(『JFK ケネディ暗殺犯を追え』ジム・ギャリソン著から抜粋)
私たちがJFK暗殺の調査をして、マスコミが騒ぎ立てると、調査を手助けしたいという人々が現れた。
その中に、CIAの元工作担当官と名乗るウィリアム・ウッドもいた。
さらに彼の推薦で元CIAのジム・ローズも雇うことにした。
私は、CIAの工作と精神構造を理解する恰好の機会と思ったのだ。
だが後になって気付いたが、彼らはCIAの指令で私たちの所へ来ていた。
調査を進めていくと、『あらゆる手掛かりが、キューバとピッグズ湾上陸作戦とCIAに繋がる』と分かった。
しかし、CIAがなぜケネディ大統領を暗殺しなければならないのかが、いつも疑問だった。
何ヵ月か資料を読んでいったら、1つの可能性が浮かび上がってきた。
1961年4月にCIAはキューバのピッグズ湾に侵攻して失敗したが、この時にアメリカ空軍を出動させてサポートにあたるのをケネディ大統領は拒んでいる。
その後にケネディは、ソ連と交渉して核実験の停止条約を結び、キューバに侵攻しないとの約束までした。
これは、ダレス兄弟らが推進してきた「冷戦外交」を否定するものだった。
今にして思えば、ケネディはヴェトナムへの軍事介入も止めようとしていたが、これが一番の衝撃だった。
1963年10月には、彼は米軍すべてをヴェトナムから撤収する計画も立てていた。
こうしたケネディの政策が、CIAの暗殺の動機ではないかと、私は思った。
ケネディは冷戦を終わらそうとしていて、冷戦支持派から敵と見なされていた。
私の所に次々とCIAの息がかかった者が送り込まれ、調査を妨害していると明らかになると、「CIAがケネディ暗殺事件に深く関与していた」と考えるようになった。
ガイ・バニスターやデイヴィッド・フェリーが、ルイジアナ州ホーマのシュランベルジュ社の保管庫から弾薬などを盗み出した一件について、それに関わったゴードン・ノヴェルを尋問するため、ノヴェルのいるオハイオ州に引き渡すように依頼した。
これは断られたが、ノヴェルがCIAの工作員だった事、保管庫での窃盗に参加した男たちは全員CIAに雇われていた事、をノヴェルは証言した。
(2018年8月26日に作成)