(以下は『音楽の正体』渡辺健一著から抜粋
2010年8月2~3日にノートにとり勉強した)
○音画的手法
音画的手法とは、普通の楽器を使っている音楽なのに、絵を書いているかのように情景が目に浮かぶ手法をいう。
代表例は以下のもの。
リムスキー・コルサコフ 熊ん蜂の飛行
ドゥービー・ブラザーズ ロング・トレイン・ランニン
ベートーベン 運命、田園の交響曲
松任谷由実 ジャコビニ彗星の日
音画的手法は、意図した通りに受け取ってくれない聴衆もいる。
常に誤解と看過の可能性がある。
例えばムソルグスキーの「展覧会の絵」を聴いても、これが展覧会を歩行する情景と気づかない人も多い。
○具体音の手法
音画的手法は間違られたりするから、実際の音(環境音)をそのまま音楽に使うというのが、具体音の手法である。
代表例は、ビールトズのバック・イン・ザ・U.S.S.R.とイエローサブマリン。
「ミュージック・コンクレート」(仏語)は、1948年にフランスで生まれた手法だ。
世の中の様々な音を録音し、つなぎ合わせて音楽を作る考え方、手法である。
コンクレートはコンクリートのことで、固める、有形の、具体的な、という意味を持つ単語だ。
ミュージック・コンクレートは、録音テープで様々な音を「固める」ことを指す。
ミュージック・コンクレートの手法は、1960年代末~70年代初頭のロックに影響を与え、使用された。
その代表例は、ビートルズの「レボリューション99」、ピンクフロイドの「原子心母」、シカゴの「プログレス」だ。
プログレスとは進歩の意味で、この曲は大都会の雑踏の音や道路工事のドリル音が入り、 最後はトイレのジャーという流れる音で終わる。
現代文明なんかくそくらえ!というわけだ。
ミュージック・コンクレートは、クラシック音楽の世界よりも、1970年前後のロック界において最も成功したといえるかもしれない。
余談になるが、今は「地球に優しい生き方」が喧伝されている。
これは1960年代の末に若者だったロック世代が、世の中心で活躍し始めた事と無関係ではあるまい。
1960年代末のロック革命は、ある種の意識革命を世界中に起こしたようだ。
本当に革命だったのかもしれない。
1974年のローマクラブ報告で「成長の限界」が指摘され、ウタント国連事務総長が地球に優しい生き方を説いた当時は、誰も聴く耳を持たなかった。
まだ旧世代が実権を握っていたからである。
(2024年12月26日、2025年1月3日に作成)