(以下は『毎日新聞 2013年7月20日』から抜粋)
11ヵ国の国際研究チームは、ニュートリノが「ミュー型」から「電子型」に変化する現象を、実験により世界初で確認した。
ニュートリノは、ミュー型、電子型、タウ型の3種類があり、別の型に変化し続けている。
これまでミュー型から電子型への変化は、唯一、未確認だった。
国際チームは、「J-PARC」で大量のミュー型を作り、約300km離れた「スーパーカミオカンデ」へ向けて発射した。
スーパーカミオカンデは、ニュートリノが水中を通ることで出るかすかな光を検出するが、2010年1月から今年4月の間に532個のニュートリノを検出し、そのうち28個が電子型と分かった。
なおJ-PARCは、2013年5月に放射能漏れ事故を起こし、現在は停止中である。
ミュー型から電子型へのニュートリノの変化は、「ニュートリノ振動」と呼ばれ、「CP対称性の破れ」を解明する鍵になるという。
宇宙はビッグバンで誕生したとされるが、ビッグバンでは物質と反物質が同じ量生まれたとされる。
しかし物質と反物質は互いに打ち消し合うので、同じ量なら何も残らないはずだ。
この謎を解く鍵が「CP対称性の破れ」なのだ。
「CP対称性の破れ」は、物質が反物質よりもわずかに壊れにくく、そのため物質が残ったとする理論である。
この理論は、益川敏英と小林誠の研究チームが素粒子クォークのグループで説明し、2008年のノーベル賞へと導いた。
小林誠は言う。
「私たちはクォークの破れで宇宙全体の状況を説明しようとしたが、無理だった。
クォーク以外の物質でも破れが必要なのだ。」
(以上は2026年3月25日に作成)