(以下はサイト『TOCANA 2025年8月21日』の記事から抜粋)
2024年に天文学者たちは、太陽系の外から飛来した3番目の「恒星間天体」を発見した。
この「3I/ATLAS」と名付けられた謎の訪問者は、ただの彗星ではないのかもしれない。
ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、この物体が自ら光を放っている可能性が浮上した。
天文学者であるハーバード大学のアヴィ・ローブ教授は、「原子力を動力源とする宇宙船である」という、衝撃的な仮説を提唱した。
ローブ教授が注目したのは、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた奇妙な光景だ。
彗星は通常、太陽に近づくと核からガスやチリが噴出し、「コマ」と呼ばれる輝く大気と、太陽とは反対方向に伸びる「尾」を形成する。
だが「3I/ATLAS」は、進行方向の「前」にコマのような輝きを見せ、彗星の最大の特徴である尾が全く観測されない。
そこでローブ教授は、「この物体は、太陽光を反射しているのではなく、自ら光を放っている」との仮説を立てた。
自ら発光しているとすれば、その正体は何なのか。
ローブ教授は、2つの可能性を提示する。
①超新星爆発で生まれた放射性物質を豊富に含む珍しい破片なので、自然に放射線を放っている。
②原子力を動力源とする宇宙船であり、前面から放出されるように見えるチリは、長い恒星間航行の間に表面に蓄積した汚れが剥がれ落ちたもの。
「3I/ATLAS」には、「宇宙船説」を裏付けるような軌道の不自然さがある。
地球と木星に怪しいほど接近する軌道を取っており、ただの彗星と考えるには不自然だとローブ教授は言う。
「3I/ATLAS」は、2025年の秋に火星の目と鼻の先まで接近する予定だ。
ローブ教授はNASAに対し、火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」をこの物体に向け、直接観測を行うよう提案した。
NASA側は好意的な反応を示したという。
「HiRISE(探査機のカメラ)チームに観測を奨励したところ、好意的に応じてくれた」とローブ教授は自身のブログで報告している。
(2025年10月22日に作成)