を伝えるのは「光子」、クォーク同士をつなげる力は「グルーオン」、粒子の種類を変えるのは「ウィークボゾン」 と名付けられている。
なお素粒子の大きさはゼロとされている。実験では測れていない。
(以下は『毎日新聞 2013年2月21日』から抜粋)
ヒッグス粒子は、「あらゆるものに質量を与える役割を果たした」と考えられている素粒子だ。
素粒子は物質を構成する最小単位で、17種あるとされる。
そのうち唯一存在が確認されていないのがヒッグス粒子である。
ヒッグス粒子は1964年に、その存在を理論的に予測したピーター・ヒッグス博士にちなんで名付けられた。
そもそも宇宙は、素粒子が質量を持ったおかげで原子ができ、物質が誕生した。
宇宙は137億前に、「ビッグバン」という大爆発で生まれた。
誕生の瞬間には、質量ゼロの素粒子がばらばらに飛び回っていた。
ところが3分後には、素粒子が集まって原子核が生まれた。
40万年後には、原子が生まれた。
ヒッグス博士によると、宇宙誕生からわずか100億分の1秒後に、宇宙は膨張に伴って急激に冷えた。
その瞬間に、宇宙は「ヒッグス粒子で満たされた海」のようになり、自由に飛び回っていた素粒子は動きにくくなった。
この「動きにくさ」を、博士は「質量」と定義した。
ヒッグス粒子の実在を確認する方法は、「原子核を作っている陽子同士を、光の速度近くで正面衝突させる。するとビッグバン直後と同じような状態が再現でき、ヒッグス粒子を観測できる。」というものだ。
LHCと呼ばれる装置で、2009年から「1兆回に1回の確率」 とされるヒッグス粒子の検出を重ね、ようやくゴールが見えてきた。
ヒッグス粒子が見つかると、現代物理学を説明する「標準理論」 が完成する。
(2025年4月19、30日に作成)