マイクの種類・分類、セッティングなど(以下は『音楽用語事典』リットーミュージック刊行から抜粋
2009年11月5日、12月1日、2010年6月17~18日にノートにとり勉強)
🔵マイク(マイクロフォン)
音(音波)を電気信号に変換する装置。
音のエネルギーを使った小さな発電機と言える。
発電機構によって、以下に述べる種類に分けられる。
🔵①ダイナミック型(ダイナミック・マイクロフォン)
永久磁石の周囲にコイルを巻き、 コイルに直結した振動板(ダイアフラム)の振動によってコイルを動かし、電磁誘導で発生した電圧を取り出す形式。
(電磁誘導の原理で発電する。)
振動板+コイルの代わりに、ごく薄いリボン状の金属片を使用した「リボン・マイク」もこの仲間である。
ダイナミック型はタフで出力もあるため、ステージでの収音などに多く使われる。
しかしコイルという重い荷物を動かす構造上、速い振動に追従できず、高域特性が弱い。
リボンマイクは可動部が軽いため高域特性が良いが、振動や大音圧に弱く、壊れやすい欠点がある。
振動板+コイルの代わりに、ごく薄いリボン状の金属片を使用した「リボン・マイク」もこの仲間である。
リボン・マイクは主に、放送局などのスタジオで固定して使われている。
「ベロシティ・マイク」はリボンマイクの一種である。
🔵②コンデンサー型 (キャパシター・マイクとも言う)
コンデンサーの容量変化によって、音を電気信号に変える形式。
コンデンサーの2枚の電極のうち、片方を固定し、もう片方を振動板とする。
振動板が揺れるとコンデンサーの容量が変化するので、その変化を検出し、電気信号に変換する。
検出の際、電極間に高電圧(100V以上)をかける必要があり、さらにアンプを内蔵しているため電力を供給しなければならない。
電力供給は、専用の電源ユニットを使うものと、ファンタムから電源を得るものとがある。
ダイナミック型と違ってコイルを必要としないため、振動系が軽く、細かく繊細に動く。
良好な高域特性と、繊細な音色が特徴。
「エレクトレット・コンデンサー型」は、電極間に特殊な素材をはさむことで、高圧を不要にしたタイプである。
コンデンサーマイクは、外部電源から高圧を供給するために、大型化する欠点がある。
エレクトレット・タイプは、電極間に半永久的に電荷を保存する素材(エレクトレット)を挟むことで、この欠点を解決したマイクだ。
しかしヘッド・アンプは必要で、マイク内部に電池を内蔵する方式とファンタム電源を利用する方式がある。
🔵③クリスタル型
圧電素子であるクリスタルを発電素子としたタイプ。
高出力、構造が簡単、安価である、のが特徴。
だが特性が悪いため、音質重視の収音には使われない。
🔵④セラミック型
セラミックを発電素子にした形式。
音質が悪いため、特殊用途以外あまり使われない。
余談になるが、ギターのピックアップをマイクと呼ぶ事がある。
これは俗称であり、正しい呼び方ではない。
🔵マイクの指向性による分類
マイクの分類は、指向性による分類もある。
指向性とは、マイクの場合、音波を受ける感度が音が来る方向によって異なることを言う。
マイクは必要に応じて指向性を持たせてある。
ちなみにスピーカーの出音にも指向性があり、聴く場所で音量・音質に差がある。高域になるほどその差は大きい。
以下に、マイクの指向性の種類を述べる。
①無指向性
あらゆる方向からの音に対し、同じ感度を持つ特性、マイクを言う。
②双指向性(両指向性とも言う)
正面と背面の感度が高く、真横の感度が低いタイプ。
特性図のパターンが8の字型になることから、「8の字特性」とも呼ばれる。
対談や邦楽の収音によく使われる。
③単一指向性
一方向にだけ特に感度を上げてあるタイプ。
必要な音だけを拾うのに適し、周囲の音の感度は相当減少する。
ボーカルや楽器ごとに収音する場合に適している。
集音器を使い、超指向性を持たせて遠い音源を集録する時にも使われる。
④カーディオイド
単一指向性マイクの指向特性パターンの、最も典型的なもの。
転じて単一指向性の意味にも使われる。
カーディオイドとはハート型の意味で、特性パターンがハート型になることからこの名称になった。
この特性のマイクは、側面は正面に比べて6dB低く、背面の感度はほとんどない。
そのためハウリングに強く、PA用で主流になっている。
⑤スーパー・カーディオイド
カーディオイドとハイパー・カーディオイドの中間的な特性で、側面の感度はカーディオイドよりも低く、ハイパー・カーディオイドよりは高い。
背面の感度は、カーディオイドよりも高く、ハイパー・カーディオイドよりは低い。
⑤ハイパー・カーディオイド
側面はカーディオイドより6dB低い(1/2になる)が、背面は高くなっている。
カーディオイドよりも背面の音を拾いやすいが、側面感度が低いため、ボーカル用のハンドマイクに使われる。
側面が低いためハウリングに強い。
メーカーによってはカーディオイドのマイクをハイパー・カーディオイドと称して宣伝しているので注意が必要である。
🔵その他のマイクの分類
〇ワンポイント・ステレオ・マイクロフォン
1本でステレオ収音が可能なマイク。
内部に単一指向性のマイクが2本収納されていると考えれば、基本的には間違いではない。
実際にそのような製品もあり、「XーY方式」と呼ぶ。
双指向性と単一指向性を1本ずつ使用し、専用のマトリックス回路でステレオ信号を取り出す「MーS方式」もプロ機では多く使われる。
このタイプは、民生機ではエレクトレット・コンデンサー型が、プロ機ではコンデンサー型が主に使われる。
〇コンタクト・マイク
楽器などに取り付けるための超小型のマイク。
小型なほかは一般マイクとほとんど変わらない。
エレクトレット・コンデンサー型が多いが、ダイナミック型もある。
〇タイピン・マイク(ラベリア・マイク)
ネクタイや襟に止める超小型のマイク。
〇バウンダリー・レイヤー・マイク
平板型マイクの一種。
主に壁や床、天井、机の上などに貼り付けて使う。
オフ・マイクでも比較的クリアに収音できる点と、目立ちにくくマイクを意識させない点が特徴。
テレビ番組や演劇、会議などの録音に使われる。
PZMが反射面に向けて取り付けられるのに対し、これは反射面に埋め込まれている点が異なる。
〇PZM(プレッシャー・ゾーン・マイクロフォンの略))
米クラウン社の商標。
反射板とそれに対面するマイクから成り、全ての音を反射板に反射させてから収音するマイクのこと。
🔵マイクのセッティング
①オーバーヘッド・マイク
楽器やボーカリストの頭上にセットされるマイクのこと。
直接音だけでなく間接音も良好に収音できる。
ただし音像がボケ気味になることがあり、クローズマイクと併用されることが多い。
②クローズ・マイク
音源に近づけてセットされたマイクのこと。
直接音を収音するため、音像は明確。
だが室内の残響などは拾いにくい。
②オン・マイク (クローズ・マイクとも言う)
音源のすぐ近くにマイクをセッティングすること。
またはそのようなセットをしたマイクでの収音。
目的の音以外は拾いにくく、クリアーな収音が可能である。
しかし近接効果により、低域の特性が上がってしまうこともある。
直接音のみを収音するため、空間的な広がりは得られない。
現在主流のマルチマイク収音(複数のマイクを使うやり方)は、ほとんどがオン・マイクである。
距離感や広がりは、収音後のエフェクトで付加される。
②オフ・マイク
音源から距離を置いてマイクをセットすること。
また、そのマイクでの収音。
フラットに近い特性が得られ、距離感も出せる。
反面、他の音を拾いやすく、S/N比や音の被りが心配になる。
🔵マイクに関する用語
〇ウィンド・スクリーン
風雑音やポップノイズを防ぐために、マイクにかぶせる風よけのこと。
ボーカル用マイクに装備される事が多い。
〇吹かれ
風や息などで、「ボソボソ」、「ポコポコ」といった雑音が出ること。
この現象が起きやすいマイクを、「吹かれに弱い」と表現する。
防ぐにはウィンド・スクリーンを使うのが一般的。
〇振動板
音を受けて振動する部分のこと。
微妙な振動にも敏感に反応するように、極薄のプラスチック・フィルムなどが使われる。
〇ボイスコイル
振動板に直結して巻かれたコイルのこと。
マグネット、ポールピース、ヨークからなる磁力線の中に置かれ、振動板から伝わる振動によって、コイルの両端に電圧を発生する。
機械的な振動を電気的な振動に変換する部分。
民俗音楽と無調性は別物です。なぜなら民俗音楽は調性的だから。
(2025年10月21日に作成)