作曲・編曲のノウハウ(以下は『よくわかる作曲の教科書』秋山公良から抜粋
2010年8月6~11日にノートにとり勉強した)
🔵曲の作り方
ポピュラー音楽の作曲ならば、音大で学ぶような対位法やフーガの技法は必要ない。
絶対音感も、あると足かせになることもあるし、持っていないのが普通と思って安心してよい。
作詞と作曲をどちらから先に行うかは様々である。同時に行うこともある。
メロディ先行で作るほうが絶対に楽。
メロディに言葉をはめる方が簡単である。
歌詞の中で一番グッとくる部分を一番高い音符になるようにメロディを作るのは、経験を積まないと出来ない。
いきなり長い曲を作るのは無理なので、まず短い曲をいくつも作ってみることだ。
インストの方が楽で、TVのCMを思い浮かべて30秒位で作るといいだろう。
余力があったら曲のイメージに合う歌詞を当てはめてみる。
手順としては、コード進行のパターンを覚え、その上にメロディを乗せ、その上で歌詞を考えるのが早道だろう。
歌モノはボーカルを担当する人の音域によって、インストは演奏する楽器によって、キーを決める。
作曲のビキナーは、コード進行のパターンを覚えることから始めよう。
気持ち良い進行はそれほど多くないので、コード進行を決めてからメロディを乗せる方が作曲しやすい。
コード進行を作るだけで終わらず、絶対にメロディを乗せる練習もすること。
初心者ほど長い曲を作ってしまう傾向がある。
だがインストの場合、すばらしいアドリブが展開されない限り、3分が限界。
歌ものでも4分が限界で、初心者にそれ以上の長さは無理である。
曲が長くなると、エンディングに仕掛けをしないとバランスが釣り合わないし、作曲やアレンジのハードルはどんどん上がっていく。
自分の作った曲は長いと感じにくいが、それは全ての展開と構成を熟知しているから。
初めて聴く人はそうではないので、「長くて飽きた」と感じさせない長さにする。
人が退屈をせずにじっと集中して聴く音楽を作りたければ、10秒に1度くらいで変化が 起きるアレンジにしよう。
大きな変化でなくていい。とにかく何かを変えるのだ。
歌ものであれば、歌っている間はそちらに注意が行くのでそのままでいいが、2拍以上の間がある時は仕掛けが欲しい。
(※考えてみるとビバップやチャーリー・パーカーのアドリブは、1秒ごとに変化をつけているような世界である。変化が大事なのは非常に肌身感覚で理解できる。)
リズムも、終始同じノリにはせず、Bメロ、サビ、間奏でノリを変化させるように心がけよう。
🔵ハーモナイズのコツ
コード進行を優雅で自然にするには、ハーモニーの動きは少ない方が良い。
「なるべく体力を使わないで音を動かさない」のが大事。
2つの和音間で共通な音は動かさないのが鉄則。
なるべく楽をする事が美しいコード進行を作る秘訣である。
(※ジャズギターのハーモナイズでは、これを自然にやっている事が多い。今まで意識してなかったが、これは当たっている。)
2つの和音間に共通音がない場合は、ほとんどのケースではベースとは反対方向に上声部の音を動かすと良い。
こうする事で、和音全体が極端に高くなっていったり低くなったりせずに、ほどよい高さで綺麗なグラデーションを描ける。
🔵作曲の色々
曲の分析において、長調か短調かの判断は、たった1つの和音だと難しい。
でも3つ位の和音のつながりだと、誰でもムードは分かる。
しかし、なぜ人間がそう感じるかは解明されていない。
和音の作り方の基本は、3度ずつ重ねること。
なぜなら2度で重ねると濁って汚くなるから。
Ⅶm7-5は、ダイアトニックコードだが扱いが難しく、最初は無視して構わない。
上級になるととても大切な和音になる。
🔵ロックの作曲手法
ロックのコード進行は、全部メジャーコードに出来る。
ペンタトニック・スケールを使うと、全てをメジャーコードにすることが可能になる。
ロックでは3thを含まないパワーコードで演奏することが多いが、実は全てメジャーコードで演奏しても大丈夫。
理論的に説明すると、♭Ⅲ 、♭Ⅶのパワーコードを弾いている時は、同主短調に瞬間転調していると言える。
(※短調からの借用和音という事だろう)
つまり、マイナー・ペンタのスケールを使うメジャーコードのパターンは、こうなる。
Ⅰ、♭Ⅲ 、Ⅳ、Ⅴ、♭Ⅶ。
これらのコード上では、マイナーペンタのスケールでソロが取れる。
Ⅰのコードの時に、♭3thの音を弾くことになるが、これは#9thのテンションを弾いて荒々しい音を出す形になる。
🔵ベース・ライン
ベースの音は、一般的にはバスドラムと重ねる。
しかし、それだけでは面白くない。
ビートルズのポール・マッカートニーの曲は、ベースが曲の最重要パートになるように 作曲してあり、研究すると良い。
ディープ・パープルの「Smoke on the Water」も、ベース・ラインが面白い。
この曲のベースは、Aメロではギターと一緒にシンプルなリズムを刻んでいるが、ギターソロになるとジャズのウォーキング・ベースのような動きを始めるのが強烈なアクセントになっている。
J-popではプリンセス・プリンセスの「ダイアモンド」のベースが面白い。
転回形を利用して半音下降したり、スタッカート気味に刻んだり、オクターブ高いピッチで合いの手を入れたりしている。
🔵イントロとエンディング
イントロの作り方は、オンコードやクリシェのコード進行を使い、ギターかキーボードの ソロから始めて、途中でベースやドラムを加えると割と簡単に形になる。
エンディングはイントロより難しく、「リハーモナイズ」の知識が必要。
私がよく使うのは、メロディの最後の音を伸ばして、その音がテンション・ノートになるコードを当てること。
テンションになるという事はノン・ダイアトニック・コードになる場合が多いので、聴き手はびっくりする。
あとは半音つたいに進行するとお洒落になる。
エンディングでのフェードアウトは、一種の「逃げ・手抜き」である。
その効果を狙ったものならいいが、エンディング作りの腕は上がらない。
🔵飽きさせない編曲の実例
プリンセス・プリンセスの「19 グロウイングアップ」
①イントロ
0:00 幕開け
0:07 シンコペーションのリズムによる遊び
0:15 メインリフ(たて乗り)
0:22 オブリガード(よこ乗り)
②Aメロ
0:33 ボーカルが入る(メインリフの伴奏)
③Bメロ
1:02 ベースの刻みが4分から8分へ
1:18 リズムを変化させながらブレイクへ
④サビ
1:29 ボーカルの合間をシンセのオブリガードで埋める
⑤間奏
1:53 4分刻みの縦乗りのメインリフ
⑥2番
2:12 Aメロにシンセが追加
3:08 サビのオブリガートを変化させる
⑥ブリッジ
3:32 クリシュを使ったリズムブレイクでサビのリフレインへ
①エンディング
4:03 メインリフに異なるベースラインを当てる
4:11 白玉で音を伸ばしておいて、初めて出すリフで締める
(2025年6月22日に作成)