アメリカにおけるプロパガンダの実例D レーガン神話
実際はダメな大統領だった

(すばらしきアメリカ帝国 から抜粋)

チョムスキー

    1980年代にアメリカは、エルサルバドルの軍事政権を支援しました。

    レーガンの任期中は、エルサルバドルは荒廃と惨事の時代でした。

    アメリカによって訓練され武器を与えられた部隊は、7万人を虐殺しました。

    アメリカのプロパガンダ活動は、レーガン崇拝に表れていますね。

    レーガン政権は、中南米の多くの国を荒廃させ、20万人が命を落とし、
    数十万人が孤児や未亡人になりました。

    しかし、これらの事実はアメリカでは知らされていません。

    ホンジュラスにアメリカ大使として赴任したジョン・ネグロポンテは、ニカラグアのコントラ
    (反政府ゲリラ)を支援する基地を運営しました。

    彼は基地で、傭兵たちの訓練を監督しました。

    ネグロポンテは、ホンジュラスの保安部隊が行っている凶悪行為について、アメリカ議会で
    虚偽の証言までしています。

    彼はホンジュラスで、世界最大のCIA支局を動かしていました。

    その後、ネグロポンテはイラク大使になり、イラク戦争後の「現地のアメリカ総督」に
    なっています。

質問者  レーガン時代の事件の1つが、グレナダへの侵略でしたね。

チョムスキー

    レーガンは、「キューバの請負業者が建設している飛行場によって、グレナダはソ連とキューバの
    足場になる」と主張しました。

    ソ連がアメリカを攻撃するための基地になる、と言うのです。

    彼は、ニカラグアについても「ニカラグア政府は、アメリカに対する途方もない脅威である」
    と言って、緊急事態を宣言しました。

質問者  レーガンは、「グレナダにいる大学生の命を救うために、グレナダに介入する」と主張しました。

チョムスキー

    アメリカ人の薬学生を保護した、と言いましたね。

    グレナダ侵略の本当の目的は、数日前にレバノンで爆破テロがあって、アメリカ海兵隊の
    240人が犠牲になり、それを覆い隠す必要があったからです。

    侵略の後に、レーガンはこう言いました。

    「我々の軍隊は再び起き上がり、堂々と立ち向かっている」

    「レーガンは人気のある大統領だった」というのは、全くの嘘です。

    彼への支持率は、並み以下でした。

    しかし神格化する大規模なプロパガンダが10年ほど続き、いくぶん成功を収めたのです。

    レーガンの国葬は、興味深かったですね。

    ニューヨーク・タイムズが指摘するとおりに、これは帝国的儀式となっていて、分刻みで
    定めた300ページの台本に従っていました。

    レーガンは、地球上に現れた最もすばらしい人に仕立て上げられ、北朝鮮の金日成のよう
    でした。

質問者  パキスタンの作家であるイクバール・アフマドの著作『テロリズム 彼らの、そして我々の』
     の表紙には、
     アフガニスタンから来たムジャヒディン(イスラム戦士)たちとホワイトハウスで
     会っているレーガン大統領の写真が使われています。

チョムスキー

    レーガン政権は、イスラム戦士を組織しました。

    できるだけ暴力的な過激派を世界中から集めて、アフガニスタンでソ連軍と戦わせたのです。

    イスラム戦士たちは、主にパキスタンの情報機関から武器を与えられていましたが、
    CIAの監督下にありました。

    アメリカの目的は、アフガニスタンを守る事ではなく、『ソ連に損害を与えること(ソ連を
    弱体化させること)』でした。

    イスラム戦士たちは、ソ連国内でのテロも行いました。

    この勢力が、後にアルカイダに変身したのです。

    実は1998年までは、アルカイダはアメリカの情報機関の報告にはほとんど出てきません。

    「アルカイダ」という言葉さえ用いていなかったのです。

    1998年のクリントン政権による「スーダン空爆」と「アフガニスタン空爆」が、
    アルカイダを創出したのです。

    とりわけスーダンの空爆は、アラブ世界全体を憤慨させました。

    医薬品と畜産用物資の製造元(工場)がターゲットになったからです。

    ドイツの大使の報告によると、空爆で数万人の犠牲者が出たそうです。

    空爆後にアルカイダ(イスラム過激派)は組織を大きくし、タリバンはそれまでは敵対的だった
    オサマ・ビンラディンとの関係を強化しました。

    この事実もまた、抹消されている歴史の1つです。

(2014.7.9.)


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