タイトルハープ

(『図説 楽器の歴史』フィリップ・ウィルキンソン著から抜粋)

○ハープ

ハープは古くからある楽器だ。

旧約聖書に出てくるダヴィデ王は、ハープ奏者でもあった。

古代エジプトの前3~2世紀の絵にも、ハープは描かれている。

古代ギリシアにもハープはあり、プラトンが言及している。

リラ(ライア)は、古代ギリシアでよく使われた楽器だが、垂直に弦を張るハープと異なり、共鳴胴と同方向に弦が張られる。

共鳴胴は亀の甲羅だった。

古代ギリシアには、「キタラ」というもっと大型の竪琴もあった。

これは木製で、神殿や式典で使われた。

中世のハープは、弦の数が現在よりも少なく、12本とか25本くらいだった。

16世紀に、「ダブル・ハープ」という弦が2列に並んだものが考案され、弦が追加されて半音階が弾けるようになった。

さらに「トリプル・ハープ」という、3列のものも誕生した。

ハープを真に自由に演奏するには、すべての弦を瞬時に半音変換できるのが望ましかった。

そこでヤコブ・ホッホブルッカーは1720年頃に、フットペダルで音程を変えられる仕組みを発明した。

フランスのセバスティアン・エラールは、1792年に、フットペダルを踏むと小さなディスクが回転し、突起が弦に当たって弦の長さが短くなり、半音上がる仕組みを考案した。

エラールはさらに「ダブル・アクション・ハープ」を考案したが、これはペダルを2段階で踏むことで、半音、全音と音程を変えられる。

ペダルは7本もあって、1つのペダルが同じ音名(Aなど)に働き、全オクターブのA弦に作用するといった具合だ。

現在のハープは、弦は47本で、6オクターブ半の音域である。

音量も大きくなっていて、オーケストラの中でもきちんと聴こえる。

ハープの奏法には、親指で弦をはじいた直後に他の指で振動をおさえて、鈍い音にする技がある。

モーツァルトは1788年に、「フルートとハープのための協奏曲」を書いている。

ルイ・シュポーア(1784~1859)や、ヤン・ドゥシーク(1760~1812)は、ハープを活かした室内楽を書いている。

ハープを初めて管弦楽に入れたのはベルリオーズで、「幻想交響曲」では6台ものハープを使っている。

ハープはバレエ音楽でもよく使われ、踊りの伴奏をしている。

ハープの製作で大手となったエラール社は、ラヴェルにハープ曲を依頼し、「序奏とアレグロ」(1905年)が生まれた。

これはハープ曲の傑作である。

他にも、イベール、フランセ、ジョリヴェもハープの名曲を書いている。

(2023年12月31日に作成)


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