(以下は『毎日新聞2013年7月11日』から抜粋)
地球から、さそり座の方向で、22光年しか離れていない小さな恒星に、惑星が5~7個あると分かった。
この恒星は、太陽の3分の1の大きさで、3連星の状態になっている。
惑星のうち3個は、地球と似たタイプの星だと分かった。
この3個は、水が存在する可能性がある。
(以下は『ニュートン 2014年7月号』から抜粋)
2014年4月18日にNASAは、「地球から500光年の距離に、地球とほぼ同じ大きさの惑星『ケプラー186f』を発見した」と発表した。
ケプラー186fの直径は地球の1.1倍で、恒星との距離は太陽と地球の0.4倍だが、恒星が光の弱い赤色矮星なので「ハビタブルゾーン(生命居住が可能と考えられるエリア)」に入る。
ケプラー186fを発見したのは、「探査衛星ケプラー」である。
ケプラーは、トランジット法(惑星が恒星を横切るときに、恒星の明るさが変化する現象を捉えて惑星を見つける方法)で惑星を見つけるための探査衛星である。
田村元秀さんの話
「ケプラーはたくさんの惑星を見つけましたが、これだけはっきりとハビタブルゾーンに入っている惑星が見つかったのは初めてです。」
これまでハビタブルゾーンで見つかった惑星は、「スーパーアース」と呼ばれる、地球よりも数倍の大きさのものだった。
大きくて重い惑星では、「水が多すぎて大陸ができず、生命が居住しづらい」との説があり、地球と同規模の方が生命の存在する可能性は高いとされている。
(以上は2014年9月11日に作成)
(以下は『惑星地質学』東京大学出版会から抜粋)
近年、惑星をもつ恒星の発見が続いている。
その惑星たちの中に、どれほど生物の存在できる星があるかは興味深い問題である。
生物が存在できる(と地球人が考えている)惑星を、「ハビタブル・プラネット」という。
地球の生物は必ず液体の水を必要とするから、液体の水を基準として、それが存在できる軌道範囲を「ハビタブル・ゾーン」と呼んでいる。
ハビタブルゾーンの外側限界は惑星表面の水がすべて凍りつく条件、内側限界は水がすべて蒸発する条件だ。
従来は、地球のように水の多い惑星ほどハビタブルになりやすいと考えられてきた。
水が沢山あるほうが、蒸発したり凍ったりしにくいと思えるからだ。
だが最近の研究では、むしろ事態は逆であることが分かってきた。
というのは、水は環境を不安定化させる性質があると分かったからだ。
寒冷になって氷が惑星を覆うと、氷は白いため反射率が上がり、太陽光を吸収しづらくなる。
そのため寒冷化がさらに進む。
その反対に温暖で水蒸気が発生すると、水蒸気は強力な温室効果があるため、さらに温暖化する。
水が多いと、寒冷化や温暖化が進みやすいのだ。
水の少ない惑星のほうが、液体の水が存在できる軌道範囲は圧倒的に広い。
地球は、大量の水を表面に持つのにハビタブルな条件を満たすという、珍しい惑星である。
(以上は2016年10月27日に加筆)
(以下はウェブサイト『ハンギョレ新聞』2025年4月20日の記事
「124光年の距離の惑星に地球外生命体」から抜粋)
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測により、地球外生命体の強力な証拠とみられる物質が発見された。
英国ケンブリッジ大学の研究チームは、地球から124光年離れた星を公転する外惑星「K2-18b」の大気を観測した結果、地球において生命体の活動で生成されるジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)の存在を強く示唆する信号を発見した。
この物質は、主に海洋植物プランクトンである藻類のような微生物によって生成される。
研究チームは「2つの物質の濃度は100分の10以上と推定される」として、「これは、地球の大気での濃度に比べ数千倍高い」と言う。
この推定が正しければ、地球よりはるかに多くの生物学的活動が行われていることになる。
研究チームは、「今回の発見は、太陽系外での生物学的活動の強力な証拠であり、この惑星に微生物が豊富に存在する可能性を示唆する」と話す。
K2-18bは、2015年にNASAのケプラー宇宙望遠鏡が発見した。
その後、2016~17年にハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、大気中に水があり、惑星表面は水を液体状態に保てる温度が維持されている可能性があると推定された。
半径は地球の2.6倍、質量は約8倍である。
赤色矮星のK2-18を、ハビタブルゾーンである2300万キロメートルの距離で33日に1回公転している。
研究チームは今回の発見について、「現在の観測機器だけでも惑星から生物学的指標が検出できることを立証したという点で、大きな意味がある」と述べた。
研究を主導したニック・マドゥスダン教授は「われわれは観測宇宙生物学の時代に入った」と語った。
(以上は2025年6月27日に加筆)