(以下は『音楽用語事典』リットーミュージック発行から抜粋
2010年7月30日にノートにとり勉強したものを転載)
🔵非和声音
非和声音とは、コード・トーン(和声音)以外の音で、 メロディラインの装飾に使われる音。
装飾的隣接音ともいう。
以下のように分類される。
①倚音(いおん)
主として強拍に置かれ、コード・トーンに上下2度で先行する音。
予備的な音を伴わない所から、「予備なしの掛留」 とも言われる。
通常は強拍でコード・トーンに解決し、このうち下行で解決するスケール・ノートによる倚音の多くはテンション・リゾルブに相当する。
②経過音(パッシング・ノート)
二つの異なるコード・トーンを順次的に結びつける音。
弱拍に置かれることが多く、時には半音階的に連続して使われることもある。
③刺繍音(補助音、または隣接音ともいう)
二つの同じコード・トーンの間で上下2度の動きをする音。
上下で二つ以上の刺繍音が組み合わされることもある。
いずれも弱拍での使用が多い。
④逸音(エスケープ・トーン)
二つの異なるコード・トーンのどちらか一方のみに、2度で隣接する音。
弱拍に置かれることが多い。
まとめ。
②~④の解釈は一定しておらず、時に逆の意味で使われることもある。
また、サスペンション、アンティシペーション、ペダル・ポイントを非和声音に加える分類法もあるが、これらはメロディの装飾でない場合もあるため、本書ではそれぞれ独立した項目にしている。
(以下は『音楽の正体』渡辺健一著から抜粋
2010年7月30日にノートにとり勉強したものを転載)
🔵非和声音
メロディは本来、和音の中にある音を鳴らすのが原則だ。
しかしそれだと単純な曲しか作れない。
そこで使うのが非和声音だ。
非和声音は様々なニュアンスをつけ加えられる装飾法だ。
以下に具体的にのべよう。
①倚音
掛留音は前の小節から非和声音を準備しているが、倚音はその準備がないものを言う。
自由掛留とも呼ばれる。
メロディ(和声音)の隣りの音からイキナリ勝手に始めてしまうものをいう。
非和声音の中で一番自由気ままな存在。
②経過音(パッシング・ノート)
音が飛んでいる所を埋めるように入れた音。
メロディをなめらかにする。
狭間にヒョイと現れる。
③刺繍音
まるで刺繍をするように、和声音から隣の音へ行ったり来たりする音をいう。
まとわりついて主体性のない音。
④掛留(けいりゅう)音
ある小節の和声音が、そのまま次の小節まで残ったため、次の小節で非和声音となったもの。
丁寧に予告された非和声音である。
🔵倚音の使い方
メロディや歌詞でもかなり泣きを作れるが、 泣かすにはテクニックがある。
音楽でこの効果を持つのが「倚音」だ。
倚音は、本来あるべき音の隣の音がイキナリ鳴ること。
かなりのインパクトがあり、ココぞという盛り上げの必殺技として使われる。
「津軽海峡冬景色」や「港町ブルース」は、この音を最大限に生かして作られている。
「渇望感(倚音)から、充足感(和声音)へ」という音移動の与える心理的変化。
それが泣きの本質なのだ。
ビートルズの「イエスタデイ」は、冒頭の始めの音が倚音である。
のっけから「つかみ」を取ろうというわけだ。
この最初の音をずっと伸ばして歌って見れば、いかに不自然な音から始まっているか分かる。
本来鳴ってはいけない音から入り、聴き手を驚かせておいて、和声音に解決し安心させる。
正に名人芸中の名人芸である。
ちょっと待てよ、と思わせておいてサッと解決する、それが倚音だ。
演歌のコブシと倚音は結びついている事が多い。
コブシっぽく歌おうという時は、一つ下の音から持ち上げるとそれっぽくなる。
カラオケ上手の人は無意識にやっていることが多い。
しかし全部に倚音を入れてはダメだ。
倚音はインパクトが強いだけに、何度も使うと効果がなくなる。
倚という字は、辞典によると「すがる、もたれる、からみつく」を意味する。
なんとも演歌っぽい字ではないか。
1970年代のギターキッズは、チョーキングを多用していた。
ロックはギターが命であり、当時はソロでアドリブをやってナンボのもんという時代だった。
そしてソロで最も重要な技といわれたのがチョーキングだった。
少しファズのかかった当時のギター音。
その旨みとコクをチョーキングは引き出していた。
特にエリック・クラプトンはチョーキングの神様と言われた人で、その妙技はビートルズの名曲「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」で堪能できる。
チョーキングとは、アドリブで倚音を作るテクニックだ。
1970年代の日本のギターキッズは、実は死にもの狂いで倚音作りに熱中していたのだ。
当時のキッズは「クラプトンはよく泣いているから凄いよね」 と言っていた。
そう言いながら日本の演歌的伝統を否定し、英米のロック文化に同化している自分を感じていた。
しかし日本中でチョーキングが偏愛されたのは、演歌に倚音が多用されている事と無関係ではあるまい。
クラプトンは、切ない曲ではなかなかチョーキングを上げきらない。
待たせておいて、もうダメという限界の所で上げて解決する。
しかも一息つくともう次の音を鳴らしてチョーキングを始めている。
これはトリスタンとイゾルデにも似た、高度な技である。
ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」というオペラは、倚音が解決する前に次の倚音が鳴り、次々と絡み合って盛り上げていく。
作品のテーマが満たされない愛の葛藤で、テーマと音楽が合致している。
倚音をはじめ非和声音は、和声音に解決しなければ大変な不満足感をもたらす。
だから解決するのが基本である。
(以下は『音楽用語事典』リットーミュージック発行から抜粋
2009年10月25日にノートにとり勉強したものを転載)
🔵アンティシペーション
アンティシペーションは、先行音、先取音ともいう。
2種に分けられる。
①メロディック・アンティシペーション
後続するコードのコード・トーンを、前のコードの最終拍にノン・コード・トーンとして先行させたもの。
先行した音は、後続コードの最初拍で同音でくり返され、コード・トーンとして解決する。
古くから多用されている手法。
②リズミック・アンティシペーション
先行した音がスラーで後続コードにつながるパターン。
この場合、後続のコード・サウンド自体を先行させる形になる。
(後続のコードが、前のコードの最終拍に食いこむ形。ジャズなどでよくある。)
先行音はコード・トーンだけでなく、テンション・ノートが使われる事もある。
(以下は『音楽用語事典』リットーミュージック発行から抜粋
2010年8月9日にノートにとり勉強したものを転載)
〇順次進行
ある音が、スケール上で隣り合っている上か下の音へ進行すること。
通常は全音または半音の進行となる。
〇跳躍進行
音が3度以上の幅で上下へ進行すること。
スケール・ノート以外の音への進行も含まれる。
(以下は『よくわかる作曲』から抜粋
2010年8月9日にノートにとり勉強したものを転載)
倚音は、メロディ作りの高等テクニックである。
🔵倚音の動き方
9度(2度)は、1度が上に引っ張られたと解釈する。
だから3度に上げるよりも、1度に下がる方が自然である。
sus4(4度)は、3度が上に引っ張られたと解釈する。
だから3度に下がるのが自然である。
6度は、5度が上に引っ張られたと解釈する。
だから5度に下がるのが自然である。
M7度は、導音なので1度(8度)に上がるのが自然である。
(2024年9月5日に作成)