(『世界歴史大系 アメリカ史2』から抜粋)
1931年9月に、日本は満州侵略を始めて、世界の軍縮の努力に破綻をもたらした。
ナチスドイツと日本は、アメリカ国民にとって不快なものに映っていた。
両国の態度は、ヴェルサイユ条約や国際連盟への不信感を強めてしまい、アメリカ世論の孤立主義を助長した。
そんな中、1935年にはアメリカ上院の特別委員会が、第一次世界大戦と軍需産業の関係を調査して、「戦争で最大の利益を得たのは、兵器産業である」と告発した。
彼らは、「アメリカの参戦は、資本家の策謀だった」と主張した。
ナチスドイツは、1935年3月にヴェルサイユ条約を公式に破棄して、軍事力の拡大に乗り出した。
35年春には、イタリアのエチオピア侵略の意図も明確となり、国際関係は一気に緊張した。
これに対しアメリカは、1935年8月に、すべての交戦国への武器輸出を議会が禁ずる、『中立法』を成立させた。
これは、戦争に巻き込まれるのを避けるための措置だった。
37年5月には、中立法は恒久法となり、借款も行わない事を決めた。
これは、孤立主義の傾向の頂点を示す動きだった。
(2013.7.22.)