タイトルシンセサイザー、オンドマルトノ、テルミン

(『図説 楽器の歴史』フィリップ・ウィルキンソン著から抜粋)

🔵シンセサイザー

1930年代に紹介されたテルミンやオンドマルトノといった電子楽器のパイオニアは、独特な音色なので限られた使い道しかなかった。

1950年代の西ドイツで、物理学者や作曲家が集まり、初めて電子音のみで作曲がなされた。

作曲家のシュトックハウゼンも参加して、複雑な電子回路を開発し、多様な音色を実現した。

一方フランスでは、磁気テープを使って、あらゆる音を録音し、それをつないだり、再生スピードを変えたり、逆再生させる実験が行われた。

これは、既存の音を加工して作る音楽なので、「ミュジーク・コンクレート」 (具体音楽)と呼ばれた。

ミュジーク・コンクレートのパイオニアとしては、ピエール・ブーレーズ、ジャン・バラケ、エトガー・ヴァレーズがいる。

トランジスタが登場すると、1965年にアメリカ人のロバート・モーグが、シンセサイザーの製造を始めた。

モーグのシンセサイザーは、1967年に早くもローリング・ストーンズやドアーズが曲に取り入れた。

シンセサイザーでクラシック音楽を模倣しアレンジする作品も登場し、ウェンディ・カルロスの「スイッチト・オン・バッハ」(1968年)は有名である。

1980年代になると技術の進化により、コンピュータ制御によるシンセサイザー音の合成・加工が可能になった。

🔵オンドマルトノ、テルミン

1928年にフランス人のモーリス・マルトノは、「オンドミュジカル」を発表した。
これが後にオンドマルトノと呼ばれることになった。

マルトノは、「テルミン」を発明したロシア人のレオン・テルミンと出会ってから数ヵ月後に、似た楽器を開発したのである。

テルミンは、2本の金属棒が突き出た装置である。

技術的にはコンデンサーの一部で、内部には音声信号を発する電子回路がある。

演奏者は手をアンテナに近づけたり遠ざけることで、音量と音程を変えて演奏する。

テルミンのすすり泣くような音は、映画音楽に好んで使われている。

オンドマルトノは、中枢が周波数発振器で音を発生させる。

音程の変化は、右手の指にはめた金属リングを左右にスライドさせて行う。

左手は小さなコントローラーを操作するが、そのコントローラーは強弱のスイッチや、 音色を変えるスイッチが並んでいる。

さらにピアノのような鍵盤もあり、鍵盤を左右にゆらすことでヴィブラート麦法ができる。

オネゲル、ミヨー、ヴァレーズ、ジョリヴェらが、オンドマルトノのために曲を書いている。

一気に高音まで舞い上がったり、うなるような低音を出させて活躍させた。

オネゲルは、「バス・パートを強化するには、コントラバスよりもオンドマルトノがいい」と語ったという。

メシアンは多くの曲でオンドマルトノを使って、この楽器の普及を助けた。

(2024年11月10日に作成)


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