(『音楽用語事典』リットーミュージック刊行から抜粋
2009年10月にノートにとり勉強)
🔵アイソレーション
分離すること。音響では遮音することを指す。
電気の分野では、機器間のGND電位の差による悪影響を避けるために、トランスやフォトカプラなどでGNDを分離することをいう。
🔵アウトプット
出力のこと。出力信号や出力端子類を指すこともある。
🔵アクティブ回路(アクティブ・サーキット)
増幅素子を持つ回路のことだが、実用的には電源を必要とする回路と考えればよい。
能動回路と訳されることもある。
反対に増幅を行わない回路をパッシブ回路という。
🔵アコースティック
本来は「聴覚の」という意味。これが転じて「音響上の」という意味でも使われるようになった。
またサウンドを言う場合は、生楽器を主体としたサウンドを指す。
🔵アース
本来は「地球」の意味。
電機機器、回路は、0V(ゼロボルト)に全体をするため、グランド・ラインを結ぶ。
一方、電線は0Vにするため大地につないでいる。
機器と電線を0Vにするためグランド・ラインを地面に結びつけるのを、「接地、アースをとる」と言う。
大パワーの機器になるほど、接地は不可欠になる。
🔵アタック
音の立ち上がりを表現する言葉。
🔵アタック・タイム(立ち上がり時間)
音の始まりから最大の音量に達するまでの時間。
ギターやピアノは1000分の1秒ほど。
フルートやオルガンは100分の1秒位と遅い。
シンセサイザーでは自由に設定できる。
アタック・タイムは人間が音を聴き分ける要素の一つで、タイムが違うと全く別の音に聴こえる。
🔵アッテネーター
信号レベルを下げる(減衰させる)部分および装置。
ボリュームはその代表的なものである。
ミキサーにあるPADと呼ばれるアッテネーターは、大音量の入力時に歪むのを防ぐため減衰させるもの。
🔵アーティキュレーション
各音をはっきりと明確に演奏するという意味。
通常は、メロディやフレーズの細かい部分にまでしっかりと変化や表情をつけて演奏することを言う。
🔵アナライザー
分析器のこと。
オーディオではスペクトラム・アナライザーを指す。
スペクトラム・アナライザーは、周波数成分の分布を視覚的に表示する装置で、各種の観測に使われる。
ノイズ発生器と併用して音響特性の測定にも使われる。
🔵アナログ
連続して変化する「量」の概念を指す。
通常は数字で表現されるが、本来は連続した変化は数字で表現できず、あくまで便宜上の表現である。
反対にデジタルは、本質的に不連続であり、数字で全てを表現する。
アナログ回路は、連続したアナログ信号を、そのまま扱う。 (アナログ量のままで扱う)
デジタル回路は、0と1という不連続な動作しか行なわない。
🔵アンビエンス
本来は「周囲、囲まれた」の意味。
音響では、音場感、音の広がりを言う。
アンビエンス・エフェクトは、ステレオ再生では希薄になりがちな臨場感を補正するもの。
ディレイや位相差を加えて、定位を2本のスピーカーよりも外側にまで広げる効果を得る。
🔵位相(フェイズ)
多くの音の波形は、同じ形のくり返しと考えられる。
例としてサイン波を上げると、まず振り上がり、降りてきて0に戻る。ここが中点だ。
次に0以下に降りてゆき、戻ってきて0に戻る。ここが終点だ。
(終点は次の波形の起点でもある)
この波形の終点までの動きを、「一周期」と呼ぶ。
一周期について0度から360度までの番地を付けるのが、「位相角」である。
起点を0度、振り上がった頂点を90度、中点を180度、降りきった点を270度、終点を360度で示す。
よく言う位相のズレや遅れは位相角で表す。
(180度遅れる、ズレると逆相になる)
よく混同されるのに、「位相の遅れ」と「時間の遅れ」がある。
ディレイのような時間遅れは、どんな周波数も(全ての周波数を)一定時間遅らせてしまう。
一方、位相遅れは、周波数によって時間が変わってくる。
フランジャーは時間遅れを、フェイズ・シフターは位相遅れを利用したエフェクターである。
フェイズ・シフターなどで意図的に位相を遅らせる場合、「移相」という言葉を使うこともあり、「移相量は~度」と表す。
逆相は、位相が180度ずれた状態だ。
マイクやスピーカーで入力か出力端子を逆につないだ結果、波形の上下が逆になることを指す。
ミキシングコンソールにある位相スイッチ(フェイズ・スイッチ)は、位相を入力部分で反転し、逆相接続されたマイクなどを正相に戻す機能である。
位相のズレは、通常の増幅回路でも発生するが、あまり気にする必要はなく、一般的にはマイク、スピーカーの逆接続だけ注意すればよいだろう。
🔵インシュレーター
CDプレーヤー等の機器に外部振動が伝わることを防ぐ、振動吸収の装置。
一般的にはプレーヤーの脚の代わりに設置するクッションを指す。
🔵インダクタンス(誘導の意)
コイルの電気的な大きさ(誘導係数)を表す言葉。
単位はH(ヘンリー)。シンボルはL。
コイルに交流を流すと、あたかも抵抗のようにふるまう。
抵抗値は流す周波数によって変動し、周波数が高いほど大きくなる。
この抵抗はインピーダンスの一種だ。
現在のオーディオ回路ではコイルをあまり使わず、代わりにオペアンプ回路を使ってインダクタンスを合成する、シュミレーテッド・インダクタンスが多く使われている。
🔵インターフェース
異なる回路や機器をつなぎ合わせるとき、中間に介在させて、いわば通訳の仕事をさせる回路またはユニット。
一例はD/Aコンバーターで、この場合はデジタル→アナログのインターフェースである。
🔵インディケーター
信号の有無や大きさを、メーターや光などで表示し、目で確認できるようにした装置。
ピーク・インディケーターや、ステレオ・インディケーター等がある。
🔵インバーター
反転器の意。
信号の位相を反転させる回路を呼ぶほか、交流を直流に変換する機器もこう呼ぶ。
🔵うなり
周波数の接近した2つの音を同時に聴くと、その差がうなりとなって聴こえる。
片方の音を動かすと、うなりが消えるポイントがある。
この時2つの音は、一致しているか整数倍の関係になる。
これはチューニングで一般に行われる方法である。
うなりを利用して調律したりするのを「ビートをとる」という。。
🔵ウーファー
低音用スピーカーのことで、単に「ロー」と呼ばれることもある。
そのサウンドはユニットよりエンクロージャーに依存する事が多く、性能を生かすためには大型の箱が必要である。
一般的に口径は大きいが、口径が大きいほど再生可能な周波数は低くなる。
PAでは前部にホーンロードを設けて遠達性を高めることもある。
🔵ウルトラソニック
可聴帯域以上の音声信号。超音波のこと。
普通は、20kHz以上の音をいう。
🔵エア・チェック
電波(ラジオなど)によって放送された(オンエアされた)音や映像を、受信して録音(録画)すること。
🔵エキサイター
高域の倍音を強調することで、音にメリハリをつけ、音を前に出すエフェクター。
増幅された倍音の波形を歪ませてより多くの倍音を作る方式と、位相をずらした信号を加えて倍音を作る方式がある。
ボーカルやアコギなどの生楽器に使われる。
かけすぎると音が汚くなる。
🔵エキスパンダー
信号のダイナミックレンジを拡大する回路、装置をいう。
小さいレベルの信号をより小さく、大きい信号をより大きくする。
ノイズゲートはエキスパンダーの応用で、一定レベル以下の信号を小さくする事でノイズを消す装置である。
🔵エンクロージャー(enclosure)
キャビネットや収納箱のこと。スピーカー・ボックスを指すことが多い。
🔵エンハンサー(エフェクターの1種類)
音声用のエンハンサーは、エキサイターと同じである。
ビデオ用は、画像の輪郭補正を行なう。
ダビングやコピーをくり返すと、信号の高域部分が劣下して輪郭がぼけてくる。
エンハンサーは劣下した高域を補正し、クッキリさせる。
あまり強くかけるとS/Nが低下してザラついた画質になるため、軽く使う方が良い。
🔵エンファシス
「強調する」の意味。
はっきり、くっきりさせるために使われる。
「プリ・エンファシス」とは、アナログ式のエコー、リバーブやワイアレス・マイクは高域が下がりS/Nが劣下しやすいため、事前に高域を強調してシステムに入力するが、この事を言う。
プリ・エンファシスされた信号は、システムの出力の前で高域を落としてフラットな特性に戻される。
これを「ディ・エンファシス」という。
上記の作業により高域のノイズは低減される。
なおFM放送やTVの音声にもプリ・エンファシスがかかっていて、受信機がディ・エンファシスを行なっている。
🔵オシレーター
発振器のこと。
音源など、交流信号を発生する部分を指す。
発生させるユニットを「発生器(ジェネレーター)」と言うこともある。
発振する帯域によって、低周波発振器(オーディオ・オシレーター)や、高周波発振器(RF・オシレーター)などに分けられる。
試験用のものはテスト・オシレーターと呼ばれ、可変式で出力レベルも変えられるものが多い。
オーディオ用のテスト・オシレーターは、出力波形が正弦波など複数あるのが一般的。
🔵オシロスコープ
主に交流信号電圧の変化を映し出す装置。
波形の観測に使われる。
多くの機種では、波形が止まって見える機能(シンクロ機能)を持っている。
また、散発的に起こる信号を記憶して表示する、ストレージ・スコープという機器もある。
🔵オーディオアンプ
音楽鑑賞用のアンプで、入力選択やトーン・コントロールなどを備えたものが多い。
楽器用やボーカル用アンプとは一般に区別している。
🔵オーディオ信号、オーディオ帯域(オーディオ・レンジ)
オーディオ信号は、オーディオ帯域の信号のことで、通常では20Hz~20KHzの信号を指す。
この帯域は、可聴周波数帯域、可聴帯域ともいう。
なお、この範囲外の音も人間は感じることができる。
🔵音の3要素
音の高さ、音の大きさ、音色の3つのこと。
電気的に表現するとそれぞれ、周波数、波高値、波形で表せる。
🔵オーバーロード
過負荷のこと。
あるアンプのドライブできるスピーカーが4Ωであった場合、2Ωのスピーカーはオーバーロードとなる。
その場合、壊れてしまう可能性が大である。
エフェクターでも、10kΩ以上で使う機器に600Ωのものを繋げば最悪壊れてしまう。
また、温度の上昇などで機器の能力が低下していると、定格負荷で使っていてもオーバーロードなることがある。
🔵オプティカル・ディスク
光ディスクのことである。
CD、DVDなど。レーザー光でデータを記録、再生する。
なおオプティカルは、形容詞で視覚や光学の意味。
🔵音圧
音量が音の「大きさ」を表すものなのに対し、音圧は「音の強さ」を表すものである。
人間に聴こえる最小の音量とされる2×10-7hpa(ヘクト・パスカル)を基準として、そこから何倍の気圧変化であるかをdBで表す。
単位はdB・SPLである。
普通の会話は50~60dB・SPL、ライブ演奏は100~120dB・SPL、人間が耐えられる限界が140dB・SPLと言われている。
🔵音響レンズ(ホーン・レンズともいう)
主に中高域用のホーン・スピーカーの前面につけて、指向特性を改善するユニットである。
何枚かの薄い金属板あるいはプラスチック板を組み合わせたものが多い。
🔵音場
音が存在する空間を指す。
屋内外を問わない。
オーディオでは、音源とリスナーを含む限られた空間を指す。
コンサートホールやリスニングルームなど。
🔵音波
空気中を伝わる疎密波(音の波)のこと。
通常は可聴帯域の20Hz~20kHzを指す。
空気以外の、液体(水など)や固体(木や金属)の内部を伝わっていくものも指すことがある。
(2024年12月3日、2025年4月30日に作成)