『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著の抜粋を書くシリーズ、その第4回目です。
今回の部分は、「環境破壊、地球温暖化、持続可能な社会」がテーマになってます。
なお『グレート・リセット』は、2020年6月に書かれ、同年7月に出版された本です。
そして著者のクラウス・シュワブは、世界経済フォーラムの主催者です。
抜粋の後には、私の感想を述べます。
〇『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著から抜粋
動物から人に移る感染症を、「人獣共通感染症」と言う。
この感染症が、近年に増加している。
その原因とされるのが、森林破壊である。
長い間、世界中の研究者が、熱帯雨林のような豊かな自然環境が、デング熱やエボラ出血熱のなどの発生源と考えてきた。
しかし今や、生物の多様性を人が破壊することが、新型ウイルスを解き放つ原因とされる。
最近の学術調査によると、農業従事者が人獣共通感染症の半数以上に関係しているという。
野生動物の生息地が失われる事と、野生動物の売買は関連性が高い。
そして自然環境から連れ出されたコウモリなどが、都市に(売買のため)送られることになる。
私たちにできる事は、自然環境の保全と、生物の多様性の保護だ。
WHOによると、世界人口の90%が安全ガイドラインに満たない汚れた空気を吸っていて、毎年700万人がそれで早死にしている。
大気汚染がコロナ感染とその致死率を上げていることも、研究で明らかになった。
この研究は初期の段階だが、コロナ感染や症状の重さと強い相関関係があるのは明らかだ。
欧州でも大気汚染がひどいロンバルディア地方が、コロナ致死率がイタリアの他の地域の2倍なのは、これで説明がつくかもしれない。
コロナ対策でロックダウンを各国が行ったことで、IEA(国際エネルギー機関)によると世界の二酸化炭素の排出量は8%減少する。
ロックダウンの厳しさを考えると、8%という数字には失望する。
だがコロナ・パンデミックで生まれた新しい習慣が、人々の消費行動を変化させるなら、地球温暖化の防止になる。
通勤を減らして、リモートワークを増やし、車から自転車や徒歩に変えれば、街の空気はロックダウン中と同じにきれいになる。
休暇の旅行先を近場にする、といった行動が積み重なれば、二酸化炭素を継続的に減らせるだろう。
一方で、パンデミックにより環境問題が忘れられるリスクもある。
パンデミックの終息後に、大半の国が地球温暖化の問題を棚上げにして、経済の立て直しに専念する可能性もある。
今回のパンデミックをきっかけに、多くの人々がこれまでと違う生き方をして、経済をより持続可能なものにすることも出来る。
とにかく、炭素依存型の社会から脱却するべきだ。
気候変動の問題に積極的に取り組んできた指導者たちは、パンデミックを利用して環境対策を定着させようとするだろう。
このタイプの指導者には、イギリスのチャールズ皇太子や、ニューヨークのアンドリュー・クモオ知事がいる。
こうしたリーダーは、環境対策に取り組むことを、景気刺激策の条件にするだろう。
多くの人にとって、「持続可能な社会」は遠いものに見えるかもしれないが、コロナ危機と大気汚染に因果関係があると知れば、気候変動が最大の関心事になる。
ロックダウンが解除されれば、活動家たちがまた動き出し、環境保護のデモをしたり汚染規制の強化を求めるだろう。
環境シンクタンクのシステミックが、世界経済フォーラムと共同で発表した政策提言書では、「自然を優先する経済の構築を進めると、2030年まで毎年10兆ドル以上の経済効果が期待できる」、と述べた。
景気刺激策の予算の一部は、この分野に投資すべきだ。
〇村本尚立のコメント
私は、自然環境を保護することや、生物の多様性を守ることを、以前から大切にしてきました。
農業でも、自分で野菜や果物を育てたり、農薬を使わない方法で作った作物を購入したり、遺伝子組換え作物を買わないようにしてきました。
だから、自然保護や生物の多様性の重視には賛成です。
私が違和感を持つのは、世界経済フォーラムの中心人物の1人であるビル・ゲイツらが、遺伝子を操作する技術に注力して、ゲノム編集に多額の投資をしているのに、「生物の多様性」を唱えることですね。
ゲノム編集とかクローン技術は、生物の多様性とか、自然環境の保全と、真逆です。
世界経済フォーラムや、そのトップにいるクラウス・シュワブや、ビル・ゲイツらは、ゲノム編集を推進する側の人達です。
なので、彼らが自然保護や多様性を述べても、あまり説得力がないですねえ。
クラウス・シュワブは、コロナ・ウイルスの発生原因や、コロナ感染&致死率を、森林破壊とか大気汚染と結びつけてます。
でも私は、コロナ・ウイルスは生物兵器を開発する中で生まれたものだと思っているし、コロナ感染率が高い国はコロナ・ワクチンを沢山射った所が多いと知ってます。
コロナ・ウイルスの発生と流行を、森林破壊や大気汚染に結びつけるクラウスの論調は、間違っていると思います。
森林破壊と大気汚染は解決しなければならない問題ですが、それをコロナ・ウイルスと密接に結びつけるのは、誘導や思惑がある気がしてなりません。
社会をもっと持続可能な、人や自然に優しいものにする、という考えは、私がかねてから考え求めてきたものです。
だからそのアイディアには賛成なのですが、「持続可能な社会にしよう」と世界経済フォーラムみたいな権力者と多国籍企業の集まりが言い出すと、違和感だらけなんですよねー。
私からすると「いや、お前らが人間の欲望を煽って、暴走や環境破壊を進めてきたんじゃないか。人に優しくない政治をグローバリストが行い、環境破壊を多国籍企業がしてきただろ」と思っちゃうのです。
彼らが深く謝罪して、それから路線変更をするならともかく、反省なく「持続可能な社会を」と切り替えられてもねえ。
地球の自然を愛する人々が、「もっと地球に優しい世界を創ろう」と言うのを、無視してビジネス優先で開発と環境破壊をしてきたのが、世界経済フォーラムのメンバーたちなんですよ。
その彼らが、今までの行いと真逆のことを言い出した。
そうして、「景気刺激の予算は環境対策に回そう」とか「毎年10兆ドルの経済効果がある」と煽り始めた。
「人々が、コロナ危機と大気汚染に因果関係があると知れば(そのように教え込めば)、気候変動が最大の関心事になる」とも述べている。
「うまく人々を洗脳していき、しっかり準備して今度は環境ビジネスで儲けましょー」と言ってるように見えなくもないですね。