ニール
『生命/人生についての第3の誤解』は、どうして生じたのでしょうか?
「充分にないものを手に入れるには、お互いに競争しなければならない」という誤解です。
神
「必要なものは、充分にはない」(これは、第2の誤解です)と思い込んだ途端に、「充分にはないものを手に入れるには、どんな事でもしなければならない」と考えたのだよ。
最初の頃は、いちばん腕力の強い者が勝った。
その後、あなた方は進化して、「腕力の強い者が常に勝つのは、公平ではない」と考えるまでになった。
だが、誰もが勝つ事を選択するまでには、至らなかった。
本当に進化した存在は、みんなのものを奪い合ったり、自分だけ貯め込んだりはしない。
あなた方は、ある集団がたっぷりと手に入れられるための、理由づけをしようとした。
そして、『競争』を発明した。
競争という概念だけでも困ったものなのに、あなた方の競争は公平ですらなかった。
ニール
どういう事ですか?
神
例えば、今のあなた方の世界では、「金持ちで白人でキリスト教徒でアメリカ人で男性」ならば、初めから勝者だ。
誰が勝者になるかが、あらかじめ決まっているのだよ。
それぞれの文化・集団・国家には、勝者になれる条件のリストがある。
ニール
でも、「女性」が書いてあるリストは無さそうですね。
神
その通りだ。
あらかじめ勝者が決まっている競争をするには、敗者を力づくで黙らせなければならない。
だから、暴力が結局は決め手になる。
あなた方は相変わらず、ほとんどの紛争を、暴力(軍事力)や荒っぽい経済力で決着している。
どの文化でも、「金持ちで男性」というのがリストのトップにくる。
その両方に当てはまれば、勝者になれる。
あなた方の宗教の大半は、男性支配の社会になっている。
中には、「女性は、男性に従属する存在だ」と教えているものまである。
ニール
イスラム教の事ですね。
神
新約聖書の中にも、女性蔑視の言葉はある。
コリント人への手紙やエフェソの信徒への手紙には、「主に従うように夫に従いなさい。夫は妻の頭である」「教会がキリストに従うように、妻もすべてにおいて夫に従うべきだ」とある。
ニール
びっくりしたな。
女性の立場を低く見るのは、イスラム教だけではないのですね。
神
それどころか、古い宗教文化のすべてがそうだよ。
イスラム法では、法廷での女性の証言は、男性の証言の半分の価値しかない。
ニール
しかし、こんなに多くの宗教でそう言われているなら、本当に女性は劣っているのではないですか。
神
そんな事はない。
ニール
実は、女性差別の温床になっているのは、組織的な宗教です。
神
組織的宗教は他にも、「神は、人種の違う者の結婚は禁じている」とか、「同性愛はいけない」とか、「黒人は聖職者にはなれない」と教えてきた。
ニール
そうですね。
モルモン教会は、「黒人は劣っているから、聖職者にはなれない」と言ってきました。
それを改めたのは、つい最近です。
神
同じ事を、女性についても言ってくれるといいのだがね…。
ニール
宗教は、どうしてそんな結論を出すのでしょうか?
神
「人間の中には、他よりも優れている者がいる」という、『生命/人生についての第4の誤解』があるからだ。
この誤解を根拠に、あなた方の社会は、あらゆる差別を実行する。
あなた方は、何千年もの間、神を表すのに「彼」という言葉だけを使ってきた。
だから幼子は、「神は男性だ。男性の方が、女性よりも優れているんだ」と思い込む。
新しい霊性が普及すれば、そのような考え方は過去のものとなるだろう。
そうして、やっと人類の半分が差別・虐待を受けなくなる。
ニール
「男性の方が優れている。男女は別々の役割がある」と考えている人々は、「女性が男性の仕事をするようになった事が、社会を揺るがしている」と主張します。
神
確かに社会は揺らいでいるが、それは新しい社会を創るために必要な揺らぎだよ。
新しい社会では、人種・性別・国籍・宗教・性的な嗜好など、人間のどんな側面であれ、その人の権利を奪う理由にはならなくなる。
(『新しき啓示』から抜粋)