(『ニュートン 2014年7月号』から抜粋)
惑星を生む現場である『原始惑星系円盤』の様子が、近年になってかなり観測できるようになってきた。
特に成果を挙げているのは、ハワイにある「すばる望遠鏡」と、チリにある「アルマ望遠鏡」である。
すばる望遠鏡は、近赤外線のカメラで、世界最高レベルの性能である。
そして、原始惑星系円盤の固体成分である「ちり」の分布を観測できる。
ちりの分布を見ると、渦巻きの様な構造を持っていると分かる。
武藤恭之によると、「原始惑星系円盤の中に惑星が存在することが原因で、渦巻きができていると考えられる」という。
アルマ望遠鏡は、赤外線よりも波長の長い「電波」をとらえる。
観測して分かったのは、「ちりは濃集している部分がある」という事である。
ちりが最も集まっている部分で、惑星が造られていると考えられる。
さらに研究を進めるには、観測の精度をもっと上げる必要がある。
アルマ望遠鏡は、現在は10auの構造までしか見分けられないが、数年後には1auまで見分けられるようになるという。
太陽と同じ位の質量の恒星が誕生している現場は、おうし座の方向で450光年にある分子雲である。
宇宙空間には、物質が周囲よりも集まっている場所がある。
このような場所では、原子どうしが結合して分子が作られる。
こうして分子が集まったエリアを、『分子雲』という。
分子雲は、地球から観測すると黒い雲のように見えるため、「暗黒星雲」とも呼ばれている。
恒星と惑星は、分子雲の中で誕生すると考えられている。
分子雲には沢山の分子があるが、地球に比べれば「すかすか」の状態である。
つまり、分子雲から恒星や惑星を作るには、物質をさらに濃集させる必要がある。
分子雲から星が作られる過程は、こう考えられている。
① まず分子雲の中に、特に分子の密度の濃いエリア(分子雲コア)ができる
② 分子雲コアは自転を始めて、中心に分子が集まり星(原始星)が作られる
(2014年9月25日、10月25日に作成)