(『図説 楽器の歴史』フィリップ・ウィルキンソン著から抜粋)
🔵トロンボーン
トロンボーンの特徴は「スライド」で、管の長さを伸び縮みさせて音程を変える。
管が長くなると音は低くなる。
ヨーロッパの中世にスライド・トランペットが発明されており、スライド機能があったことから、トロンボーンの元祖と思われる。
スライド・トランペットは、大きくて重く演奏がしにくかったようで、普及しなかった。
トロンボーンは1460年頃に、フランスのブルゴーニュ地方で誕生したようだ。
そしてスライドが軽く動かせるように改良されていった。
16世紀になると、トロンボーンはあらゆる音楽に使われるようになり、様々な音域のトロンボーンが登場した。
ソプラノ、アルト、テナー、バスのトロンボーンが作られた。
作曲家のジョヴァンニ・ガブリエーリやハインリヒ・シュッツは、トロンボーンを上手く使っている。
17世紀の後半からは、トロンボーンはオーケストラにも定着した。
モーツァルトも、ドン・ジョヴァンニやレクイエムでトロンボーンを使っている。
1839年には、ヴァルブ付きのトロンボーンが開発され登場した。
これは音域が広く、ワーグナーやシュトラウスは交響曲に使っている。
19~20世紀のオーケストラでは、テナー・トロンボーン2本とバス・トロンボーン1本の編成が基本となっている。
トロンボーンの独奏曲もあり、サン=サーンス、ミヨー、ヒンデミット、マルタンなどが書いている。
さらにジャズの世界では、新しい奏法を使う名手も出ている。
(2023年8月29日に作成)