ハント対リバティ・ロビー裁判⑬
いよいよ正式裁判が始まる

(『大がかりな嘘』マーク・レーン著から抜粋)

1985年1月に、『ハント対リバティ・ロビー訴訟』のやり直し裁判の初日となった。

マイアミの裁判所に現れたE・ハワード・ハントは、妻を含む3人に付き添われていたが、妻以外の2人は最後まで私たちに紹介されず、誰なのか分からずじまいであった。

原告側の弁護士は、ウィリアム・スナイダーとケヴィン・ダンだ。

被告側は、弁護士の私の他に、私の助手であるブレント・ホイットモア女史、リバティ・ロビー社の代表ウィリス・カート、ヴィクター・マーチェッティの顔ぶれだ。

キホー判事が入廷して、裁判が始まった。

キホー判事は、この裁判中ずっと自分の感情や考えを現わさず、見事に自分の役割をこなした。

良くない判事は、陪審員に向かってそれとなく自分の感情をほのめかしたりする。

裁判で最初に取り上げられたのは、第一審で成立した当事者間合意の問題だった。

ハント側は「その合意は今回の裁判でも有効である」と弁論し、私たちは「もはや拘束力をもたない」と弁論した。

判事は即座に判定は下さなかったが、「合意は第一審に限定されており、このやり直し裁判には当たらない」と裁定を下した。

原告・被告の双方が陪審による評決を求めていたので、次に陪審員を選ぶ作業に入った。

私は「陪審制によって裁判の民主制を守り育てていくべきだ」との信条を持っており、もちろん賛成だった。

陪審員の候補者たちが入廷し、法廷は人で溢れた。

若者からお年寄りまでいて、半数は女性だ。黒人やキューバ移民もいた。

私は偏りのない陪審員を望んだので、候補者への予備尋問ではケネディ暗殺に関する政府発表に縛られているかを探った。

我々は人選を終え、名簿を提出した。
ハントの弁護士はかなり時間をかけて名簿を検討し、いくつかの鋭い質問を行った後、この陪審員で問題ないと言明した。

次に、双方の弁護士が冒頭陳述を行った。

原告側の主張は、「ケネディ暗殺の日にハントはワシントンに居た。ハントは愛国心に富む市民で、マーチェッティの書いた記事は虚偽である」だ。

被告側の私は、「記事の内容は本当である。その真実性を裏付けるために、複数の証人に証言してもらう」と述べた。

(2018年12月13日&14日に作成)


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