タイトルサクソフォン

(『図説 楽器の歴史』フィリップ・ウィルキンソン著から抜粋)

🔵サクソフォン

サクソフォンは、クラリネットに類似するシングル・リードの楽器で、力強くてよく響く音色を持つ。

サクソフォンを考案したのは、アドルフ・サックス(1814~94年)である。

アドルフ・サックスはバス・クラリネットを改良して、1838年に特許を取得した。
これは重要な改良だったが、その作業で借金ができてしまい、彼は母国ベルギーを離れてフランスのパリに移った。

パリでサックスは新しい金管楽器を開発し、「サクソルン」と名付けた。
これはヴァルヴ式で、ベルは上向きで、チューバのような形をしていた。

サクソルンは、 ソプラニーノからコントラバスまで7種類あった。

サックスは、クラリネットの音量を増す改造を試みて、円錐管にシングル・リードのマウスピースを付けた楽器を作った。

その楽器は、普及しつつあったキー・システムを採用した。

これは木管楽器だったが、「サクソフォン」と名付けられた。

この楽器をベルリオーズが高く評価し、音楽誌で絶賛した。
ベルリオーズは、サクソフォンのために作品を書いた最初の著名な作曲家となった。

1840年代の中頃に、サクソフォンは完成し、金属製になっていた。

サクソフォンは、管が長めの低音域用は、管がV字型に曲がり、ベルの部分は少し前に向いている。

サックスは、サクソフォンをフランス軍に売り込んだ。
ところがライバル業者が「サクソフォンは自分たちのアイディアが盗用されたものだ」と告発し、訴訟合戦となった。

彼は訴訟でカネを使いはたし、1852年に破産した。

だがフランスでナポレオン3世が皇帝になると、サックスは軍に楽器を納入する業者に指名され、1856年に特許も認められた。
しかし訴訟合戦は続き、1873年に再破産した。

サックスは死ぬまで楽器を作り続けた。

余談だがクラシック音楽のサクソフォン協奏曲として最も有名なのは、グラズノフがアルト・サクソフォンのために書いた作品である。

(2024年11月11日に作成)


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