(『音楽用語事典』リットーミュージック発行から抜粋
2009年10~11月、2010年6月にノートにとって勉強した)
🔵JAZZ
20世紀の初頭に、米国のニューオリンズを拠点として、黒人たちによって生み出された器楽音楽である。
黒人のリズム、ブルース感覚と、白人がヨーロッパから持ちこんだ様々な要素との混血として生まれ、最初はダンスミュージックの形で発展した。
躍動的な4ビートと即興演奏に最大の特色がある。
なお語源は、「馬鹿騒ぎ」を意味する俗語である。
🔵ジャズ・ボーカル
リズムにのってスウィングして歌い、メロディをフェイクしたりスキャットを入れたりするのが大きな特徴である。
🔵ニューオーリンズ・ジャズ
1910~15年頃までにニューオーリンズで形成された、初期の素朴なジャズ・スタイル。
クレオールや黒人のブラスバンドが基本になって発展し、集団即興演奏に特徴があった。
楽器編成も黒人ブラスバンドに似ており、トランペット(もしくはコルネット)、クラリネット、チューバ、ドラムスなどを使用する。
曲目は、ブルース、ラグ、マーチが多かった。
🔵クレオール
アメリカにおけるフランス系移民と黒人の混血人、もしくは混血文化のこと。
アメリカで変形したフランス文化を指す場合もある。
🔵ディキシーランド・ジャズ
1910年代にニューオーリンズ周辺で生まれた初期のジャズのうち、主に白人ミュージシャンによる演奏をいう。
4/4拍子を2/4拍子のように演奏することから、ツービート・ジャズとも呼ばれた。
🔵トラッド・ジャズ(古典的なジャズの意味)
ニューオーリンズ・ジャズやディキシーランド・ジャズを、こう呼ぶことがある。
あるいは1940年代後半に英国で起こった、古典的ジャズのリバイバル現象を指す。
🔵ラグタイム(略してラグともいう)
19世紀末に、 アメリカのミズーリ地方の黒人ピアニストにより考案されたスタイル。
左手のベース・ラインとシンコペートしたメロディが特徴。
1910年代まで大流行し、後のポップスやジャズに影響を与えた。
🔵ストライド・ピアノ
元はラグタイム・ピアノ奏法のバリエーションの一つ。
ストライド(またぎ越す)の表現とおり、左手のベース・ビートの1、3拍と2、4拍をオクターブにまたがせて弾く。
🔵ホンキートンク・ピアノ
ラグタイム・ピアノの変形ともいえるピアノ奏法。
調律が合っていない、濁った感じのピアノ・サウンドも、こう呼ぶ。
🔵ウォッシュボード・バンド
「ウォッシュボード」すなわち洗濯板をパーカッションとして使った、小編成の土俗的ジャズバンドのこと。
1910年代後半に、アメリカ中南部の黒人たちによって生み出されたバンド形態。
🔵バレルハウス
樽から直接酒をつぐような安酒場のこと。
20世紀初頭にここで演奏したジャズ・グループの演奏を指すこともある。
バレルハウスで行われたワイルドなピアノ演奏を、バレルハウス・ピアノと言う。
🔵スキッフル
1920年代に米国の南部で活躍した、ジャグ・バンドの音楽を指す。
1950年代後半に英国でリバイバル・ブームが起きた。
🔵ジャグ・バンド
ジャグとは、取っ手のついた酒びんのこと。
これを口にあててチューバのような音を出して演奏した。
ジャグを中心にして、ハーモニカ、バンジョー、カズー、バイオリン、ウォッシュボードなどで編成された、一種のジャズ・バンドを指す。
1920~30年代に、テネシー、ケンタッキー周辺で活躍した。
🔵カンサスシティ・ジャズ
カウント・ベイシーに代表される、ビッグバンド・スタイルのスウィングジャズを指す。
1930年前後に、カンサスシティを中心にして全盛を極めた。
1920~30年代に、テネシー、ケンタッキー周辺で活躍した。
🔵ジャイブ
本来は、「でたらめなおしゃべり」とか「ナンセンス」の意味の俗語である。
それが転じて、スウィングジャズなどの軽快な演奏や、それに合わせた踊りを指すようになった。
現在でもスウィングジャズや初期R&Bに通じるコミカルな曲を、ジャイブ・ミュージックと呼ぶことがある。
🔵モダン・ジャズ
1940年代半ばに発生したビバップ以降のジャズ・スタイルの総称である。
モダン・ジャズ以前は基本的にダンス音楽として発展してきたが、 ビバップ以降は鑑賞音楽となった。
ビバップは、様式美に陥りがちであった既成のスウィングジャズへの反発として、40年代半ばに発生した。
縮めて「バップ」ともいう。
それまでよりも自由奔放なスタイルのジャズで、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルらはパイオニアと言え、多くのプレイヤーに影響を与えた。
🔵アフロキューバン
奴隷として(スペイン領だった)キューバに連れてこられたアフリカ人が、スペインのメロディを演奏するうちに生まれた音楽が起源である。
スペインのメロディとアフリカのパーカッシブなリズムが合体した、ラテンアメリカの混血音楽を総称して言う。
🔵クール・ジャズ
ホットなスタイルのビバップに対するアンチテーゼとして、1940年代後半に発生した。
知的で洗練された、クールなスタイルである。
🔵ウエストコースト・ジャズ
1950年代初頭に、アメリカの西海岸の若手白人ミュージシャンたちによって展開されたジャズ。
編曲面を充実させたクール系のサウンドが特徴。
ジェリー・マリガン、アート・ペッパー、チェット・ベイカーなどが代表的な音楽家。
🔵ハード・バップ
1950年代半ばに、主にニューヨークの黒人によって展開されたスタイル。
ビバップをより親しみやすい形に洗練させたものといえる。
🔵ソウル・ジャズ
1950年代後半のハード・バップのうち、特にブルース、R&B色の強いものを指す。
キャノンボール・アダレイ、ジミー・スミスなどが代表的な音楽家。
🔵モード・ジャズ
1950年代の末から、従来の長調・短調に基づく枠からの解放、あるいはコード進行の組み合わせや細分化によるインプロビゼーションへの拘束に対する反発として、展開された。
モードを使うことで、より自由なメロディラインや即興の展開が可能となり、和声的には各モードでの特徴的な終止形がポイントとなっている。
🔵フリー・ジャズ
1960年代に起こった、従来のジャズの枠にとらわれない実験的・前衛的なジャズの総称である。
既成のリズムやコード進行から解放された、フリー・フォームの即興演奏が特徴。
🔵アバンギャルド
語源は「前衛部隊」を意味する軍隊用語。
それが「前衛的芸術」全般に使われるようになった。
ジャズやロックの実験的な演奏を指して使われる。
🔵フュージョン
ひとつのジャンルにとらわれず、他のジャンルの要素も積極的に取り入れた音楽、の意味。
一般的には1970年代後半に流行したソウル/AOR寄りの、イージーリスニング的なジャズのことを指す。
当時は「クロスオーバー」とも呼ばれた。
🔵アシッド・ジャズ
1980年代後半に生まれた呼び方で、ジャズやソウル色の強いヒップホップ、生バンドのジャズファンクなど、ジャズ色のあるダンスミュージック全般に使われる。
英国のトーキング・ラウド・レーベルが特に有名。
(2025年4月18日、5月6日に作成)