筋肉と筋トレの雑学(以下は『筋肉まるわかり大事典』石井直方著からの抜粋
2010年10月20~24日にノートにとり勉強
2026年7月29日に作成)
🔵筋肉と脂肪の関係
筋肉を大きくするには栄養的な余力がないといけない。
つまり少し余剰なカロリーを摂った方がいい。
ただし余ったカロリーは脂肪になってしまうので、どうしても脂肪が一緒についてしまう。
肥満の人は元々エネルギーが余剰状態なので、トレーニングをすると体内の脂肪から筋肉を合成するエネルギーを作ろうとする。
脂肪は、筋肉そのものは形成しないが、エネルギーとして使われる。
🔵最も必要な筋肉はどれか
最も加齢で衰えやすい筋肉は、体幹部と、ヒザまでの足筋である。
人間の世代交代をスムーズにするために、生きるために重要な筋肉ほど加齢の影響を受けるよう作られているのかもしれない。
筋肉は、糖や脂質を使う役割もある。
全身の筋肉が落ちると血糖値が下がらず、糖尿病になってしまう。
🔵筋肉がつきにくい体質
つきにくい体質はある。筋肉のつきやすさは遺伝によって決まる。
だが筋肉がつきにくいのは、実際は体質よりも、栄養や生活に問題があるのがほとんど。
体質を気にしない方がいい。
🔵背の高い人は筋肉がつきにくい
背の高い人は筋肉が長くなるので、それだけ筋肉を鍛えるのが大変になる。
だが筋力がつくと背の低い人より力が出る。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、ボディビルの世界大会を6連覇した。
これは異例なほど身長が高かったのも大きい。
当時のボディビル界は、背が高くても175cm位で、彼の183cmだと10cm近くも差があった。
背の高い人はトレーニングで苦労するが、努力すると優位に立てる。
🔵色黒の方が筋肉がつきやすいのか
ボディビルダーは色黒が多いが、これは筋肉を引き立たせるため。
また肌を焼くと脂肪が落ちるという説があり、その目的で肌を焼く人もいる。
日焼けに関係する「メラトニン」というホルモンは、抗酸化作用があるらしい。
色黒の人はメラトニンの活性が高く、健康の素質があるのかもしれない。
🔵筋肉は30才を越えても大きくなるのか
104才でもトレーニングで筋肉が大きくなった例があり 年令は関係ないと言える。
ただし、年を取ると速筋線維の数が減っていく。
その時点で残っている筋線維が肥大するのだ。
そもそも筋肉は2~3年で作られるものではなく、段階的にトレーニングをすると、10年位で強くなる。
科学が進歩するにつれてアスリートのピークは高い年齢へシフトしていくだろう。
(※トレーニングだけでなく、昔よりもシューズなどが改良されてケガが少なくなったのもアスリートの寿命が長くなる一因と思う)
🔵筋肉の男女差
どうも女性の方が少し遅筋が多い傾向らしい。ただし速筋と遅筋の割合は、男女差よりも遺伝の影響の方が大きい。
一番の違いは上半身で、肩や腕の筋肉は男性の方が太くなる。
上半身の方が男性ホルモンを受け取る受容体が多いのである。
一方、下半身は差があまりない。
女性の筋肉量は男性の70%ほどしかない。
特に上半身が少ない。
下半身は男性の80~85%で、差が小さい。
女性アスリートが男性並みに上半身を酷使すると、ケガになりやすい。
女性は、男性ホルモンがほとんど分泌されないので筋肉が肥大しづらい。
ところがトレーニング結果に男女差がほとんどないという研究結果もある。
成長ホルモンの分泌には差がないからだろう。
見た目にゴツゴツ感を出すのは肩や腕のあたりなので、そのあたりの筋トレは軽い負荷にすると女性らしさを失わない身体になる。
(※逆に言えばそこを鍛えると男らしさが出るということだ)
🔵女性の生理と筋トレ
女性の体のリズムはとても複雑で、一概には言えないが、女性ホルモンは排卵期の直前に多量に分泌され、生理中は著しく下がる。
つまり生理中はトレーニング効果が出やすい。
アスリートには生理中を狙って激しいトレーニングをする人もいる。
ただし体調が悪くなる時なので、考えてトレーニングしましょう。
🔵日本人は押す力が強い
これはパワーリフティング界の通説となっている。
ベンチプレスの世界記録(350kg上げなど)を日本人はたくさん持っている。
外国人に比べても押す力は非常に強い。
逆に引く力は弱く、背筋が欧米人よりも少なくて、トレーニングをしても盛り上がった背中はなかなか作れない。
ボート競技などで勝てないのは、リーチの問題だけではなく、引く力の弱さもある。
🔵男性は押す力が強く、女性は引く力が強い
引く力は女性の方が粘り強い。
一方、押す力は体型的に男性が強い。
腕立て伏せができない女性が多いのは、上半身が弱くて押す力がないためだ。
🔵細身の人にスピードの早い人が多いのはなぜか
腕や足に太い筋肉がつくと、動かすのに強い筋力が必要になる。
体幹に十分な筋肉がついていて四肢が細いと、四肢のスピードが上がる。
このため速球派のピッチャーやストレートパンチが強い(早い)人には細身が多いのである。
🔵幼少期の筋肉について
幼少期は白筋(速筋)と赤筋(遅筋)がはっきり分かれていない。
白筋は10才位までは現れず、幼少期はみんな赤筋なのだ。
従って筋肉の割合に個人差は少なく、みな持久タイプである。
そのため走るとなったらワーッと走り、いくらでも走れる。
大人にとってジョギングと短距離走は全く違うが、幼少期は関係ない。
(※子供はペース配分を知らないのでワーッと走るのだと思っていた。
しかし体質が違うのだと知った。)
10才位になると白筋が生まれ、速筋派が遅筋派かという違いがはっきり出てくる。
長距離を走ると疲れることも判ってくる。
幼少期は、筋肉よりも神経系の能力が発達する。
難しいスポーツほど小さい頃からやらないとダメだと言われるのは、動きのプログラムを神経に定着させるためだ。
幼少期は、筋肉より神経の発達を優先するべき。
🔵妊娠期
妊娠すると体力的には強くなる。
ただし、妊娠した人のオリンピック出場が禁止されているように、激しく動くのは危険である。
🔵お酒は筋肉によくない
アルコールは肝臓で分解されるが、分解の限度を超えると血中に残る。
そして血中に残ると、筋肉がもろに分解される。
実際、アルコール中毒の人は筋肉が激減している。
🔵筋肉は基礎代謝を高める
筋肉が1kgつくと、1日当たりの消費カロリーが50キロカロリー増える。
つまり太りにくくなる。
🔵筋肉を礼賛する国と否定的な国
日本は筋肉に対して否定的である。
身体よりも精神を尊重する文化が受け継がれてきた。
(※仏教の影響だろう)
作家の三島由紀夫は、日本の文学が迫力に欠けるのは身体が貧しいからと考え、自らの体をきたえ始めたという。
一方、欧米や韓国は筋肉を高く評価する。
ギリシャ彫刻の神々はたくましいし、韓国もムキムキの人を「モムチャン」と呼んで憧れる。
日本では20年位前まではスポーツ分野でも身体より精神重視で、「気合いでがんばれ」という考えが主流だった。
(※なるほど。スポーツ界の根性論は単なる指導者の勉強不足によるものだと思っていたが、もっと深い思想性からとらえることもできるようである。)
科学的に分析しながら身体をきたえるという意識が、日本でもようやく根づきつつある。
🔵人種による筋肉の違い
黒人は白人に比べて大腰筋が3倍も太い。
黒人に腰痛が少ない理由とされている。
黒人はこのためスプリントに向く。
(これが音楽においては、黒人のバネのあるリズムにつながっているのか?)
日本人は体重の80%を超える除脂肪体重(体重-体脂肪量)にするのは難しいが、白人は85~90%位までいける。
これは遺伝のせいか、骨格のせいだろう。
また速筋に関してはαアクチニン3遺伝子の型にもよる。
(※これは遺伝子の項に詳述)
🔵筋肉の障害
筋肉に障害が残ると、修復できない。
切れた筋肉は、つながっても跡は残ってしまう。
スポーツ選手で短命な人は、知らないうちに筋肉が傷つき、動かしづらい筋肉になって、パフォーマンスが落ちていると思われる。
🔵筋肉の限界
筋肉に関する記録はどんどんのびている。
ドーピングなどを容認している団体では、ベンチプレスで400kg以上を上げてしまうという。
私がボディビルの現役選手だった1980年代初めは、日本人で200kgを上げる人はいなかった。
わずか20数年後に2倍の重さを上げてしまうとは、人間のポテンシャルを実感せずにはいられない。
人間の筋肉の限界はまだわかっていない。