花總まりの出演する「本日も休診」を観劇しました
(2021.12.31.)

去る11月17日に、花總まりさんの出演するお芝居『本日も休診』を観劇してきました。

すぐに感想記事を書きたかったのですが、祖母の死去やら私のYouTubeデビューやらがあって忙しく、1ヵ月以上経ってしまいました。

やや記憶が薄れてますが、思い出しつつ観劇して感じた事を書いていきます。

まず最初に述べますが、この観劇をした日は、私の祖母・慶子が入院していて「もう長くないです」と担当医から告げられた翌日でした。

そのため、いつもとは違う心理状況で観劇しており、なんとなく芝居に入り込めなかったです。

ですので、感想がいつもよりありません。

いつもだと長文で感想を細かく書きますが、今回は短い文になると思います。

『本日も休診』は、田舎の開業医が主人公の話です。

主人公は柄本明が演じて、脇役を花總まり、佐藤B作らが固めており、キャスティングが良いのでかなり期待してました。

私は観劇前に、このお芝居のホームページを訪れて、あらすじを確認しました。

すると、「時代は高度経済成長期。主人公は仕事よりも釣りを愛するのんびり人間で、彼の周りには個性的なキャラが集まっており、色んな騒動が起きる」と書いてありました。

私は何となく、田舎を舞台にした、ほのぼのした話だと思ってました。

仕事よりも趣味や友人たちを愛する優しく楽しい主人公が、色んな騒動がありつつも仲間と解決して幸せに生きていく、そんな心温まるストーリーを想像してました。

この予想と期待は、完全に裏切られました。
それが凄くショックでしたね。

『本日も休診』の舞台は那須高原なんですが、そこの開発を政治家が画策し、地元の住民にも同調者が沢山出て、開発利権をめぐるドロドロの汚い話が展開していきます。

時代が高度経済成長期と、あらすじの冒頭に書いてある時点で、これを予想しなければいけなかったのだろうか?

ほのぼの話を期待していた私は、冷や水を浴びせられた気分でした。
本当にショックでした。

せめて主人公・見川鯛山とその妻・テル子(花總まりが演じている)だけは、清く美しい立場を維持するのかと思ってました。

ところが、テル子が女性の権利拡大を訴えて選挙に立候補すると、鯛山は理解を示さず勘当してしまいます。

それで夫婦は別居となり、夫婦が育てている障害を持つ養子は他者に預けられてしまいます。

「おいっ、妻が夢の実現に立ち上がったら、助けてあげろよ。
それに子供も放置するのか。」
と、主人公への不満で一杯になりました。

この時点で、主人公が医業をさぼって釣りばかりする単なる遊び人になってしまいました。

そういうダメ医者だから、ほとんど患者が来ず、休診ばかりになるのだと、分かりました。

私は、主人公は医業はきっちりやると思ってました。

田舎なので暇な時は暇で、その場合は釣りに行く、そういう人だと予想してました。

だが、そうじゃなかったのです。

ダメ医者なので患者が避けており、当の医者にもやる気が無い、そういう負のスパイラルが起きている医院でした。
そう描かれてます。

脚本がひどいな、と強く思いましたね。

最後にお涙ちょうだい的な感じで、夫婦が吹雪の雪山の中で再会して仲直りする場面もありますが、「こんなもんでごまかせると思ったら、大間違いだぞ」と、私は思いました。

とにかく、脚本に失望しました。

「出来る役者が揃っているのに、台無しじゃないか」と思いましたねー。

脚本は水谷龍二という人が担当してますが、「なにを考えてるんだ、お前は!」と叱りたい気持ちです。

以上のように感じたので、芝居の幕が降りる時も拍手しづらかったです。

よく憶えていないのですが、拍手しなかったか、花總まりへの義理でほんの少ししたかの、どちらかでした。

まあ、コロナウイルスで多くの公演が中止になってきた中、公演できた事は良かったと思います。
財政的に苦しんでいる役者や舞台関係者が沢山いると聞いているので、応援する事になったと思うし、そこは良かったと思います。

さて。

終演後は、祖母が「もう長くない命」と宣告されているので、早々に帰る事にしました。

体力が残っていたら、帰宅後に病院に向かうつもりでした。

そうしたところ、劇場を出て最寄りの駅に着き、地下鉄なので階段を降り始めたら、携帯に母からメールが来ました。

メールを確認したところ、「危篤になったとの電話があった。すぐに病院に向かってくれ。私も今から向かう」との内容でした。

「えっーーーーーーーーー!!!!!」となりました。

「まさか今日、祖母は死ぬのか。花總まりの芝居を観た直後に。」と何やら運命めいたものまで感じました。

「病院に行くまでに亡くなってしまうのだろうか。もし間に合ったとしても、一緒に長く暮らしてきた祖母の死を見た時、私は耐えられるのだろうか。」なんて思いながら、電車に揺られて向かいました。

結局、祖母はそれから2日ほど生きて、11月19日の夜に亡くなりました。

この事は、こちらの日記に詳細を書いてますので、興味があったら見て下さい。

観劇の直後に、祖母の危篤の知らせがあったので、ただでさえ楽しめずに印象の薄かった芝居が、さらに一気に印象が薄くなりました。

私は今記事を書くにあたり、「ちゃんと憶えているだろうか、記事に出来るだろうか」と少し心配でしたが、ちゃんと書けました。

良い脚本の芝居に花總まりが出演し、彼女が光輝く姿を見たい。

そう思い続けてますが、なかなかその状態に出会えてません。

不満を抱き続けるより、かえって自分で書いてしまったほうがいいのだろうか。

脚本というのも、挑戦したら楽しそうだなと思ってはいるんですよね。


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