(『音楽用語事典』リットーミュージック発行から抜粋
2009年10~11月、2010年5~6月にノートにとって勉強した)
🔵ブルース
19世紀半ばに、奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人たちによって生み出された、哀愁を帯びた音楽。
後に生まれるジャズ、R&B、ロックなどの基盤ともなった。
特徴は次の4つ。
①主に恋愛や苦悩を歌った、3行形式の歌詞
②1コーラスが12小節というスタイルで、パターン化したコード進行
③ブルーノートを使ったメロディ
④トニック・コードにセブンス・コードを使う伴奏法(※ⅠをⅠ7にする)
🔵アーバン・ブルース
都会のブルースをいう。
第一次大戦による黒人の北米移住に伴って、北上したブルースが、そこでジャズ的アレンジを加えられ都会的に洗練されたもの。
🔵カントリー・ブルース
米国南部の田舎のブルース。
ギターの弾き語りが多い。
🔵デルタ・ブルース
ミシシッピー川とヤズー川にはさまれた三角州地帯で発生した、粗野でリズミックなカントリー・ブルース。
🔵シカゴ・ブルース
第二次大戦後にシカゴで生まれた、モダン・ブルース。
デルタ・ブルースの伝統を背景に、電気楽器を取り入れたバンド・スタイルを特徴とする。
マディ・ウォーターズとハウリン・ウルフが代表的な音楽家。
🔵ブギウギ
1920年代に、米国の黒人ピアニストによって広められた、ブルース・ピアノ奏法の1つ。
左手で8分音符のベース/リズムを刻み、右手でメロディのバリエーションをつけていく。
後に転じて、ノリの良いアップテンポのR&Bナンバーも指すようになった。
🔵ロックンロール
米国の歌手ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」のヒット(1955年)をきっかけとして大流行した音楽。略してR&Rとも書く
8ビート、スリー・コードを基調とするビート・ミュージック。
🔵ロック
1950年代半ばに米国で生まれたロックンロールが原型である。
ロックンロールは様々なもの(音楽スタイルなど)を取り入れて発展と変貌をとげ、多岐に渡るスタイルが生まれた。
そのようなスタイル/ムーブメント全般の総称として、1960年代以降、ロックと言う言葉が使われるようになった。
🔵ロカビリー
ロックンロールにC&W(ヒルビリー)の要素を加えた、初期のアメリカン・ロック。
エルビス・プレスリーの爆発的人気と共に、1950年代後半に大流行した。
🔵マージー・ビート、リバプール・サウンド
1960年代初頭にイングランドで発生した、ロックンロール系の音楽。
発祥地のリバプールを流れるマージー川から、その名が採られた。
リバプール出身のビート・グループが生み出したので、リバプール・サウンドとも言う。
厳密にはビートルズを筆頭とするリバプール出身のグループに限られるが、当時のブリティッシュ・ビート・グループ全体を指すことも多い。
🔵サーフ・ミュージック
1960年代の初頭に、米国のカリフォルニアを中心にして世界的なブームとなった音楽。
サーフィンのBGMに最適な、軽快なアメリカン・ロックである。
ホット・ロッドとも呼ばれる。
🔵ウエストコースト・ロック
1960年代の後半に、「フラワー・チルドレン」に代表されるヒッピー・ムーブメントを契機として注目され始めた、米国・西海岸のロック。
サイケデリック・サウンド、カントリー・ロック、サーフ・ミュージックと、その内容は様々である。
🔵サイケデリック・サウンド
サイケデリックとは、「脳がおかしい」という意味。
そこから転じてサイケデリックは、マリファナやLSDなどの薬物による幻覚状態を指す造語として、1960年代のヒッピー・ムーブメントのキーワードとなった。
サイケデリック・ミュージックは、幻覚状態を音で表現したもの、および幻覚状態をさらに盛り上げる効果を持った音楽を言う。
🔵ハード・ロック
レッドツェッペリンやディープパープルに代表される、大音量のロック。
ブルースを基調とした演奏スタイルと、歪んだギターサウンド、ドラマティックな長時間演奏などを看板とする。
1970年代前半に全盛を迎えたが、ニューウェイブの出現により下火となった。
1980年代半ばにブームとなったヘビーメタルの原型である。
🔵ブリティッシュ・ロック(英国製ロックの意味)
ロックンロールを背景にイングランドで登場した音楽で、逆輸入でアメリカのロックシーンにも多大な影響を与えた。
リバプール・サウンド、ブルース・ロック、ハード・ロック、プログレッシブ・ロックなどが代表格である。
🔵プログレッシブ・ロック(進歩的なロックの意味)
1970年代の前半に、主にイングランドを中心に起こったムーブメント。
サイケデリックの流れを汲み、クラシックやジャズの要素を感じさせるグループが多い。
コンセプト・アルバムの指向が強いのも特徴的。
🔵アメリカン・ロック
アメリカ産のロックの意味だが、1950年代のロックやニューウェーブ以降のロックには、この言葉はあまり使われない。
1970年代のサザンロックなど、米国の伝統に裏打ちされた泥臭いサウンドが狭義の意味。
🔵サザン・ロック
1970年代の前半に全盛を迎えた、米国・南部出身のバンドによる泥臭いロック。
ブルース、R&B、カントリーの影響を感じさせるバンドが多い。
オールマン・ブラザーズ・バンドやレイナード・スキナードが代表格。
🔵カントリー・ロック
カントリー音楽を取り入れたロックで、1970年代の前半に流行した。
イーグルスやポコが代表的な存在。
🔵グラム・ロック(美形ロックの意味)
1970年代の前半にイングランドで登場した、センセーショナルなファッションと退廃的なムードのロック。
デビット・ボウイ、ロキシー・ミュージック、Tレックスなどが代表格で、いかにも英国的なスタイルの1つ。
🔵パブ・ロック
大量の機材を要する大仕掛けなロックが全盛であった1970年代前半のイングランドにおいて、パブやナイトクラブを拠点にして地道な活動を続けた一派を指して使われた言葉。
🔵AOR(大人向けロックの意味)
1970年代の半ばに、米国のFMステーションの急増に伴って、20代後半~30代前半の人をターゲットにした落ちついた雰囲気のロックが高い人気を集めるようになった。
この際、従来のティーンエイジャー向けのAM的なロックと差別化を図るために生み出された用語である。
🔵ニュー・ウェイブ
従来の肥大化、産業化したロック(オールド・ウェイブ)への反発として、1970年代の後半にイングランドを中心に発生した、パンク以降のロック・ムーブメントの総称である。
大資本の投下を必要としないコンパクトな活動や手法、斬新なアイディア、高い政治意識が特徴。
🔵オルターナティブ
既存のものに取って代わるもの、の意味。
1970年代後半に、ニューウェーブ系ロックの動きを総称してこう呼んだのが起源。
🔵パンク・ロック
1970年代の半ばに、米国・ニューヨークで発生したムーブメント。
間もなくイングランドのロンドンに飛火し、セックス・ピストルズのセンセーショナルな登場と共に大ブームとなった。
過激なファッション、政治的な歌詞、1960年代初期のビート・バンドにも通じるシンプルなサウンドが特徴。
🔵ヘビー・メタル
ブルース・ロックやヘビー・ミュージックなどに代わる用語として、作家のウィリアム・バロウズが作った言葉。
ハードロック系のアーティストに対して使われた。
パンクの出現と共に衰退したが、1980年代の初頭から若手が再興させた。
1980年代以降のヘビー・メタルは、70年代のハード・ロックに比べて、よりメカニカルなニュアンスが強い。
🔵ノイズ・ミュージック
1970年代の後半に、ドイツを中心に発生した、ニュー・ウェイブ系のロックの1つ。
工事現場を思わせるような、金属的な破壊音をリズム体とし、実験的な要素が強い音楽。
インダストリアル・ミュージック、ファクトリー・ミュージックとも称される。
(2025年4月18日、6月9日に作成)