(『世界歴史大系 アメリカ史2』から抜粋)
第二次大戦中に、50万人だったアメリカ陸軍は830万人にふくれ上がり、アメリカの総兵力は1200万人に達した。
アメリカは経済の軍事化を進めて、軍需生産の工場が政府資金で作られ、民間に貸し出された。
第二次大戦中の建設費は、総額で160億ドルである。
生産は爆発的に増えて、1940年のGDPは997億ドルだったが、45年には2119億ドルに拡大した。
決定的な要因は政府の財政拡大で、1940年の支出が95億ドルだったのに、45年には951億ドルになり、そのうち815億ドルが軍事支出だった。
政府支出のGDPに占める割合は、1945年には50%弱にまで拡大した。
支出をまかなうために、公債を出して、1350億ドルを調達した。
軍事産業は、産業として定着をし始めて、軍と軍事企業との深い関係が生まれた。
軍事企業に軍人が就職する制度も、戦時下に生まれた。
軍需の引き受け手となった鉄鋼、化学、自動車などの産業は、いずれも寡占産業であり、『軍産複合体』という構造の芽が生まれた。
第二次世界大戦に参戦した事により、アメリカでは1500万人の雇用が生まれ、失業問題は完全に払拭された。
戦争中は、好況となった。
アメリカ政府は、生産と物価を管理して、1942年からは物資の配給制を導入した。
物価の上昇は、30%以下に抑えられた。
タイヤやガソリンなどを除いては、物資の不足はなかった。
戦争景気で労働者の大半は収入が増え、大幅な超過勤務手当によって、平均で70%ほども増えた。
労働組合員は、1945年には1432万人に増加し、民主党との密接な関係を保持した。
女性労働者は1650万人に増えて、労働人口の36%を占めるに至った。
黒人も徴兵されるようになり、その数は70万人に及んだ。
彼らは、白人とは別の部隊に編入された。
「スミス・コナリー労働争議法」が1943年に成立して、戦争に必要な工場でのストライキは禁止され、組合の政治献金も違法とした。
(2013年7月25&29日に作成)