タイトルアメリカの皆さん、
銃社会を終わらせて、新しい世界に踏み出しましょう
(2012.12.24.)

先日にアメリカで、小学校での銃乱射事件が発生し、大勢の生徒が亡くなりました。

オバマ大統領はこの事件を受けて、「銃規制の法律をつくる」と発言しました。
すばらしい発言だと思います。

ぜひ実現させてほしいので、サポートする意味で、私もここで発言・提案をします。

私は前々から、「アメリカにおける銃の所持の自由は、アメリカの人々を自由にするのではなく、人々を不自由にしている。銃所持を美しい伝統だとする人がいるが、他国から見ると古い慣習を肯定するための方便に思える。」と感じてきました。

アメリカは、世界最大の武器製造国であり、世界最大の軍事力を持った国です。
武器の輸出でも世界一です。

アメリカはこの状態を背景にして、「世界の警察」を自認しています。
しかし私は、アメリカの突出した軍事力や好戦的な態度は、世界を安定させるよりも不安定にしていると思います。

アメリカは、自分に従う国を「民主的な国」、従わない国を「非民主的で独裁的な国」と決めつける悪癖があります。

「こいつは良い奴で、こいつは悪い奴」と、自分の価値観だけで断定する性質を持っています。

これは、極めて未熟な部分だと思います。

アメリカの強圧的で断定的な外交態度は、国民性による部分が大きいと思うし、その国民性の基本になっているのは、「競争に勝つ者が正しい」とか「自分の身は自分で守るもの」という狭量な考えにあると思います。

もっと『共存する』という概念が、アメリカには必要ですよ。

そろそろ、力関係や単純な価値観ですべてを判断する思考レベルから、ステップアップしてもいいのではないでしょうか。

アメリカが一皮むけて大人になるには、銃の無い社会にする事が極めて有効だと、私は考えます。

公に銃の所持を許し、銃の使用を社会に認めさせるためにメディアが暴力的な描写(銃の乱射などを描くこと)を多くする事は、完全に狂気の世界です。

銃の乱射を、1市民や警察官がするなんて、完全に変態の世界ですよ。
(こういうストーリーが、アメリカの映画やTVドラマには多いですよね)

かっこ良く描かれるから騙される人が多いのですが、冷静に見るとホラーに等しい狂気の世界です。

アメリカ映画では、一般の女性までが銃を撃つ事が多く、主人公や恋人から銃射撃の手ほどきを受けて、殺人を成し遂げた時に「よくやったね」と褒められて熱いキスを交わしたりします。

「お前ら、何を考えてるんだ? 変態なのか?」と思うし、「銃を売る会社の宣伝映画ですか?」とも思います。

こうした異常な文化は、アメリカ社会を犯罪が多発する危険な世界に陥らせています。

あまりにメディアから洗脳され続けているから分からないのでしょうけど、他の国々ではあり得ない異常かつ幼稚な文化です。

アメリカでは、「銃所持の自由が、すべての自由にダイレクトに繋がっている」という信念を持った人達が居ます。
この人達は、ほとんどが白人で、家系をさかのぼるとヨーロッパから移住してきた人達です。

この人達は、「開拓時代には銃を持つ事が当たり前であった。それは、今でも正当な権利である。銃を持ち、時には権利を守るために戦うのが、アメリカンスピリットである。」と言います。

本当にそれがアメリカン・スピリットなのでしょうか。
アメリカ史を、銃所持という視点からを見てみましょう。

アメリカ大陸がヨーロッパ人に発見されて以降、ヨーロッパからアメリカに移住する者が大量に出て、その移住者たちが開拓者としてアメリカに勢力を広げていきました。

開拓していく際には、「狩りをするために」「熊や狼から身を守るために」銃が必要でした。
開拓の最初期は、狩りをして毛皮を取るのが、一山当てる方法でした。

開拓の最初期は、原住民のインディアンとの争いはあまりなく、むしろ開拓者たちはインディアンから、アメリカに適応するための様々なノウハウを教えてもらっていました。

そのうち開拓者たちはどんどん領土を広げていき、インディアンと対立し始め、やがてインディアンと戦うようになりました。

この時から、銃を向ける対象には動物だけでなく、人間(原住民)も加わったのです。

さらに開拓者たちが勢力を拡大すると、彼らは農場を経営し始め、今度は奴隷をアフリカやアジアなどから連れてきて、使役するようになりました。

そして今度は、奴隷に言う事を聞かせるために、銃を使い始めたのです。

やがてアメリカに住む人々は、本国であるヨーロッパ諸国の言いなりになっているのに我慢できなくなり、『独立戦争』を起こします。

この時に、開拓者たちは銃を手に戦い、勝利しました。

そして、独立を勝ち取った戦士達は英雄となり、『アメリカン・スピリット』として語り継がれる事になりました。

19世紀になると、アメリカ国内の対立が激化して、『南北戦争』が起きます。
この時も、市民・農民たちは銃を持って戦いました。

この後、国内では戦争が起きていないにも関わらず、人々は銃を持ち続けています。
そうして、銃の売買はビッグビジネスとして定着しています。

アメリカ史における銃のポジションは、こんな感じです。

アメリカ人(白人たち)は、上記した歴史の流れのうち、独立戦争を過度に重視して、その一方でインディアンや奴隷に銃を向けた事を過度に軽視しています。

冷静に見つめるなら、銃の使用目的としては、「自由を獲得するため」よりも、「インディアンや奴隷に言う事を聞かせるため」の方が、はるかに多かったでしょう。

実のところ、「銃社会がアメリカの自由を守った」というのは、『銃社会が白人の既得権益を守った』というのが、正確な表現だと思います。

私は、銃社会を維持する事がアメリカの良き伝統を守る事になるとは、全く思いません。

アメリカの良き伝統(アメリカン・スピリット)とは、何でしょうか?

それは、「それぞれが勤勉に生きて、チャレンジをしていくこと」「平等な機会を重視して、貧しい者にもチャンスを与えること」「階級差別を作らず、誰でも努力すれば出世できること」「権力者におもねらず、結束して権力に立ち向かうこと」。

こういった事ではないでしょうか。

アメリカン・スピリットとは、銃が無くても維持できるものだし、むしろ本質的には武力(暴力)の対極に位置しているものです。

日本にも、かつては武士という存在がいて、刀を常に持っていました。
常に武装してたのです。

さらに戦国時代には、一般の農民までが武装して、日本人のほとんどが武器を持っている状態でした。

しかし、意識の進化が起きて、刀狩りや廃刀令などの政策が行われ、武装は完全に解かれました。

日本人は「皆が武装している状態」と「皆が武装していない状態」の両方を体験しています。
その経験から断言できますが、『武装しない方が、社会は上手く機能します』。

アメリカ人は、「世界で自分達が最も進んでおり、遅れている分野など無い」と信じているようです。

しかし、友人としてアドバイスしますが、『遅れている分野もたくさんあります』。

その最たるものが、一般人の武装解除ができていない事と、麻薬の根絶ができていない事です。

アメリカは世界のリーダーの一人なのですから、模範を示さないといけません。
リーダーとは、力を行使して言う事を聞かせる者ではなく、みんなの模範を示す者です。

世界に平和をもたらしたいなら、他所の国に「兵器開発をするな」と注文をつける前に、世界最大の武器所有国なのですから、自分がまず兵器削減をするべきです。

そうしないで他国に何かを言っても、全く説得力がありません。

逆に言えば、アメリカが銃の無い社会を実現させて、国家としても軍事費を削減したら、世界全体にもの凄い影響を与えられます。

アメリカ人が世界にできる最大の貢献は、本当はこれを行う事なんですよ。

オバマ大統領は、核兵器の無い社会や銃の無い社会など、すばらしい理念を持っているのですから、それに耳を傾けるべきです。

正直な話、オバマさんのような立派なリーダーがいて、羨ましいです。
日本にもこれくらいのリーダーが欲しいですよ。

アメリカの皆さん、せっかく良い人を大統領にしたのだから、活躍させた方がお得ですよ。

(2013.4.11.に追記)

オバマ大統領は、銃規制の法律を成立させようと頑張っていますが、上院は共和党議員が多いのでなかなか上手くいっていないですね。

そこで、少し記事を追加してみます。

ここでは、『NRA(全米ライフル協会)』について書きます。

知っている方も多いと思いますが、この団体はアメリカでも有数の圧力団体で、政界に大きな影響力を持っています。

しかし、彼らが主張している事は、めちゃくちゃです。
その事にアメリカの人々が気づかないのが、不思議でなりません。

ちゃんと頭を働かせれば、彼らの言っている事がめちゃくちゃだと分かります。

そこで、彼らの主張している事(彼らが目指している世界)について、ピックアップしてみましょう。

NRAは、こんな事を主張しています。

「いつ何時、銃を持った者が学校を襲うか分からない。
だから学校には、武装した警備員を何人も配置しよう。」

「いつ何時、自宅を銃を持った暴漢が襲ってくるか分からない。
だから銃をたくさん買って、いつも自宅に並べておこう。」

「いつ何時、銃を持った者に襲われるか分からない。
だから外出する時には、防弾チョッキを着用しよう。
できる事なら、防弾ヘルメットも着用しよう。」

「襲われた時には、銃で対抗しましょう。
そのために、定期的に射撃の訓練をしましょう。」

どうでしょうか?

NRAの描く世界が、あなた方アメリカ人が求める世界なのですか?

NRAの目指している世界(想定している世界)は、映画などで描かれることがある『社会が荒廃して、無秩序でろくに外出もできない世界』なのです。

そんな世界を創るのに加担するなんて、愚の骨頂です。

はっきり言いましょう。

NRAの言う事は、無視して下さい。
彼らは、人々の不安をあおって、金を儲けようとしているだけです。

彼らの主張している事をよく見れば、「すべてが、彼らのビジネスと絡んでいる」と見抜けます。

そもそも、彼らが想定する危機的な場面(銃所持者に襲われる場面)は、銃を社会から無くせば生まれない状況です。

日本などの多くの国では、一般人が銃を持った者に襲われるなんて、「あり得ないこと」です。
そういう社会にしていく事こそが、社会を進歩させることなのです。

アメリカは現在、銃が氾濫しているので、不安になるのは分かります。

だからといって、銃をたくさん持ったり、防弾チョッキを着たりしても、根本的な解決策にはなりません。

ぜひ頭を冷やして、その事に気付いて下さい。


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