タイトルエフェクターについて

(『音楽用語事典』から2009年10月~12月にノートにとって勉強したもの)

エフェクトとは、効果、影響の意味である。

音楽用語では、次の3つの意味がある。

①効果全般を指す。
「エフェクトをかける」というように使う。

②エフェクターのこと。
effectsと複数形の場合、「エフェクター類」の意味になる。

③ミキサーなどのツマミの表示。
エフェクターに送る信号レベルを決めるツマミのこと。
AUX、ECHOと表示されている事もある。

エフェクターは、日本の造語らしい。

これは、音を加工して、原音と異なる音に変化させる機器をいう。

エフェクターには、色んなタイプがある。
それぞれの名称は、得られる効果や商品名などで決まった。

現在はデジタル系のものが主流である。

◎エフェクターの種類

①時間の制御系

エコー、リバーブ、コーラス、フランジャー、フェイザー、ピッチ・シフター。

②周波数特性の制御系。

グラフィックEQ、パラメトリックEQ、ワウワウ。

③レベルの制御系。

コンプレッサー、リミッター、エキスパンダー、ノイズゲート、オート・パン。

④ディストーション系。

ディストーション、オーバードライブ、ファズ。

⓹複合系。

エキサイター、ディエッサー。

エフェクター・ボードは、複数のエフェクターを組み込むための箱をいう。

この箱にまとめることで、持ち運びやセッティングを簡単にする。

◎各エフェクターの解説

○オクターバー

楽器用のものは、音程を1オクターブや2オクターブ上下させる機能をもつ。

和音は扱えず、単音だけに有効。
また、音色が変化してしまう。

音程移動がオクターブに限られる点と、和音は扱えず音色も変わる点が、ピッチ・シフターとの違いである。

○オート・パン

スピーカー間で定位を左右に動かす効果のエフェクターである。

パンは、パンポット(pan pot)の意味。

定位の移動を途中で止めたり、またそこから移動させたり出来るものもある。

○オート・ワウ

ワウの一種で、主にエレキギターで使う。

弦を弾くと自動的にワウ効果のかかる装置である。
弦の弾き方で、効果の強弱を表現できる。

機構的には、エンベロープ・フォロワーとVCFを組み合わせたものである。

○オーバードライブ

あるレベル以上の信号をアンプに入力すると、音が歪むが、これを過大駆動(オーバードライブ)と言う。
ちなみに過大入力が過ぎると、スピーカーが壊れる。

過大駆動の時に得られる音色に似た音色を、小音量時にも得るエフェクターが、オーバードライブである。

これはディストーションの一種だが、どちらかと言えばソフトで柔らかい歪みである。

○コーラス

コーラス効果を得るエフェクター。

コーラス効果とは、単一の音を複数の音が鳴っているように変えるもので、サウンドに奥行きと厚みを加える。

入力された音に、遅延効果(変調回路)を通した、わずかに遅延した音を混ぜることで、コーラス効果を得ている。

遅延効果は、エコーのように一定ではなく、1秒程度の周期で規則的に変化させる。
こうして得られた遅延音は、それだけで聴くとビブラードである。

このビブラード音と原音をミックスすることで、コーラス効果となる。

○ディストーション

信号波形の上下を切り取るなどの操作で、故意に歪みを発生させるエフェクター。

ソフト・ディストーションは、偶数次の歪みを多く持ち、比較的に柔らかい音色である。

ハード・ディストーションは、奇数次の高調波成分を多く含むもので、刺激的な音色である。

○ディレイ・マシン

本来は、電気的に信号を遅らせる装置の総称である。

初期はエコーしか存在しなかったので、ディレイ・マシンはイコールでエコー・マシンと捉えられていた。
そのため、リバーブは別物と考えられてきた。

しかしデジタル化されて機能が多様化されると、本来の意味を取り戻した。

デジタル・ディレイは、1台でエコーやリバーブなどの様々なディレイ・パターンを得られる。

〇トーキング・モジュレーター

口の共振を利用したもので、しゃべるようにして効果を得るところから、この名前で呼ばれている。

ギターアンプのスピーカーから出た音をパイプに導き、パイプの反対側の端を口にくわえて、しゃべるように口を動かすと、サウンドが変調(モジュレーション)される。

それをボーカル用のマイクで拾い上げ、PAなどで音を出す。

トーキング・マシン、ボイス・モジュレーター、マウス・ワウなどとも呼ばれている。

〇トレモロ

音量を小刻みに大小に変化させることを、トレモロと言う。

エフェクターの場合は、電子回路で信号の振り幅を変調させる。

○ファズ(fuzz)

1960年代のサイケデリック時代から多用され始めた、エフェクターの草分け的な存在である。

基本的にはハード・ディストーションだが、より強烈である。

多くの機種が信号を極端に増幅することでクリッピング歪みを得ているため、ノイズが多く、それもキャラクターになっている。

増幅素子にはトランジスタが使われ、ICの製品は稀である。

単音しか扱えず、和音では音程が失われる。

○フェイズ・シフター(フェイザーとも呼ぶ)

位相を変化させて、サウンドに回転感覚や、広がり、奥行きを持たせる。

人工的に位相を変化させた音を、原音と混ぜることで、「直接音+間接音」をシュミレートし、サウンドに深みを加える。

位相の変化量を常に不定にして、音源位置をぼかし、フワッとしたサウンドを得る。

出力がステレオの場合、モノラルよりもさらに広がりが得られる。

○リバーブ

リバーブとは残響のことで、様々な遅延時間を持った多数の反射音(エコー)が合成されて得られる効果のこと。
音に厚みと奥行きを加える。

エコーが山びこ現象なのに対し、リバーブは風呂場などの余韻を指す。

ポピュラー・ミュージックのレコーディングでは必ずと言っていいほど付加されるエフェクター。

効果を生み出す装置(リバーブ・マシン)は、単にリバーブと呼ぶ事が多い。

リバーブ・マシンは、以下の4種に大別できる。

①エコー・ルーム(リバーブ・チェンバー)

残響発生に実際の部屋を使用するもので、なるべく残響の多い部屋を使い、その中で音を出してマイクで拾う。

もっとも自然な残響が得られるとされているが、大がかりになるため、大スタジオや放送局、研究所などにしかない。

②機械式

機械的な可動部を持ったタイプで、スプリング式やプレート・エコーがある。

スプリング式は、バネの片側を信号に従って駆動し、もう片側で回転運動を検出する。

プレート・エコーは、スプリングの代わりに金属板や金属箔を使う。
形は大きくなるが良質の残響を得やすい。
EMT社の製品が有名。

③アナログ電子式

BBD (IC)を使った純電子式のもの。
音質がいまいちのため、現在ではカラオケ等でしか使わない。

④デジタル電子式

デジタル・ディレイを使ったもの。(ディレイを参照)

○ワウワウ(ワウ・ペダル)

特性を鋭くしたバンド・パス・フィルターのピークとなる周波数を変化させることで、ピーク付近の高調波を強調し、音色を変化させる。

ペダル操作の方式と、入力すると自動的に変化するオート・ワウ方式がある。

ペダル・ワウ方式では、ボリューム・ペダルを使用する。

ボリューム・ペダルは、フット・ボリュームとも呼ばれ、音量を足先でコントロールするためのアタッチメントである。
構造は数種あり、代表的なのはギア式、カム式、 光学式である。

オート・ワウは、主にエレキギターに用いられ、弦を弾くと自動的にワウ効果がかかる。
弦の弾き方で効果の強弱が変わる。

(2024年9月4&29日に作成)


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