(『CIA秘録』ティム・ワイナー著から抜粋)
CIAは、1947年9月に誕生した。
47年9月27日に、ジョージ・ケナンはフォレスタル国防長官に文書を送り、「ゲリラ戦の部隊の創設」を提案した。
フォレスタルは熱烈に賛同し、この2人によって、議会など法的な手続きを経ずに活動する秘密組織がCIA内部に創られた。
(この組織が、秘密工作を担当していく)
NSC(国家安全保障会議)は1947年12月14日に、最初の秘密工作をCIAに命じた。
そして、『ソ連に対抗するための秘密の心理作戦』が実行される事になった。
CIAは、1948年4月のイタリア選挙に介入することにし、現金で買収することにした。
当時のイタリアは、共産主義が台頭していた。
この作戦は、NSCの承認の数週間前から始まり、議会には伝えられなかった。
つまり、非合法なものだった。
(※CIAが、創設当時から政府や議会を軽視して行動していた事が分かる。
秘密工作をする組織は、どこの国の組織でも、こうした傾向がある。)
この工作(イタリア選挙への介入)に参加したマーク・ワイアットは、こう回想する。
「CIAの本部では、みんな恐れていた。
我々は、綱領を踏み越えようとしていた。」
工作資金を捻出するため、フォレスタル国防長官とCIAのアレン・ダレスは、スナイダー財務長官を訪ねた。
そして、為替安定基金から流用することが決まった。
この基金は、第二次大戦中には、枢軸国から奪った金をためる受け皿になっていた。
こうして数百万ドルのカネが、イタリア政治家とバチカン組織「カトリック行動」に配られた。
現金を詰め込んだスーツケースが、四つ星のハスラー・ホテルで手渡された。
選挙では、キリスト教民主党が勝ち、共産勢力を排除した政権が樹立された。
キリスト教民主党とCIAは結びつき、CIAが現金で買収するしきたりは、25年間も続いていく。
(2015年1月20日に作成)