(以下は『よくわかる作曲』から抜粋
2010年8月9日にノートにとり勉強したものを転載)
メロディの定番的な作り方は、次のとおり。
①コード進行があって、そこにメロディをのせる場合、コードの構成音を使えば絶対に変にはならない。
②非和声音は目立つようには使わない。
つまり長い音符では使わない。そして非和声音を連続させないこと。
③非和声音は、同じコード構成音の間に挟む「刺繍音」や「経過音」として使うのが簡単な方法である。
④歌いやすいメロディにする。
◎歌い出しの音について
メロディの始めの音によって印象は変わる。
ルート(根音)で始めると、どっしりとした安定感があり、歌いやすい。
3度の音で始めると、美しい響きになるが、音程を取りにくい。
5度の音で始めると、堅く、空虚な響きになる。音程は取りやすい。
◎メロディの進行について
①一番歌いやすいのは、同じ音に進むもの。(これは同音連打という)
②次に歌いやすいのは、スケールの隣りの音に進むもの。 (順次進行という)
③跳躍進行の場合、非和声音同士をつなげると、調子っぱずれに聞こえる。
④非和声音を跳躍進行で使う時は、構成音から非和声音へ行く形にし、跳躍したらすぐに構成音へ動かして落ち着くようにする。
⓹メロディは、大きく跳躍すればするほど、体力を消耗する。
大きく跳躍した後は、順次進行で戻ると聞きやすくなる。
⑥大きい跳躍を何度もすると歌いにくくなる。
◎メロディはキャッチャーにするのが大事
多くの人は複雑なメロディは覚えてくれない。
そして大抵の場合、一つの曲を好きか判断するのは、たった一度のチャンスにかかっている。
だからヒット曲を作るのであれば、メロディはキャッチャーでなければいけない。
キャッチャーとはどういう事か。
それはメロディに法則性を見つけられるかどうかである。
1つの固まりとなるメロディ(モチーフ)を、少し姿を変えて何度も出現させると、統一感を演出できる。
井上陽水の「いっそセレナーデ」は、同じモチーフをコードが変わっても繰り返し、印象を強めている。
中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」も、モチーフを変化させながら6回くり返している。
良いメロディとは、一度聴いただけでも口ずさめるもの。
とりとめがなく、まとまりのないメロディは、大抵は一節も覚えられない。
◎サビはシンプルにする
クラシック音楽のサビは、最も美しいハーモニーが鳴る部分であることが多い。
分かりやすく言うと、臨時記号がたくさん付いている音符が出現している所が大抵はサビ。(※つまり転調している)
一方ポピュラー音楽では、聴衆全員が一丸となって繰り返し合唱できる、平易なメロディにサビはなっている。
ヒット曲のサビは音数がとても少なく、その方が子供から大人まで歌ってくれる。
◎息継ぎを作る
メロディ作りのコツは、すき間を空けること。
良いメロディには必ず休んでいる所があり、そこにオブリガードと呼ばれる合いの手が入る。すると楽曲に面白さが出てくる。
◎メロディの音数
音数が増えるほど緊張感は高まり、曲は盛り上がり熱くなる。
Aメロ→Bメロ→サビの構成ならば、AメロよりもBメロの方が音数が増えた方が自然である。
一方サビは、大きな跳躍やロングトーンがよく見られる。
サビは何度も繰り返す部分なので、音数は少なめにして覚えやすくする。
そして音程は高めに取って、歌い上げる。
◎メロディの音を揺らす、ノリやすくする
ポピュラー・ソングでは、リズムを揺らすのが大事。
専門用語では、シンコペーションとかアンティシペーションと言う。
楽譜だと読みづらいが、音にすると自然で気持ち良く感じられる。
ノリの良いメロディにするコツは、拍子の裏拍に音符が来ること。
そして覚えて欲しいフレーズやキメのフレーズの時に表拍から始めると、メリハリが出てくる。
◎合いの手を入れる
近年のJ-POPには、ほとんど合いの手がない。なぜなのか。
それはシンセサイザーの登場で、生楽器の演奏者をレコーディングから追いやったからだろう。
昔は伴奏にはブラスやストリングスがあり、特にブラスはイントロや間奏、歌の隙間を埋めてくれた。
しかしシンセの代用以後、真剣にハーモニーが組み立てられなくなった。
さらにラップなどは、リズムが強調されるため、ブラスやストリングスは使われない。
ただし声などによる合いの手はある。
ブラスの合いの手を使った名曲には、以下がある。
シカゴの「25or6to4」、ピンクレディ の「ペッパー警部」、アニメソングの「デビルマン」。
◎メロディの最高音は1ヵ所か2カ所
メロディの最高音が鳴る場所は、名曲ならば1ヵ所か2カ所である。
バラードを作曲する場合、最高音は1ヵ所だけにすると効果的だ。
メロディの最高音は、冒険映画に例えればビルの大爆破のようなもの。
あなたが映画監督なら、どのあたりで使うだろうか?
後半の盛り上がり部分、8割位の時間が経ったあたりではないか?
音楽でも同じで、最高音は後半のキメの歌詞に合わせると名曲になる。
◎意外な展開にする
コード進行で、ダイアトニック・コード以外を使うと、グッとくる。
ダイアトニック・コード(ダイアトニック・スケール)以外の音が出てくると、映画で言えばヒロインが死ぬなどの、意外な展開の雰囲気をもたらす。
具体的には、臨時記号の付いている音符が意外な展開を感じさせる。
◎アボイド・ノートとは
アボイド・ノートは、直訳すれば 「避けるべき音」。
コードの構成音と半音でぶつかる音は、響きが汚くなるので、避けようということ。
ただしコードの構成音と半音でぶつかる音が全てアボイド・ノートになるのではない。半音上でぶつかる音がアボイド・ノートなのだ。
だからCのコードならば、ドの半音下のシや、ソの半音下のファ#はアボイド・ノートにならない。
(※アボイド・ノートは知っていたが、定義をこれを読んで初めて知った。すごく納得ができた。)
実践では、アボイド・ノートは絶対に弾いてはいけない音ではなく、「強調しない方がいい音」と言える。
経過的にサラッと入れるのはOK。
Dm(Ⅱm)の時にシの音(6th)を弾くと、響きの中にG7(V7)のトライトーンを感じてしまう。(G7の感じが強く出る)
そのためアボイド・ノートになっている。だが最近は使用例が多い。
(以下は『音楽の正体』渡辺健一著から抜粋
2010年7月30日にノートにとり勉強したものを転載)
◎メロディの上下
メロディは、上がれば興奮し、下がれば静かになる。
メロディの根本原理は意外に単純である。
音が上がっていけば興奮するし、下がっていけば気分は暗くなり意気消沈するのだ。
実際に大きな声で歌ってみれば判る。
(※歌ってみたら全くその通りだった)
下行メロディを高揚させて歌おうとしても、それは無理。
そこでは歌の上手い下手は関係ない。
登山をする時、3000mの山に登ってから1500mの山に登ってヤッター!となる人がいるだろうか?
普通は1500mの山→3000mの山と登ってヤッター! となるはずである。
それが人間の心理だ。
音楽も全く一緒で、小さな旋律の山がいくつもあって、クライマックスで高い旋律があるとヤッター!となる。
全音符の中で一番高い所を、「旋律の頂点」という。
ここが曲の一番盛り上がる場所である事が多い。
つまり旋律の頂点が曲のクライマックスなのだ。
〇跳躍する旋律のインパクト
音程のイキナリのはね上がりは、大きな喜びをもたらす。
2~3度の音程で細かく動いているうちは、雰囲気作りをしていると思っていい。
跳躍する所が、実は旋律の聴かせ所なのだ。
こうしたメロディの跳躍を、「跳躍的旋律」と呼ぶが、跳躍の幅が広いほど高揚感は増す。
モーツァルトの交響曲40番の出だしは、突然6度上がる。
そこでドキッとさせるのだ。
映画音楽は、10秒で人を感動させなければいけない、とよく言われる。
風と共に去りぬ(タラのテーマ)は、その鉄則にかなった名曲だ。
タラのテーマ、世界中の誰よりきっと、昴(すばる) は、ほぼ限界と言える8度の跳躍を使っている。
世界中の誰よりきっとは、「世界中」という歌詞の所で8度跳躍している。
名曲は大抵、歌詞と音楽手法がピッタリ一致している。
タラのテーマはメロディのほとんどが8度跳躍で、主人公の人生に対する意志が込められている。
今井美樹のMISS YOUには、9度の跳躍がある。
〇旋律の黄金律
なぜ加山雄三の「君といつまでも」は良い曲なのか。
それは旋律の黄金律にかなった、見事な構成をしているからだ。
小さな旋律の山を巧みに配して、最後に旋律の頂点で盛り上げる、しっかりした構成になっている。
これが感動の黄金律だ。単純な原理だが、隠れた音楽の鉄則である。
「君といつまでも」のコード進行
C |Em |F |G7
C |Em |Dm D7 |G7
C |Am |Dm7 |G7
C |Am |Dm |G7
C |Em |F |G7
C |Em |D7 Dm7 D7 |C
(2024年9月5日、10月17日に作成)