(『ニュートン 2014年7月号』から抜粋)
天体の重力のゆがみを測定すれば、その天体の内部構造を調べられる。
ローマ大学のイエス博士らは、土星探査機カッシーニの得たデータを用いて、土星の衛星エンケラドゥスの内部を推定した。
すると、南極の氷の下30~40kmの深さに、広大な水の海が存在しているらしいと分かった。
同時に、内部がコアとマントルに分かれている事も判明したという。
すでに、南極の表面の溝から水蒸気が噴出しているのは、観測されている。
(2014年9月11日に作成)
(『惑星地質学』東京大学出版会から抜粋)
エンセラダス(エンケラドゥス)は、土星の衛星で6番目に大きなものである。
表面温度は平均75K(最高145K、最低33K)で、微量の大気が存在する。
大気の組成は、水蒸気が91%、窒素4%、二酸化炭素3.2%、メタン1.7%である。
この星はひときわ明るく見える事で知られていたが、カッシーニ探査機によって活発な氷の火山活動がある事が分かった。
衝撃的だったのは、南極付近から噴火で何かが放出されている画像だった。
噴出物は地下水の可能性がある。
噴出口のある南極部分には、虎縞模様の地溝がある。
カッシーニは、ここが周囲よりも40~90Kも温かいことを検知した。
ここの地下には熱源があり、そのため地下から水蒸気や氷が噴出しているのだろう。
すでに火星と、木星の衛星エウロパには「水が存在する」と考えられているが、エンセラダスは地下の浅い所に水が存在するらしい。
エンセラダスは、土星のEリングにいる。
Eリングは細かい氷の粒で形成されていて、以前から「エンセラダスから放出された物で出来ている」と見られていた。
観測された南極からの放出物はとても多く、1秒間に100kgも放出している。
(2017年1月2日に作成)