ビル・エバンスの「エブリバディ・ディグズ」おまけ①
「Minority」のコード進行

「エブリバディ・ディグズ」の1曲目に収録されている「Minority」は、本文でも書きましたが、とてもかっこいい演奏です。

変わった響きの曲なので、以前にコード進行を調べた事があります。

おまけとして、「Minority」のコード進行を紹介いたします。

「Minority」  キーはFm  形式はAA

 イントロ

ここは、基本的に |Fm(9)     |C7(♯9)   | のくり返しです。

テンション・ノートが変わるので、違ったコードに聴こえますけど。

ちなみに最初の4小節は、こうなっています。

|Fm(9)      |C7(♯9)    |Fm(9)     |C7(♯11)   |

 A

|FmM7(9)    |Dm7-5    |Gm(9)     |C7(♭9 13)  |

|FmM7(9)    |Dm7-5    |Cm7(9)     |F7(9 13)   |

|Bm7(9)     |E(9 13)   |Am7(9)    |D(9 13)  |

|Fm7(9)    |Fm7(9) B7(♯11)|Gm7(9)   |C7(13) C7(♭13)

 A

|FmM7(9)    |Dm7-5    |Gm7(9)   |C7(♭9 13) |

|FmM7(9)    |Dm7-5    |Cm7(9)    |F7(9 13)  |

|Bm7(9)    |E(9 13)   |Am7(9)    |D(9 13)  |

|Fm7(9)  |Fm7(9) B7(♯11)|Gm7(9)   |C7(13) C7(♭13)

 エンディング

こちらも、 |Fm(9)    |C7(♯9)  | のくり返しが基本です。

一番最後のコードは、Fm(9)ではなく、FmM7になります。

FmM7で終わるので、非常に妖しく不安定な雰囲気で曲が最結末を迎えます。

○ コード進行の解説

この曲のポイントは、Fm(トニック・コード)を、FmM7に変化させている事です。

これにより、曲の雰囲気がミステリアスで妖しい感じになっています。

最初の4小節は、Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴのよくある進行です。

7小節目でFmキーから離れて、Bキーに向かうⅡ-Ⅴ(Cm7 |F7 )が出てきます。

そこからは Bm7  |E7  、Am7  |D7 と、 次々と全音下のキーに転調する感じでⅡ-Ⅴの進行が出ます。

7~12小節目は、Bキー → Aキー → Fキー と、どんどんと転調していく感じです。

響き的に、どのⅡ-Ⅴ進行も、長調(メジャー・キー)の感じのⅡ-Ⅴですね。

で、13小節目でFm7(9)にたどり着きます。

m7(9)は、EキーのⅡmです。 

15小節目で、今度はEキーから半音上のFキーに転調し、FキーのⅡ-Ⅴ進行となります。
ここも、響き的には長調(メジャー・キー)の感じのⅡ-Ⅴです。

16小節目のC7(♭13)で、ようやく短調に進むⅤ7の響きになります。
そうして、実際に短調のFmキーに進行します。

13~16小節で行われるEキーからFキーへの転調は、かなり強引な感じです。
アドリブ時には、頑張って解決するしかないです。

細かい話になりますが、16小節目のC7(13)C7(♭13)から17小節目のFmM7(9)は、半音で下降する動きが入っています。

テンション・ノートが、C7の13th→♭13th→Fmの9thと、半音で下降していくのです。

この下降ラインをトップ・ノートにすると、凄くかっこ良いコード進行になります。

(2013年12月14日に作成)


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