(『誰でもハモれるBOOK』藤田進・編著から抜粋)
声を出す時は、口の開き方が重要で、ほおの筋肉をしっかりと使って、上唇が下がらないように注意する。
いつも上の歯が見える状態で「アイウエオ」を発音する。
声は、声帯の振動が、口腔や鼻腔や頭蓋骨や胸に共鳴して、その人の声を作っている。
声をよく響かせるには、声を身体全体に共鳴させることが大切である。
なお、低音域で声を出すほうが、声が身体に共鳴する感覚をつかみやすい。
トレーニングの始めの段階では、声を口腔と鼻腔の両方にバランスよく響かせるよう注意する。
そして響きの焦点を、なるべく前に(鼻先から上唇と前歯のあたりに)するイメージで声を出す。
腹式呼吸のポイントは、背筋を伸ばして、お腹に空気を一杯入れるイメージで息を吸う。
そして吸ったら、下腹(丹田)に力を入れて、その状態の横隔膜を支えることだ。
①まず足を肩幅くらいに開き、背筋を伸ばす
②胸を広げて、アゴを引き、肩の力を抜く
③お腹へ空気を入れるイメージで息を吸い、横隔膜をグーッと下げるようにして深く吸い込む
腹式呼吸に慣れてきたら、あくびをする時のイメージで、リラックスした状態で鼻と口から深く息をする。
声が固いとか平たいと言われる人は、鼻への共鳴が足りなくて、喉に力が入っている人が多い。
そういう人は、「Ma」や「Na」の発音で、声をバランス良く深く響かせる練習をしよう。
まず、唇を軽く閉じたまま、「ンー」と鼻腔だけで声を出してみよう。
しっかり響かせると、唇の裏側まで共鳴し、少しくすぐったくなる。
この感じを掴んだら、次は「Maー」と口を開けて発音する。
口を開く時に、上の歯が見えるくらいに上唇を持ち上げること。
次は、ドレミファの音階を「Ma」で歌う練習をする。
「Ma」に慣れたら、次は「Na」で歌う。
サッカー場などで遠くの人を呼ぶとき、お腹の底から「おーい」と声を出すはずだ。
その時の身体の使い方を思い出して歌えば、すてきな声が出る。
卒業式などで「はい」と返事するとき、背筋をピンと伸ばしてお腹から声を出すはずだ。
これを歌に応用すればいい。
まず「はい!」としっかりした声で出してみる。
良く響く声が出たら、次は「はーい」と少し長く発音する。
感じが掴めてきたら、さらに長く「はーーーい」と続けていく。
これを毎日3分やるだけで、けっこう声が変わってくる。
歌っていて息が続かなくなるのは、たいていは呼吸法が原因である。
初心者だと、息を吸うことばかり意識して、しっかり吐くのをおろそかにしている事が多い。
しっかりと吐ききると、スッとお腹の支えを緩めるだけで、自然に空気を吸える。
4拍子で、「1、2、3、4」とカウントをとり、2拍吸って2拍吐くのを繰り返して、1分続けてみよう。
しっかり吸い吐くのに注意しながら行うこと。
声がこもったり、声の抜けが悪い人は、共通して顔の筋肉をちゃんと使えておらず、口だけパクパクさせている。
笑い声は遠くまで響くが、それはリラックスしてお腹から出しているのと同時に、ニコッと笑うことで頬の筋肉が動き、上唇が自然に持ち上がるからだ。
高齢者は、顔の筋肉が緩んでいて上唇が下がったまま喋るので、声がモゴモゴしてしまう。
歌う時は、顔の筋肉をしっかり使い、いつも上の歯が見えている状態で発声することが大切である。
これは、笑顔で発声するのと同じである。
良い声を出すには、身体を鍛えることも大切である。
誰にでも出来て有効なトレーニングは、風船をふくらます事だ。
これはプロ歌手もやっている。
お腹から声を出す時の筋肉の使い方を身体に覚えさせて、同時に心肺機能も強化できる。
歌っていて息が続かなくなるのは、ブレス(息継ぎ)が出来てない事が多い。
しっかりブレスが出来ないのは、しっかり息を吐けてないから。
風船トレーニングを朝晩に10分続けるだけで、絶対に声は変わってくる。
さらに歌では、舌も重要な働きをしている。
声が固いのは、舌が固いからと言ってもよい位である。
だから舌のストレッチをすると良い。
(以下は『音楽の正体』渡辺健一著から抜粋
2010年7月30日にノートにとり勉強したものを転載)
歌が上手くて声も良いのに、感動のない歌手がいる
理由は、自分の声に溺れて、最初から声を張ってしまっているのだ。
つまり歌に抑揚がないのである。
(2023年4月19日に作成)