CDについて(以下は『スウィングシャーナル ジャズブック’86』から抜粋)
🔵CDの規格と技術
ディスクが虹色なのは、表面に情報が刻まれているため。
トラック(信号の列)の幅は0.5ミクロン(10000分の5ミリ)で、1mm幅にトラックは625本となる。
そのトラックは、1と0の符号(ピットという)が並んでいる。
CD1枚に平均して25億個のピットがある。
サンプリング周波数とは、1秒間あたりの音楽情報をいくつで刻むかということ。
CDの場合は44.1kHzで、1秒を44100分の1に分割している。
これをアナログ信号に戻した時には約半分になってしまい、20kHzになる。
(ちなみにPCM録音は31.5kHzで、再生の時には15kHzになる)
音の強弱の正確度を現わすのが「ビット数」で、ダイナミックレンジをあらわす数値である。
CDは16ビットで、65536分の1=0.0152mVまで記録できる。
1ビットは6dBに相当するから、16ビットで96dBになる。
ディスクの原料は、ポリカーボネイトという透明なプラスチックで、耐熱・耐湿性に優れる。
ディスク厚さは1.2mm。ちなみにピットのくぼみの深さは0.1ミクロンだ。
CDの製造では、ピットを刻んだ後に光を反射するアルミ箔を着け、その上を保護膜で覆ってからレーベルが印刷される。
再生時は、レーベルと逆の面から透明層を通してアルミ箔にレーザー光線を当て、ピットの有る無しを反射光の変化で読みとってゆく。
ピットは窪みで作られるが、反対側からレーザーを当てるため突起を読みとる形になる。
CDプレイヤーのレーザー光は、レンズで集光されてちょうどアルミ箔の所で焦点を結ぶようになっている。
ピットがない時は全反射されるが、ピットがあると拡散されて反射量が減る。これを検出していく。
CDには補正技術があり、「クロス・インターリーブ・リード・ソロモン」と呼ばれる方式で、「インターリーブ」と「誤り訂正符号」の2つの技術をミックスしている。
「インターリーブ」は、情報をあえてバラバラにして記録し、補正しやすくする技術。
「誤り訂正符号」は、情報の間に補足する情報を入れておく技術。
キズやホコリがあって補正が頻繁に働くと、音が悪くなる。
CDの再生では、毎秒70万個の信号をピックアップしている。情報量を一定にするため内周部では回数が速くなる。
内周部では毎分500回転、外周部では200回転だ。
1.6ミクロンのピッチで移動するピックアップに合わせ、回転数は調整され続ける。
トラックの中に現在の位置を示すアドレス信号があり、それによって回転数が決まってゆく。
再生時は、ピックアップがトラックから外れないようにサーボをかけてコントロールする。次の4つのサーボ機能が働く。
左右のブレをコントロールするのが、「トラッキング・サーボ」。
上下のブレをコントロールするのが、「フォーカス・サーボ」。
回転数のブレをコントロールするのが、「回転サーボ」。
ピックアップの位置をコントロールするのが、「移動サーボ」。
余談だが、CDには空きチャンネルがあり、16色のカラーで2000枚ほどの画像を入れるスペースがある。
(以上は2025年5月10日に作成)
(以下は『何かのオーディオ誌』から抜粋)
◎CD用語
🔵ゼロクロス
信号の値が0を通過すること。
音の信号はプラス側とマイナス側に振動しているため、0を通過する瞬間がある。
この瞬間を「ゼロクロス点」と呼ぶ。
🔵ゼロクロス歪み
D/A変換の微分非直線性が0ボルト付近で生じると、再生アナログ音にクロスオーバー歪みと同じような歪みが生じる。
つまり0レベルをまたぐ所でノイズが出る。このことを言う。
🔵分解能
アナログデータをデジタルデータに変換する時の細かさを表す。
8ビットは256段階、12ビットは4096段階、16ビットは65536段階で電圧を分解し、デジタル値で表す。
8ビットで19.5mV、12ビットで1.22mVまで分解できる。
🔵SN比
信号量(signal)とノイズ量の比である。単位はdB(デシベル)。
これが高ければ、伝送におけるノイズの影響が小さいことになる。