現在(2013年7月)は、参議院選挙の期間中で、さまざまな党が政策を競っています。
政策論争のテーマの1つは、「原発をどうするか」と「震災からの復興」です。
これについて与党である自民党は、「原発の再稼動」と「国土強靭化のために、防災として建設業に200兆円をつぎ込む」という政策を打ち出しています。
私は、自民党の政策はダメだと思います。
未来に繋がる革新性や、多くの人々を将来の長きに渡って幸福にするビジョンを、感じないからです。
東日本大震災と福島原発の事故を経て、日本人は多くの事を学びました。
学んだ事は人それぞれだと思いますが、大筋において共通している事があると思います。
それを挙げれば、次のようなものではないでしょうか。
『大自然の大きな営みの前では、人間は無力であること』
『原発は絶対に安全とされていたが、それは嘘であったこと』
『原発はひとたび事故を起こすと大惨事になるので、絶対の安全がない以上、原発は人間に利益をもたらすものではないこと』
『人間の私欲を追求しすぎると、短絡的な短期的な目線になり、将来の事を考えられなくなってしまうこと』
『人々は、助け合うことが必要なこと』
『日頃からの災害への準備が大切なこと』
『長期的な展望に立って、物事を行っていくことが大切なこと』
『大自然と調和していく事が、長い目で見ると人間の利益になること』
こうした考えを国民が共有したために、「脱原発」や「再生可能エネルギーの推進」が進められてきました。
日本人は、こうした方向に進む事が、長い目で見たら幸福に繋がるのだと、震災と原発事故を経て気付いたのです。
私は、日本人の多くが選択したこの決断を、高く高く評価しています。
「日本人は、大いなる気付きをした。そして新たな道に進んだ。この人々は賢い人々なのだ。」と感動すらしました。
ところが、どうした事でしょうか。
昨年末に自民党+公明党の政権(安倍政権)が始まって、どうも流れが停滞し、へたをすると逆行する状況にすらなってきました。
安倍内閣は、自分が円安政策を実施したから電気料金が高騰しているのに、「電気代を下げるには、原発をどんどん再稼動するしかない」と言っています。
そして「日本の原発技術は、世界でも傑出しており信頼されている」と言って、大事故を起こしてから2年しか経っていないのに、海外へと日本の原発を売り込んでいく有様です。
私は、呆れてしまいました。
自民党は、「国民の安全と暮らしを守るためには、とてもとても大掛かりな防災のための公共事業が必要だ」と主張して、『国土強靭化のための200兆円もの公共事業』を推進しています。
しかし私から見れば、この計画は「自民党が長く行ってきた、土建業と癒着して無駄な公共事業を連発する悪癖」そのものです。
防災・減災という国民が反対しづらいテーマを掲げて、装いを変える事で旧体質の利権構造をごまかし、国民の反感を買わないものにしているものに思えてなりません。
防災・減災には、もともと限界があると思います。
必要最低限の対策は必要ですが、「大金をかけて対策をしたから、震災が来ても全く死者が出なくなる」という事は、不可能だと思います。
防災・減災を考えるならば、何よりも避難訓練などの日頃の1人1人の準備が大切です。
道路の強化や防波堤などは無駄ではないと思いますが、大震災が起きた時には「想定外の事態」が連発するものだし、強化したから安全とは言えないと思うのです。
ですから、効果の確定しない防災・減災用の土建事業には執着しすぎないで、思いきって未来に繋がる分野に公共事業費を振り向ける事を、私は提案したい。
道路を強化したり、建物の耐震性を増したり、防波堤やダムを造るよりも、『再生可能エネルギーなどのクリーンなエネルギーや技術に、公共投資をするのが良い』と考えます。
公共事業というものは、「未来の人々のために行うもの」だと考えています。
今の人々のための公共事業や、10年後には価値の無くなるような事への公共投資は、間違っていると思います。
「クリーンエネルギーやクリーン技術にこそ、公共投資をした方がいい」との考えは、震災と原発事故が起きるずっと前から、私は持っていました。
憶えている方も多いと思いますが、小泉政権の時代には、「公共事業は悪」との風潮がありました。
当時は、「とにかく公共事業を減らせば、国の借金は減り、日本は良くなる」との考えが、日本中に蔓延していました。
私は、それまで自民党が進めていた土建業中心(ダムなど役に立たない事業中心)の公共事業には大反対でした。
しかし、何でもかんでもとにかく公共事業を無くそうというのは、暴論だし幼稚だと感じました。
「日本が将来のために育成していく分野や、これが普及すれば日本人や世界の人々が幸福になるといった技術に投資する事は、進めた方がいい。
そういう分野への投資は、長い目で見れば利益が出て資金を回収できるし、仮に回収できなくても大勢の人の生活の向上に寄与する。」
当時、私はこのように考えていました。
そして、最も将来有望で、かつ人々の幸福に繋がる分野・技術は、『クリーン技術・クリーンエネルギー』だと考えました。
この考えを、友達など多くの人に説明したのですが、「う~ん、理屈では分かるんだけど、実現できるのかなあ」と言われるばかりでした。
今から思えば、私の主張は時代の先を行き過ぎていたのでしょう。
あれから10年。
ついに私の考えと日本の皆さんの意識が、がっちりと噛み合う時が来ました。
さあ、いよいよ核心に入ります。
震災の復興や日本の将来への投資として、大規模な公共事業を行うことには、賛成です。
ただし、今の自民党政権が行おうとしている旧態依然とした公共事業の在り方には、大反対なのです。
今こそ、日本人は覚悟を決めて、50年100年の先を見据えた、新しいかたちの公共事業をする時です。
その新しいかたちの公共事業こそが、『クリーンエネルギー・クリーン技術への投資』なのです。
私が思うに、日本人はこうした技術に、最高に向いています。
日本人が魂のレベルで強く持っている、「もったいないと考えて倹約する精神」や「自然を大切にして、自然と共生する生き方」は、『環境を破壊せずに、自然のエネルギーを活かしていく』という新しい人類の在り方に、バッチリとマッチします。
日本の持っているクリーン技術は、世界でも高く評価されています。
これを伸ばしていけば、世界をリードする国になる事すら、充分に可能だと思います。
私がクリーンエネルギー・クリーン技術にこだわるのは、単に環境のためや暮らしのためだけではありません。
実は、クリーンエネルギー・クリーン技術の普及は、平和にも大きな貢献が出来るのです。
近代史を眺めるならば、国と国との争いの背景には、いつもエネルギー問題がありました。
日本が太平洋戦争を始めたのは、アメリカと断交したためにアメリカの石油を輸入できなくなった事が大きかったのです。
最近の中東の争いも、多くはエネルギー資源の争いが本質にあります。
エネルギーを巡る争いは、「エネルギー資源が、一部のエリアに限定されて存在すること(特定の国が資源を独占していること)」から生じています。
エネルギー資源を巡る争いは、戦争に発展する事も珍しくありません。
そのため、本気で戦争を無くそうと考える人は皆、エネルギー問題をどう解決するかに、頭を悩ませてきたのです。
アメリカやロシアなどの大国は、軍事力だけではなく、エネルギー資源を武器にする事で世界を支配してきました。
大国による支配のプロセスを、具体的に説明すると、こうです。
まず、軍事力を背景にして産油国などの資源大国を脅し、エネルギー資源の採掘と流通を支配します。
そして、産油国などにはある程度の利益を分配して、「これで満足しろ。おとなしく満足するなら悪いようにはしない」と持ちかけます。
満足しない国(現在のイランやカダフィ時代のリビアなど)には、悪の国と決め付けて様々な圧力(経済制裁、要人の暗殺計画、軍事侵攻など)をかけます。
そして、弱ってきたら滅ぼすのです。
次に、独占したエネルギー資源を武器にして、日本のようなエネルギー資源に恵まれない国に、「俺に逆らうと、エネルギーが供給されなくなるぞ」と脅します。
そして、言う事を聞かせるのです。
こうした、どうしようもなくアホな事が、当然の事としてここ100年くらい行われてきました。
ここで説明した事は、今の世界の本当のあり様なのですが、書いてみて思いましたが「やくざやマフィアの世界」とほとんど変わらないですね。
こんなくそったれの現状を変えられるのが、『クリーン・エネルギー(再生可能エネルギー)』なのです!
クリーン・エネルギーというと、環境に優しいエネルギーとの印象が強いのですが、もう一つの側面として『エネルギーを誰でも何処でも得られるようになる事』があります。
この技術が普及すれば、あらゆる場所で自由に発電をできるようになり、エネルギーを確保するために生き方が縛られる事はなくなります。
現在の『資源を独占した者による支配』から、脱却できるのです。
長期的にみれば、クリーンエネルギーの普及が進む事で、誰もが簡単に手軽に安くエネルギーを手に入れられるようになり、今よりもあくせく働かずとも暮らせるようになるでしょう。
そして、エネルギー資源を独占する事で世界を支配してきた人達は、消え去るのです。
この流れは、歴史の必然(人類の進化の自然な流れ)といっていいですが、どれだけ早く実現させるかは、地球に暮らしている一人ひとりの意識と努力しだいです。
日本は、この人類全体の進化革命で、中心(リーダー)になれる力を備えています。
日本は、クリーン・エネルギー革命を主導できる潜在能力を持っています。
それを開花させて爆発させる方法が、ここで提言している「大胆な公共事業の在り方の転換」なのです。
書いているうちに、人類の進化革命という大きな話にまで発展しましたが、心ある人ならば私の言う事を理解できると思います。
エネルギー問題を創造的に解決する事は、それくらい凄い事です。
200兆円もの国費を建設業などに使うのならば、『クリーン・エネルギー(再生可能エネルギー)』に使いましょう。