タイトル録音・再生や音響の用語

(『音楽用語事典』リットーミュージック刊行から抜粋
2009年11月9、30日、2010年5月、6月にノートにとり勉強)

🔵機器の接続

①アンバランス接続

線は、芯線1本と、周囲のアミ線で成り立っている。

芯線が信号を伝送し、アミ線はアース電位に保たれている。 (この方式をアンバランス伝送という)

簡便で広く使われるが、外来ノイズに弱い傾向があり、長く引き回すPAや放送に不向きである。

②カスケード接続

ある機器の出力を、別の機器の入力に直接つなぐこと。機器の直列接続。

③バランス接続

3本の線で信号を伝送する方式。およびそのような接続方式。

1本はアースで、2本が信号線である。

信号線は、片方がホット、片方がコールドと呼ばれる。
ホットには通常の信号が流れ、コールドにはホットの極性を入れ換えた(プラスとマイナスを逆にした) 逆相の信号が流れる。

信号を受け取る時に、ホットからコールドを引き算する形で受けると、ノイズがキャンセルされるため、長距離の伝送や低レベル信号の伝送に非常なメリットがある方式。

放送やPAなどの業務用に多く使われている。

通常は、芯線が2本の2芯シールド線で伝送され、コネクターはキャノン・タイプが多い。

④シリーズ接続

直列接続のこと。
部品、機材などを1本の線状につないでいくこと。

この場合、全体の合成インピーダンスは個々のインピーダンスの和になる。

またエフェクターなどを、信号ラインが1本になるようにつなぐ場合も直列接続という。

⑤パラレル接続

並列接続のこと。
一つの出力から複数の入力や負荷に、同じように信号を加えること。
図式化すると並列になるため、こう呼ばれる。

例えばアンプから並列でスピーカーをつなぐ場合、アンプに負担がかかるため、アンプの最大負荷の確認、合成インピーダンスの計算が必要である。
この配慮は全ての機材について言える。

🔵録音

①多重録音

複数(通常4トラック以上)のトラックを持つレコーダー(MTR=マルチ・トラック・レコーダー)を使って、楽器ごとに別トラックへ録音し、最終的にステレオ(またはモノラル)に再録音する方式。

現在はほぼ全ての録音が、MTRによるこの方式で行われている。

MTRは、多数の録音トラックを持ち、それぞれのトラック単独で録音と再生ができるレコーダーのことだ。

多重録音の一般的な手順は、まずリズム・パートを録音し、それを再生しながら他の伴奏楽器を別トラックに録音する。

最後にボーカルやリード楽器を録音する。

次に全部のトラックを同時に再生しつつ、各トラックの音量バランスや音色(時にはエフェクトの付加もする)を調整する。

完成したら別のレコーダーに収録する。(この段階をミックス・ダウンという)

多重録音の長所は、プレイヤー全員が集まる必要がなく、個別に録音できることだ。
また、一人でもアンサンブルを録れる。

他楽器の音のカブリを心配しなくてよいことや、何回でもミックス・ダウンが行える(作り直しが出来る)のも長所である。

②ピンポン録音

多重録音の方法の一つである。

2台のレコーダーを用意し、片方に一つのパートを録音する。
それを再生しながら、もう片方に別のパートを録音する。

上の作業を繰り返して録音することをピンポン録音と言う。

2台のテープレコーダーの間を音がピンポン玉のように行ったり来たりすることから、この名がついた。

簡単に多重録音を行えるが、ダビング・ロスによる音質の劣下がある。

②ライン録り

電気・電子楽器の音を、マイクを経ずに電気信号のまま収音(録音)すること。

録音とPAのどちらでも使われる。

一般に、シンセサイザーなどの電子楽器は全てライン録りである。

②バイノーラル

人間の頭の形をした模形の両耳に、マイクを設置して録音する方法。

この方式での再生は、必ずヘッドフォンで行われる。

この録音方式は、聴く人を中心にして音の動きをとらえるのに有効で、コンサート会場での臨場感、雑踏の音、車中での会話など、複雑な音場の再生に適している。

🔵音色(おんしょく、ねいろ)、倍音

音色とは、感覚的には、人間が感じる音のイメージであり、音を判断する要素である。

科学的には、倍音(高調波)の含まれ方と、倍音の時間変化、およびエンベロープを指す。

倍音とは、高調波のことで、純音(正弦波)以外の全ての音は、整数倍の周波数の高調波群を持つ。

倍音は、この整数倍の成分すべてを指す。

音色は、倍音の割合で決まる。

自然音では、高調波の含まれ方は変化してゆく。
そのため音の出始めと余韻では音色は大きく違ってくる。

なお、各高調波の割合を「スペクトル」という。

倍音の時間変化には、音源(楽器)ごとに固有のパターンがあり、人間が音を判断する要素となっている。

この時間変化は、波形の変化(スペクトル分布の変化)として捉えられる。

大雑把に言うと、音色=スペクトル=波形と言える。

音色は、音量の時間変化(エンベロープ)でも感覚的には違って聴こえる。

音色(ねいろ)はスペクトルで決まるが、音色(おんしょく)は音量の変化も要素に含まれる。

スペクトルが一緒でも、音量の変化(エンベロープ)が異なると全く別の音に聴こえる。

🔵基本波、正弦波、高調波、フーリエ変換

○基本波

どのような波形も、正弦波の組み合わせに分解できる。
正弦波のうち、最も周波数の低いものを基本波と言う。

音の聴感上の高さは、主にによって決定される

基本波以上の成分は高調波と呼ばれ、音色の形成に大きな役割を果たす。

○正弦波(サイン波とも言う)

この波形は、高調波を持たず、交流波形の基本的なものである。

トーンは純粋かつ単調。放送などの時報音に使われている。
楽器ではフルートの音が近い。

○正弦波合成(フーリエ合成とも言う)

加算合成方式の一つ。
基本波に整数倍の正弦波を加算して、任意の波形(音色)を作ること。

パイプオルガンや一部のシンセサイザーの音色作りに採用されている。

○高調波(ハーモニクスとも呼ばれる)

基本波に重なる整数倍の正弦波のこと。

鋸歯状波は2倍、3倍、4倍……の正弦波で作られ、 矩形波は3倍、5倍、7倍……の正弦波で作られる。

フーリエ変換(フーリエ展開とも言う)

波形を基本波と高調波に分解すること。
どのような周波数成分がどれだけ含まれているかを計算する方法のこと。
周波数成分の構成が分かる。

反対に、基本波と高調波を合成して一つの波形を作ることを、逆フーリエ変換あるいはフーリエ合成と言う。

(2024年11月30日、12月3日に作成)


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