(『オーディオ誌ステレオ』から抜粋
2011年3月13日にノートにとり勉強)
JBLのK2 S9800は、2001年に発売された大型スピーカーで、1本が130万円で、重量は90kgである。
これはノーチラス801を小型にして家庭用にしつつ、801よりも高性能化したもの。重量は1本が125kg。
前回のK2 S9500から12年経って新たな製品が出た。
以下に特徴を列記する。
🔵ウーハー
ウーハーの1500ALは、以前の1400NDの進化形。
1400NDよりも前後の動きが60%拡大し、ボイスコイルも25%長くなった。
鋼リングを15枚、スチールリングを16枚を交互に重ねて、過電流とフラックス・モジュレーションを抑えている。
銅の方が良いが、あまり入れすぎると磁束フィールドが落ちるという。
磁石はアルニコを採用。
100℃の変化でフェライトは20%、ネオジウムは10%磁力が落ちるが、アルニコは2%ですむ。
つまり寒暖の変化にアルニコは強い。変化が小さく、動作が安定している。
アルニコの欠点は、RCAプラグを抜くなどで瞬間的な大入力が入ると、動作点がずれて元に戻らなくなることだ。
この欠点を、大きなアルミのショートリングとギャップ内の銅とスチールのリングで克服した。
また、通常のダンパーだと歪みが出るが、ダンパーを2枚にして改善した。
素材もノーメックスを使い、寿命を伸ばした。
エッジは発泡性のゴムにし、従来のウレタンより耐久性を上げた。
ゴムはEPDM素材で、紫外線にも強い。
コーンのパルプは自然乾燥させている。
🔵高域用のドライバー(※このスピーカーには中域用のユニットは無い)
435Beを使用。
従来のドライバーは10~15kgだったが、1kgに軽量化した。これはプロユースでの使用を念頭に入れたため。
JBLのドライバーは伝統的に2インチと4インチ径だったが、これには初めて3インチを採用した。完全に新たな設計をした。
振動板はベリリウムを採用し、従来のチタンより分割振動の起動を持ち上げ、15kHzにした。
ベリリウムの固さはチタンの50%増で、重さは3分の1。そのため能率を高くできる。
他社はベリリウムを銅の上に蒸着させて銅を取り除くが、JBLはシート状にプレスしてから成型した。
エッジ素材はカプトンを使用。カプトンは耐久、耐熱性に優れる。
🔵超高域用のツイーター
045Beを使用。
これもベリリウムを採用。そして指向性を稼ぐためドライバーを採用した。
50KHzで60度の指向性を保証している。
ホーンの素材は、ポリエステルにグラスファイバー等を混入したもの。
🔵ネットワーク
下部のボックスに独立収納され、背圧などから守っている。
低域は基板を使わずに空中配線。
🔵ハーベス社とSuper HL5
ハーベスは1977年の創業。
創業者のハーウッドは、BBCの研究所でスピーカーの設計をしていた人。
日本には78年にモニターHLが輸入されて初紹介された。
ちなみにモニターHLは、改良によりMKⅣまで発展した。
1987年にハーウッドは引退し、アラン・ショーが引き継いだ。
88年 HLコンパクトを発売。
89年 HL5を発売。
これはBBCモニターの名機LS3/5Aを継承した音で、ハーウッドは感動して号泣したという。
2004年 Super HL5を発売。
Super HL5は、コンピュータ解析を導入して音のチューニングを行った。
初めてスーパー・ツイーターを採用し、3ウェイにした。
これはチタンのハードドーム型で、10kHz以上を担当する。
(2025年6月24日に作成)