(『大がかりな嘘』マーク・レーン著から抜粋)
ウォーターゲート事件が明るみに出ると、リチャード・ニクソン大統領はもみ消すためにCIAに協力を求めた。
当時、ニクソンはCIAに嵌められたと思っていて、首席補佐官のH・R・ハルデマンをリチャード・ヘルムズCIA長官と会うように派遣した。
リチャード・ヘルムズは、ケネディ暗殺の時期に、CIAの計画担当副長官(非合法作戦の責任者)だった人物である。
ハルデマンは、CIAの支援を引き出すために、ケネディ暗殺の秘密を突き付けることを命じられていた。
著書『権力の終焉』にこう書いている。
「我々は、以前にCIAの協力を取り付けようとしたが、失敗していた。
1972年6月23日に再び交渉したが、またもやダメと言われた。
そこで私は、ニクソンの切り札を出した。
『もしウォーターゲート事件が暴露されたら、ピッグズ湾事件も暴露されるかもと、大統領は言っています』
室内は動揺に包まれた。
リチャード・ヘルムズCIA長官は、座っている椅子の腕を掴み、身を乗り出して怒鳴った。
『ピッグズ湾事件とこれとは何の関係もない。私はピッグズ湾事件を少しも問題にしていない!』
私は、ヘルムズの激しい反応にショックを受けた。
ニクソンがピッグズ湾について言ったことは、実はケネディ暗殺を指した暗号だったと思われる。」
H・R・ハルデマンがこの暗号を明らかにしたため、ニクソンの録音テープ(※ウォーターゲート事件の解明のため議会に提出された)を解読する手掛かりを得た。
テープで、ニクソンはこう語っている。
「ハワード・ハント(元CIA幹部で、当時はニクソンに雇われていた男。ウォーターゲート事件の実行犯となり逮捕された)は沢山の事を暴露するだろう。
かさぶたを剥がしたら、ものすごく沢山の事が明らかになるぞ。
これには亡命キューバ人たちや、ハワード・ハントや、我々には関係のないインチキ野郎が関わっている。
CIAの連中が来たら言ってやれ。そんな事になればピッグズ湾事件の全てが明るみに出て厄介なことになるぞと。」
(2018年11月26日に作成)