タイトル筋肉と筋トレの雑学

(以下は『筋肉まるわかり大事典』石井直方著からの抜粋
2010年10月18~24日にノートにとり勉強
2026年7月29日に作成)

🔵筋肉と脂肪の関係

筋肉を大きくするには栄養的な余力がないといけない。
つまり少し余剰なカロリーを摂った方がいい。

ただし余ったカロリーは脂肪になってしまうので、どうしても脂肪が一緒についてしまう。

肥満の人は元々エネルギーが余剰状態なので、トレーニングをすると体内の脂肪から筋肉を合成するエネルギーを作ろうとする。
脂肪は、筋肉そのものは形成しないが、エネルギーとして使われる。

🔵筋肉と骨の関係

黒人は骨密度が高く、太くはないが強くて硬い。

細くて硬い骨に筋肉が付けば、コンパクトで質の高い腕や足ができる。

だから黒人の運動パフォーマンスが高いとも考えられる。

骨、筋肉、脂肪は元々とても近い成分で、骨格がしっかりしている人に筋肉が多いのは納得できる。

筋肉と骨の発達は相関性が高い。
調査すると、筋力の高い人は骨密度も高い。

余談だが、ボディビルでは細い骨格に筋肉が付いている方がメリハリがあるため、評価が高くなる。

🔵最も必要な筋肉はどれか

最も加齢で衰えやすい筋肉は、体幹部と、ヒザまでの足筋である。

人間の世代交代をスムーズにするために、生きるために重要な筋肉ほど加齢の影響を受けるよう作られているのかもしれない。

筋肉は、糖や脂質を使う役割もある。
全身の筋肉が落ちると血糖値が下がらず、糖尿病になってしまう。

🔵筋肉がつきにくい体質

つきにくい体質はある。筋肉のつきやすさは遺伝によって決まる。

だが筋肉がつきにくいのは、実際は体質よりも、栄養や生活に問題があるのがほとんど。
体質を気にしない方がいい。

🔵背の高い人は筋肉がつきにくい

背の高い人は筋肉が長くなるので、それだけ筋肉を鍛えるのが大変になる。

だが筋力がつくと背の低い人より力が出る。

アーノルド・シュワルツェネッガーは、ボディビルの世界大会を6連覇した。
これは異例なほど身長が高かったのも大きい。
当時のボディビル界は、背が高くても175cm位で、彼の183cmだと10cm近くも差があった。

背の高い人はトレーニングで苦労するが、努力すると優位に立てる。

🔵色黒の方が筋肉がつきやすいのか

ボディビルダーは色黒が多いが、これは筋肉を引き立たせるため。
また肌を焼くと脂肪が落ちるという説があり、その目的で肌を焼く人もいる。

日焼けに関係する「メラトニン」というホルモンは、抗酸化作用があるらしい。
色黒の人はメラトニンの活性が高く、健康の素質があるのかもしれない。

🔵筋肉は30才を越えても大きくなるのか

104才でもトレーニングで筋肉が大きくなった例があり 年令は関係ないと言える。

ただし、年を取ると速筋線維の数が減っていく。
その時点で残っている筋線維が肥大するのだ。

そもそも筋肉は2~3年で作られるものではなく、段階的にトレーニングをすると、10年位で強くなる。

科学が進歩するにつれてアスリートのピークは高い年齢へシフトしていくだろう。

(※トレーニングだけでなく、昔よりもシューズなどが改良されてケガが少なくなったのもアスリートの寿命が長くなる一因と思う)

🔵筋肉の男女差

どうも女性の方が少し遅筋が多い傾向らしい。ただし速筋と遅筋の割合は、男女差よりも遺伝の影響の方が大きい。

一番の違いは上半身で、肩や腕の筋肉は男性の方が太くなる。
上半身の方が男性ホルモンを受け取る受容体が多いのである。

一方、下半身は差があまりない。

女性の筋肉量は男性の70%ほどしかない。
特に上半身が少ない。

下半身は男性の80~85%で、差が小さい。

女性アスリートが男性並みに上半身を酷使すると、ケガになりやすい。

女性は、男性ホルモンがほとんど分泌されないので筋肉が肥大しづらい。

ところがトレーニング結果に男女差がほとんどないという研究結果もある。
成長ホルモンの分泌には差がないからだろう。

見た目にゴツゴツ感を出すのは肩や腕のあたりなので、そのあたりの筋トレは軽い負荷にすると女性らしさを失わない身体になる。

(※逆に言えばそこを鍛えると男らしさが出るということだ)

🔵男性は押す力が強く、女性は引く力が強い

引く力は女性の方が粘り強い。

一方、押す力は体型的に男性が強い。

腕立て伏せができない女性が多いのは、上半身が弱くて押す力がないためだ。

🔵女性の生理と筋トレ

女性の体のリズムはとても複雑で、一概には言えないが、女性ホルモンは排卵期の直前に多量に分泌され、生理中は著しく下がる。

つまり生理中はトレーニング効果が出やすい。

アスリートには生理中を狙って激しいトレーニングをする人もいる。

ただし体調が悪くなる時なので、考えてトレーニングしましょう。

🔵日本人は押す力が強い

これはパワーリフティング界の通説となっている。

ベンチプレスの世界記録(350kg上げなど)を日本人はたくさん持っている。
外国人に比べても押す力は非常に強い。

逆に引く力は弱く、背筋が欧米人よりも少なくて、トレーニングをしても盛り上がった背中はなかなか作れない。

ボート競技などで勝てないのは、リーチの問題だけではなく、引く力の弱さもある。

🔵日本人と欧米人&黒人の筋肉の違い

背面の筋肉は、欧米人&黒人の方がアジア人よりも多い。
これは欧米人&黒人の「引き」の力が強いことの根拠になりそうだ。

一方、大胸筋や上腕三頭筋は日本人が強く、日本人は圧倒的にベンチプレスが強い。

他に日本人が優位なのは、ふくらはぎのヒラメ筋。

日本人はヒラメ筋が長くて大きい。その結果、広がった形に見える人が多い。

反対に黒人はヒラメ筋が短く、アキレス腱が多い。

日本人はふくらはぎが太いため、素早く足を振ったり高くジャンプするのは苦手だが、筋力量はふくらはぎは世界トップ。

(※村本のコメント

私の目で見ても、日本人のふくらはぎは太いのが実感できる。
こん棒みたいな人すらいるのだから。

筋トレをするにあたり、ふくらはぎは激しくトレーニングしても大丈夫だし、どんどん太くなるらしいと判った。)

なお、ふくらはぎは生まれつきが大きく、細い人はきたえてもなかなか太くならない。

アーノルド・シュワルツェネッガーもふくらはぎが細く、克服するため非常な努力をした。

🔵人種による筋肉の違い

黒人は白人に比べて大腰筋が3倍も太い。
黒人に腰痛が少ない理由とされている。

黒人はこのためスプリントに向く。

(これが音楽においては、黒人のバネのあるリズムにつながっているのか?)

日本人は体重の80%を超える除脂肪体重(体重-体脂肪量)にするのは難しいが、白人は85~90%位までいける。

これは遺伝のせいか、骨格のせいだろう。

また速筋に関してはαアクチニン3遺伝子の型にもよる。
(※これは筋肉がらみの体内物質のページに詳述)

🔵細身の人にスピードの早い人が多いのはなぜか

腕や足に太い筋肉がつくと、動かすのに強い筋力が必要になる。

体幹に十分な筋肉がついていて四肢が細いと、四肢のスピードが上がる。

このため速球派のピッチャーやストレートパンチが強い(早い)人には細身が多いのである。

🔵筋肉をつけすぎると体が硬くなるか?

筋肉は重いため、末端の筋肉が太くなるとどうしても鈍くなった、硬くなったという印象になる。

だから運動能力を上げるには、末端よりも体幹にしっかり筋肉をつけて、手足はムチのように使った方がいい。

(※これはギターのピッキングにも言えるかもしれない。
もっと体幹部に筋肉を付ければ、ピッキングの仕方が変わるかもしれない。)

筋力トレーニングで柔軟性が低下することはなく、むしろ柔軟性は増す。

逆に持久力トレーニングの方が柔軟性を損なう場合がある。

(※自分が筋トレをしていても、体がほぐれていると強く感じる。

以前はランニングなどとセットで筋トレをしていたので、終えると体がダルくなるだけで全く爽快感はなかったが、筋トレだけだと体が軽くなり、凝りが取れる。)

筋肉をつけすぎると、関節の可動域が狭くなるはある。
これは筋肉のつけすぎである。

🔵筋肉をつけすぎるとスピードは落ちるか?

これはあり得る。
末端の筋肉が太くなると慣性が大きくなり、「動かしにくく止めにくく」なる。

体幹部に太くて強い筋肉がたくさん付いている方がスピードは増す。

また、動作には筋肉がバランス良く付いている必要があり、ヘタな付け方だとスピードが落ちる。

🔵反射神経とは?

反射神経は筋肉とは関係なく、同じ動作をくり返す訓練で身に付くと考えられる。

🔵筋肉量と体力は比例するか?

筋肉量と日々の活動度は比例するだろう。ただしメンタルの要素も大きい。

🔵幼少期の筋肉について

幼少期は白筋(速筋)と赤筋(遅筋)がはっきり分かれていない。
白筋は10才位までは現れず、幼少期はみんな赤筋なのだ。

従って筋肉の割合に個人差は少なく、みな持久タイプである。

そのため走るとなったらワーッと走り、いくらでも走れる。
大人にとってジョギングと短距離走は全く違うが、幼少期は関係ない。

(※子供はペース配分を知らないのでワーッと走るのだと思っていた。
しかし体質が違うのだと知った。)

10才位になると白筋が生まれ、速筋派が遅筋派かという違いがはっきり出てくる。

長距離を走ると疲れることも判ってくる。

幼少期は、筋肉よりも神経系の能力が発達する。

難しいスポーツほど小さい頃からやらないとダメだと言われるのは、動きのプログラムを神経に定着させるためだ。

幼少期は、筋肉より神経の発達を優先するべき。

🔵妊娠期

妊娠すると体力的には強くなる。

ただし、妊娠した人のオリンピック出場が禁止されているように、激しく動くのは危険である。

🔵お酒は筋肉によくない

アルコールは肝臓で分解されるが、分解の限度を超えると血中に残る。

そして血中に残ると、筋肉がもろに分解される。

実際、アルコール中毒の人は筋肉が激減している。

🔵筋肉は基礎代謝を高める

筋肉が1kgつくと、1日当たりの消費カロリーが50キロカロリー増える。
つまり太りにくくなる。

🔵筋肉が増えると血行が良くなるか?

筋肉量と毛細血管の量は比例しない。

毛細血管の量が血行の良さを決めるので、持久力(遅筋)を付けるエアロビックの方が血行は良くなる。

血行を良くするのに一番効果的なのは、筋持久力を増す運動である。

百回以上くり返す運動や、サーキット・トレーニングが有効。
ウォーキングよりも少し強めの運動が良い。

🔵筋肉の成長と睡眠は関連するか?

眠ってから1時間後に成長ホルモンの分泌が起こり、それによってタンパク質の合成が高まり、筋肉が補修され成長する。
その作業は数時間続くとされる。

筋肉の成長を早めるなら、1日2回寝る方がいいと思われる。
力士がけい古、食事の後に昼寝をするのは理にかなっている。

徹夜は成長ホルモンの分泌を減退させ、疲れが取れないので避けるべき。

🔵筋肉と血液の関係

筋肉は「第二の心臓」と言われる。
筋肉が収縮と弛緩をくり返すと、血行をうながし、心臓と同じような働きをする。

特にふくらはぎの筋肉は、収縮と弛緩の働きで血液を心臓に戻すことをしている。

長時間座っているとこの働きがにぶり、足がむくむ。これが「エコノミークラス症候群」である。

🔵筋肉を礼賛する国と否定的な国

日本は筋肉に対して否定的である。
身体よりも精神を尊重する文化が受け継がれてきた。
(※仏教の影響だろう)

作家の三島由紀夫は、日本の文学が迫力に欠けるのは身体が貧しいからと考え、自らの体をきたえ始めたという。

一方、欧米や韓国は筋肉を高く評価する。

ギリシャ彫刻の神々はたくましいし、韓国もムキムキの人を「モムチャン」と呼んで憧れる。

日本では20年位前まではスポーツ分野でも身体より精神重視で、「気合いでがんばれ」という考えが主流だった。

(※なるほど。スポーツ界の根性論は単なる指導者の勉強不足によるものだと思っていたが、もっと深い思想性からとらえることもできるようである。)

科学的に分析しながら身体をきたえるという意識が、日本でもようやく根づきつつある。

🔵筋肉の障害

筋肉に障害が残ると、修復できない。
切れた筋肉は、つながっても跡は残ってしまう。

スポーツ選手で短命な人は、知らないうちに筋肉が傷つき、動かしづらい筋肉になって、パフォーマンスが落ちていると思われる。

🔵筋肉の限界

筋肉に関する記録はどんどんのびている。

ドーピングなどを容認している団体では、ベンチプレスで400kg以上を上げてしまうという。

私がボディビルの現役選手だった1980年代初めは、日本人で200kgを上げる人はいなかった。
わずか20数年後に2倍の重さを上げてしまうとは、人間のポテンシャルを実感せずにはいられない。
人間の筋肉の限界はまだわかっていない。

🔵筋トレの話

私は18年前に東大の助教授に赴任した。

ここ10年ほどにの間に(※この本は2008年の出版)、筋トレは一般に広まった。

小学3年生の私の娘でさえ「筋トレ」を口にするほど。

筋トレ普及の最大の要因は、健康作りや介護予防に筋トレが重要だと実証されたからだろう。

私がボディビルを始めた1973年頃は、「筋肉をつけると動きが遅くなる」とか「筋肉をつけても健康にはならない」と言われていた。

筋トレは、プロレスやボディビルなど、一部のマニアックな人々が行うものと見なされていた。

(村本尚立のコメント。

確かに私が高校でサッカー部にいた時期も、 筋肉とスピード(俊敏性)は関係がないと言われていたし、健康になるには筋トレではなくエアロビックがいいとされていた。

だが最近(2010年)になって私が筋トレを始めて思うのは、エアロビックより手軽だし健康になる実感も大きいということ。)

ただし35年間も筋トレを続けている私でも、決して楽しくはない。
効果があることのみが継続する原動力だった。

また筋トレは、栄養や休息などに配慮も必要なため、見かけによらず知的な活動と言える。

(村本のコメント。
知的な活動というのは全くその通りだが、このような認識はまだ日本人には浸透していない。)

筋トレの効果を上げるには、筋肉をよく知ることが大事。

筋肉は単なるパーツではなく、有機的に連携し合っていることに気づくことが大事である。


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