タイトル吹奏楽で使われる楽器たちの解説

(『必ず役立つ吹奏楽ハンドブック』丸谷明夫監修から抜粋)

〇フルート

木管楽器の中で、最も高い音域を担当する。

吹奏楽ではメロディを担当することが多い。

ほとんどが金属製だが、昔は木製だったのと、発音の仕方から、木管楽器に分類されている。

吹き込んだ息の半分は外に出てしまうため、演奏では息がたっぷり必要となる。
見た目よりも体力が必要である。

Cキーのフルートが一般的。

歯並びが良くて、唇の薄い人が演奏しやすいと言われている。

〇ピッコロ

全ての管楽器の中で、最も高い音域を担当する。

フルートの半分の長さで、フルートよりも1オクターブ高い音域を持つ。

木製のほか、銀やプラスチック製もある。

ほとんどの場合、フルート奏者が持ち替えて吹く。
構造と奏法はフルートと同じである。

〇クラリネット

木管楽器の1つで、マウスピースに取り付けたリードを振るわせて音を出す。

楽器自体は、木材と金属パーツから成る。

機能面に優れている楽器で、難しい曲も意外と吹けてしまう。

音域がとても広く、吹奏楽では主に主旋律を担当する。

吹奏楽では、たいていは2~3パートに分かれて演奏する。

クラリネットは、吹奏楽では最も人数が多いパートで、第1クラリネットのトップの人がコンサート・マスターになる事が多い。

B♭のものが一般的で、B♭のバス・クラリネットは低音域を担当する。

E♭のアルト・クラリネットは吹奏楽ではよく使われるが、オーケストラではほとんど使われない。

E♭クラリネットは、B♭クラリネットよりも高い音域をカバーし、「エスクラ」と呼ばれる。

リードは、できれば1箱(10枚入り)を買い、最初に全部を吹いてみて、吹きやすいものを選んで交互に使用する。

同じリードを使い続けると、痛みが早くなる。

〇サクソフォン(サックス)

木管楽器と金管楽器の良さを合わせ持つ楽器として開発された。

吹奏楽では、木管と金管のつなぎ役として活躍する。

クラリネットと同じく、リードを振動させて音を出す。

ジャズなど、幅広いジャンルで使われる楽器で、表現力の豊かな楽器である。

初心者でも大きな音を出せるが、美しい音色にするには努力が必要である。

大きな音が出るので、練習場所に気を配る必要がある。

逆に小さな音を出すのが難しい楽器で、小さな音を保って出すには技術がいる。

アルト・サクソフォンは、サクソフォンの中でメロディを奏でることが一番多い。

テナー・サクソフォンは、中音域を担当するが、音量がある。

バリトン・サクソフォンは、低音部を支える存在。

ソプラノ・サクソフォンは、高い音域を担当し、サクソフォンの合奏曲ではリーダー役となる。

演奏を終えて、楽器を置いたり移動させる時は、リードとマウスピースを守るため、必ずキャップを付けること。

〇オーボエ

2枚のリードを合わせた「ダブル・リード」を使う楽器である。

音色にとても特徴があり、管体はとても細くて円錐形をしている。

木製の管体と、50個の金属部品からできている。

楽器が高額なのもあり、吹く人が少ない。

表現力の豊かな楽器だが、構造が複雑で、リードの調整が難しく、吹きこなすのは大変である。

イングリッシュ・ホルンは、オーボエの仲間で、オーボエよりも音域が低く、オーボエ奏者が持ち替えて吹くこともある。

〇ファゴット

木管楽器の中で、最低音を担当する。

音量は小さめだが、音が溶け込みやすいので、他の楽器とユニゾンを組むことが多い。

木製の長い管体である。
ファゴットはイタリア語で「薪の束」を意味する。

奏者は少なく、教師や先輩が見つからずに独学で練習しなければならない事もある。

楽器としては、キーの構造が複雑で、指使いが難しく、基礎練習が欠かせない。

大きい楽器で、10本の指をすべて使うので、大きな手の人が向く。

座って演奏し、楽器は右足の太ももと左手で支える。

音程の振れ幅がとても大きく、正しい音程を出すために耳を鍛える必要がある。

コントラ・ファゴットは、ファゴットを大型化したもので、ファゴットよりも低い音域を受け持つ。

オーボエと同じく「ダブル・リード」を使うが、リード代はクラリネットなどのシングル・リードよりも高価である。

〇トランペット

金管楽器の中でも花形で、メロディを担当することが多く、吹奏楽では3パートくらいに分かれて演奏する。

ピストン式とロータリー式があり、ピストン式のB♭管が一番多く使われている。

マウスピースを使うが、これは金属製で、カップ(吹き口)の大きさや深さは色々とある。

音が高くて明るいのが特徴で、プレイヤーの数は多い。

小柄の人でも演奏できる楽器で、腕の長さや指の長さもあまり演奏に関係しない。

わりと安価で買える楽器でもある。

唇が薄くて、歯並びの良い人が向いている。

トランペットの仲間には、コルネット、フリューゲルホルン、ピッコロ・トランペットがある。

コルネットは、トランペットと同じ運指、音域だが、音がまろやかで柔らかい。

フリューゲルホルンは、トランペットと同じ運指、音域だが、音が太くて柔らかい。

ピッコロ・トランペットは、管の長さがトランペットの半分で、音が1オクターブ高い。

〇ホルン

古くからある楽器で、金管楽器の中では最も広い音域を持つ。

吹奏楽では2~4パートに分かれて、和音を奏でる。

ホルンには、F管とB♭管のシングル・ホルン、F管とB♭管の両方がついたフルダブル・ホルン、高音域までカバーできるトリプル・ホルンがある。

F管のシングル・ホルンは、基本的な調子で、独特の美しい音色を持つ。

B♭管のシングル・ホルンは、F管よりも4度音が高くて、明るくキレのある音がする。

フルダブル・ホルンは、F管とB♭管の両方の調子を出せて、双方の音色を得られる。

トリプル・ホルンは、フルダブル・ホルンに高音域のF管が付き、高音域も安定して出せる。

ホルンは、小柄な人でも演奏でき、腕の長さも演奏に影響しない。

吹奏楽では和音の内声を担当することが多く、吹きっぱなしになる事が多い。
そのため体力勝負になる。

吹奏楽では、ホルンは最低でも3オクターブは使う。

マウスピースは金属製だが、ホルンのマウスピースは小さい。

トランペットと同じで、唇が薄くて歯並びの良い人が向いている。

マウスピースの中で唇が振動し、その振動を長い管を通して増幅させることで音が鳴る。

〇トロンボーン

金管楽器で、スライドという管を動かして音程を変える。

基本的には低音楽器として活躍する。

トロンボーンには細管から太管まであり、細いものほど息の量が少なくてすみ、吹きやすい。

吹奏楽では中細管を使うことが多い。

テナー・トロンボーンが、最も使われている。

テナー・バス・トロンボーンは、テナー・トロンボーンにF管を付け加えたもので、レバーを切り替えることで、より低音域も吹ける。

バス・トロンボーンは、B♭管のテナー・バス・トロンボーンをさらに太くしたもの。
さらに低音域を出せる。

トロンボーンはトランペットなどに比べて重い楽器で、スライドを動かすため腕が短いと苦労する。

だから体が大きくて腕の長い人が向く。

ただしテナー・バス・トロンボーンとバス・トロンボーンは、腕が短くても大丈夫。

なお、スライドの部分はデリケートなので、ぶつけたり落としたりしないように、細心の注意を払わなければならない。

〇ユーフォニアム

オーケストラではほとんど使われないが、吹奏楽では使われる、金管楽器である。

ユーフォニアムは、英語で「朗々と響く」という意味。

形はチューバと似ているが、音域はトロンボーンとほぼ同じ。

チューバよりもかなり小さく、女性でも演奏できる。

ベルは上向きで、ピストンは3本のものと4本のものがある。

中低域の豊かな響きが特徴で、癒される音である。

珍しい楽器なので、教えてくれる人がいなくて独学を強いられる場合もある。

ユーフォニアムと同じ音域を持ち、ユーフォニアムよりも少し小さい楽器として、バリトンがある。
これはテナー・チューバと呼ばれることもある。

〇チューバ

低音を担当する金管楽器で、上を向いたベルから重低音が出る。

吹奏楽では、コントラバスと共に最低音を担当する。

大きく重い楽器なので、大柄な人が担当することが多い。

チューバには、上向きのピストンが付いた「ピストン・タイプ」と、前面にレバーが付いた「ロータリー・タイプ」と、前面にピストンが付いた「フロントアクション・タイプ」がある。

吹奏楽では、B♭管が一般的である。

チューバは管が長いので、たくさんの息を必要とする。

〇コントラバス

吹奏楽では、唯一の弦楽器となる。

最低音を奏でて、チューバなどと一緒に動くことが多い。

コントラバスが入ることで、吹奏楽の響きが豊かになる。

弦楽器なので弓で弦を弾くが、吹奏楽では息を吹き込む管楽器と呼吸を合わせるのがポイントになる。

楽器の中央部分で弦を支えている駒は、木製の板だが、釘などで固定されているわけではなく、弦の張力で立っている。

エンドピンは、楽器の最下部に付いているピンで、これの長さを調整して、自分の背の高さに楽器を合わせる。
指板の一番上が額の高さくらいになるように、ピンを調整する。

コントラバスは大きい楽器で、長身の人や、手の大きい人が向いている。

弓は1年に1度、弦は3年に1度は張り替えたいところ。

弓の毛は、練習中でも5分以上の休憩をするなら緩めること。

弓は、力を入れずに軽く持って演奏する。
また弓の角度は、どの弦を弾く時も床と平行になるようにする。

〇パーカッション

吹奏楽でリズムを任されるのが、パーカッション(打楽器)である。

吹奏楽では、スネアドラム、バスドラム、ティンパニ、マリンバなどが使われる。

打楽器なので、リズム感の良い人が向く。

吹奏楽だとバスドラムはスタンド付きで、ドラムを少し傾けて設置する。

ティンパニは、通常は3~4個を使い、その曲に合わせてチューニングする。

マリンバは、鍵盤打楽器で、木の豊かな響きが特徴である。

スネアドラムは、打面がへそよりも7~10cmほど低くなるように、スタンドの高さを調整する。

スティックの持ち方がマッチド・グリップならば打面は平らに、トラディショナル・グリップならば左側をやや高くして、セッティングする。

左右のスティックは、打面に置いてみて上から見たら、90度より少し狭いくらいの角度で持つと良い。

〇補足的な話

金管楽器は、唇を震わせて、それが楽器を通して増幅されて音になる。

だから唇を震わせる「バズィング」という練習が必要である。

金管楽器は、マウスピースだけでも音程をとる事ができる。

だからマウスピースだけで練習することもある。
しかしマウスピースだけで無理に音程をとると力んでしまうので、近い音程になればOKである。

演奏では腹式呼吸が大事だが、あお向けに寝ている時の自然な呼吸がベストな状態である。

だから、あお向けで寝ている時に体がどんな状態かを確認する。

その呼吸を、座ったり立った状態でも出来るように練習する。

ロングトーンを出す練習は、できれば窓の外を見て、遠くまで音を飛ばす気持ちでやると良い。

山が見えるなら、山のてっぺんに聞こえるようなイメージで音を出す。

吹奏楽のチューニングは、B♭に合わせる事が多い。

これはクラリネットやトランペットがB♭管だから。

オーケストラでは、開放弦で鳴るAに合わせるのが普通である。

「タンギング」は、舌を使って音を切ること。

楽譜でスラーが付いていない所は、基本的に全てタンギングする。

舌を当てる場所は、リード楽器はリードに舌をつけて離す、フルートや金管楽器は歯の裏側に舌をつけて離す。

クラリネット、フルート、サックス、オーボエは「Tu」と、その他は「Ta」や「Du」と発音すると、舌が歯の裏に当たりタンギングになる。

発音するつもりで音を出すと、自然にタンギングできる。

金管楽器に特有のテクニックに、「リップ・スラー」がある。

これは、指使いは同じままで、タンギングしないで、唇(口)だけで音を変える。

なめらかに演奏するために欠かせないテクニックである。

タンギングと指の動きが合わない人は、まずタンギングをせずにスラーで指の動きをマスターし、その後にタンギングを練習すると良い。

指使いが上手くいかない時は、鏡の前で指の形を確認すると良い。

なお木管楽器には、本来の指使いと違う「替え指」がある。

速いパッセージやトリルで指使いが難しい場合に使うことがある。

ただし、替え指の音は音程が安定しないものもある。

(2023年2月16~17日に作成)


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