おまけとして、4曲目の「Night And Day」と6曲目の「Tenderly」のコード進行を紹介します。
大好きな演奏なので、だいぶ以前になりますが、コード進行やエバンスのアドリブ・フレーズを勉強しました。
懐かしいなあ。
A
|Fm7-5(11) |B♭7(♭13 ♯9) |E♭M7 |E♭M7 |
|Fm7-5(11) |B♭7(♭13 ♯9) |E♭M7 |E♭M7 |
|Am7-5 |A♭m7(13) |Gm7 |G♭dim |
(Cdim(11)Adim(11))
|Fm7 |Fm7(11)onB♭ EM7(9) |E♭M7(9) |E♭M7(9)|
(B♭7sus4)
A
|Fm7-5(11) |B♭7(♭13 ♯9) |E♭M7 |E♭M7 |
|Fm7-5(11) |B♭7(♭13 ♯9) |E♭M7 |E♭M7 |
|Am7-5 |A♭m7 |Gm7 |G♭dim |
(Cdim(11)Adim(11))
|Fm7 F♯m7(11)onB|Fm7(11)onB♭ EM7(9)|E♭M7(9) |E♭M7(9) |
(B7sus4) (B♭7sus4)
B
|G♭6(9) |G♭6(9) |E♭M7(♯11) |E♭M7(♯11) |
|G♭6(9) |G♭6(9) |E♭M7(♯11) |E♭M7(♯11) |
C
|Am7-5 |A♭m7(13) |Gm7 |G♭dim |
(Cdim(11)Adim(11))
|Fm7 F♯m7(11)onB|Fm7(11)onB♭ EM7 |E♭M7 |E♭M7 |
(B7sus4) (B♭7sus4)
○ コード進行の解説
Aの前半部分は、Ⅱm7-5ーⅤ7-ⅠMという進行です。
Ⅱm7-5 ー Ⅴ7 は、短調でのⅡ-Ⅴであり、『短調の感じでⅡ-Ⅴ進行をしながら、長調のトニック・コードに進む』という進行です。
この進行は、たまにあります。
Fm7-5(11)の構成音は、下部から順にいくと、F、B、E♭、B♭です。
B♭7(♭13 ♯9)構成音は、B♭、A♭、D、G♭、D♭です。
(一番下のB♭は、ベーシストに任せて、弾かない方がいいです)
12小節目は、基本はG♭dimなのですが、コードを転回させてCdim(11)Adim(11)にした方が、ビル・エバンスの弾くコードに近づきます。
Cdim(11)の構成音は、C、G♭、A、F。
Adim(11)の構成音は、A、E♭、G♭、D。
14小節目のFm7(11)onB♭ は、機能としてはB♭7sus4なのですが、私がギターでB♭7sus4を弾くと、少しエバンスのコードと噛み合わないのです。
ギターやピアノがFm7(11)を弾いて、ベースがB♭を弾くと、ちょうどいい感じになると思います。
Fm7(11)onB♭の構成音は、B♭、F、C、E♭、B♭。
13小節目のF♯m7(11)onB は、14小節目のFm7(11)onB♭に対する、半音上からのアプローチ・コードです。
14小節目のEM7(9)も、E♭M7(9)への半音上からのアプローチ・コードです。
Bに入ると、G♭のキーとE♭のキーを、行ったり来たりします。
G♭もE♭も、ⅠMです。
G♭6(9)の構成音は、G♭、B♭、E♭、A♭、D♭。
E♭M7(♯11)の構成音は、E♭、B♭、D、G、A。
(これも、一番下のE♭は、ベーシストに任せて弾かない方がいい)
Cは、Aの後半部分だけを取り出した構成をしています。
7~8小節目のE♭M7は、ここではエバンスが9thのテンション・ノートを入れていないので、(9)を書きませんでした。
アドリブに入ると、BのE♭M7(♯11)は、エバンスはE♭6(9)で弾くようになります。
つまりBでは、G♭6(9) → E♭6(9) → G♭6(9) → E♭6(9)と、
『同じ響きのコードで、短3度の上下をする』のです。
これが、とてもかっこいい響きなのです。しびれますねー。
エンディングは、E♭とEを行ったり来たりする進行になります。
ずっとE♭M7 ー EM7 でもいいのですが、それだと雰囲気が出ないので、細かく構成音を表記してみます。
下記の通りに弾けば、エバンスの音と良い感じにはまります。
エンディング (Cの5小節目から書きます)
|Fm7 |Fm7(11)onB♭ EM7(9) |E♭M7(9) |EM7(9) |
(B♭7sus4)
|E♭M7(9) |EM7(9) |E♭M7(9) |E6 |
|E♭M7 |E |E♭ |EM7 |
|E♭M7 |EM7 |E♭M7 |EM7 |
|E♭M7 |E6 |E♭M7 |E6 |
|E♭M7 |E6 |E♭M7 |E6 |
|E♭M7 |E♭M7 |
次は、「Tenderly」です。
この曲は、このアルバムでは3拍子で演奏されています。
エバンスは、けっこう3拍子が好きみたいで、よく演奏しますよね。
この曲は、とにかくエンディングがかっこいいです。
エンディングのコード進行も書きますが、後述しますが一箇所だけ自信のない部分があります。
A
|E♭M7 |E♭mM7onA♭ |E♭m7(9) |A♭7(13) |
|Fm7(9) |D♭7(♯11) |E♭M7 |E♭M7 |
|A♭m |B♭7 |A♭m |Dm7-5 G7 |
|Cm7 |F7(13) |Fm7(11) |B♭7 |
B
|E♭M7 |E♭mM7onA♭ |E♭m7(9) |A♭7(13) |
|Fm7(9) |D♭7(♯11) |E♭M7 |E♭M7 |
|A♭m |Dm7-5 G7 |Cm7 |Am7-5 D7 |
|Gm7 C7 |Fm7 B♭7 |E♭M7 |Fm7 B♭7 |
エンディング (Bの15小節目から入る)
|EM7 |E6onA♭ |DM7 |D6onG♭ |
|CM7 |FM7(13) |EM7 |AM7(13) |
|DM7 |GM7(9) |CM7 |FM7(♯11) |
|EM7(♯11) |
○ コード進行の解説
まず、Aの部分ですが、2小節目はコード・ブックだとA♭7(♯11)になっているのですが、E♭mM7が正確なコードだと思います。
コード・ブックに出ている、A♭7から3小節目のE♭m7への進行は、響きとして変だと思います。
E♭m7とA♭7とは、Ⅱ-Ⅴ進行のコード関係になるので、2小節目という中途はんぱな所からA♭7→E♭m7→A♭7(Ⅴ-Ⅱ-Ⅴ)と進行していくと、「意味が分かんないなー」と聴き手に感じさせてしまいます。
E♭M7→E♭mM7→E♭m7(9)と進めば、三度の音がクリシェ進行(半音で下降するライン)になって、「おおっ、かっこいい」となります。
E♭mM7の時にベースはA♭に行っているので、E♭mM7onA♭で表記しました。
9&11小節目は、響きとしてA♭mの方がA♭m7よりもはまります。
シンプルなA♭mで、「どーん」と重みを出した方が、きまります。
ここでのエバンスも、そうしています。
この曲は、メロディがテンション・ノートに行って、ロング・トーンになる事が多いです。
なので、なるべくテンション・ノートも表記してみました。
(カッコの中の9とか13が、テンション・ノートです)
Bは、Aとは後半部分が違います。
それほど難しい進行ではないので、問題ないでしょう。
エンディングは、Bの15小節目から入りますが、それまでのE♭キーから、Eキーにいきなり転調します。
そこから、どんどんと転調していきます。
最初の4小節は2小節ごとに転調し、その後は1小節ごとの転調です。
5小節目からは、すべての音がM7コードになっているのがポイントです。
美しい響きになっていますねー。
11小節目のCM7は、メロディに♯11の音が出てくるのですが、バックのコードはCM7でいいと思います。
12小節目のFM7が、くせものなんですよ。
-5度の音とM7度の音が入ってくるので、違うコードに聞こえるのですが、だぶんFM7(♯11)の表記でいいと思います。
ギターで弾いた場合、1度、-5度、M7度、♯11度、と音を重ねると、しっくりきました。
最後のEM7(♯11)は、1度、3度、M7度、10度、♯11度、と音を重ねると、ばっちり決まります。
(2013年6月1日に作成)
(「Night And Day」は11月22に追加)