一昨日に、YouTubeの私のチャンネルに、「雪の華」の歌唱を発表しました。
歌録りで苦労している件は、前回の日記で報告しましたが、何とか完成させて発表まで漕ぎつけました。
完成に至るまでのストーリーは後述するとして、まずその動画を紹介します。
頑張って作ったので、ぜひ聴いて下さい。
最初は歌とギターのみで、途中からベースとドラムが加わります。
ここからは、この曲を取り上げた理由、作成での苦労話を書いていきます。
私が「雪の華」を知ったのは、実はそれほど前ではなく、昨年(2021年)の10月でした。
当時は、祖母の慶子が体調をひどく悪化させて、その看病で大変な時期でした。
慶子はほぼ寝たきりの状態でしたが、2時間おきくらいに、「身体が痛いので向きを変えてくれ」とか「おしっこ(小便)したい」と言って、家族を呼びます。
で、母と私が対応してました。
しょっちゅう呼ばれるので、隣りの部屋にいる事も多かったのですが、ずっとの看病で睡眠不足が慢性化し、頭がぼーっとしてる状態です。
で、頭の疲れた状態で、慶子が起きて呼ぶのを待ち構えつつ、なんか手持ち無沙汰なので、ダラダラとYouTubeを見てることがけっこうありました。
そんな日々の中、ある時にYouTubeで中島美嘉さんの歌う「雪の華」をたまたまクリックしました。
「ザ・ファースト・テイク」という最近の企画もので、サムネイルが格好良いので、中島美嘉という歌手にそれまで何も感じておらず、雪の華も知らなかったのですが、暇だし何となくクリックしました。
そうしたら、とても良い歌唱をしており、感心しました。
雪の華のコード進行や歌詞にも感心しました。
私にとってそれまで中島美嘉は、安室奈美恵や宇多田ヒカルと同様に、世間は高い評価をしているが、聴いてみたところ「何も感じない」歌手でした。
「ふーん、世間は絶賛しているが、この程度の歌唱力か。全く心に響くものが無いな。なんだ、つまんない」、この感想でした。
私にとって長く、中島美嘉は、バレーボーラーの清水邦広の妻の印象でした。
私は女子バレーボールをよくテレビ視聴しており、その関係で「バレーボール・チャンネル」という番組も見てるのですが、その番組は男子バレーも扱ってます。
それで、清水邦広は男子日本代表で中心選手だったから、番組内でよく取り上げられ、「妻の中島美嘉が観戦に来ました」なんて報じてました。
興味ないので「あっ、そう」と思ってスルーしつつ、「清水と歌手の中島美嘉が結婚している」との情報は記憶しました。
それからしばらくすると、「バレーボール・チャンネル」だったか、別の番組だか忘れましたが、清水が大怪我をして、そのリハビリに苦闘する姿を報じてました。
前述のとおり、彼は男子代表のエース格なので、「東京オリンピックに間に合うのか、彼はメンバー入り出来るのか」という観点から、彼のリハビリを追ってました。
で、彼は復帰間近まで漕ぎつけたのですが、手術した膝にウイルスが残っていたとかそんな理由で、再手術となり、再びリハビリ生活が始まりました。
再度のリハビリで心が折れそうになりつつ、それでも頑張る彼の姿を、テレビは報じました。
それを見ながら、「清水にはなかなか根性がある、たいしたものだ」と感心しました。
その時に、補足的な情報として、番組内で「中島美嘉と離婚し、私生活もどん底の状況にあるが、それでも彼は闘い続けている」みたいなナレーションが入りました。
「えっ!!離婚したの!! この苦しい状況下で、妻に支えてもらえないのか。マジできついな。踏んだり蹴ったりだな。俺なら耐えきれんぞ。」と思いました。
夫がそれまでの人生で一番きつい局面と思われる時に、離婚した中島美嘉に、なんとなく不信感を覚えました。
家庭内で何が起こっていたかは知りませんが、「ここで見捨てるのか……」と、清水邦広に同情しましたね。
そんなわけで中島美嘉さんには好印象はなかったのです。
しかし前述のとおり今回、なんとなく彼女の「雪の華」を聴いてみたところ、凄く良かったです。
それで、日を置いてからさらに何回か聴いてみたところ、やっぱり良いので「中島美嘉はなかなかやれる歌手だ」と認識しました。
ちなみに、雪の華について調べたら、彼女が20年くらい前に初めて歌ったと分かり、その時の録音も聴いてみました。
そうしたら、何も感じなかったです。
ごく平凡な出来の歌でした。
当時に私が聴いたとしても、「あっ、そう」としか思わなかったでしょう。
さらに、その数年後に彼女がライブで熱唱する雪の華も、YuoTubeにて視聴してみたのですが、ごく普通でした。
だから、「中島美嘉は、すごく歌手として成長したのだな」と思いました。
ネットで少し彼女を調べたところ、「10年くらい前に耳の病気を抱えて、上手く歌えなくなり、闘病してきた」と知りました。
最近になり、ようやく改善してきたらしいです。
闘病中の時期の彼女の歌を、試しにYuuTubeで聴いたところ(これは雪の華ではなかった)、音が外れまくってました。
でも、日本だとこのくらいに音を外しまくる歌手が、沢山いるので、当時に彼女の歌唱を私が聴いたら「ごくごく普通の歌手なんだな」と認識したでしょう。
ぶっちゃけた話、この音を外しまくる時期の彼女を聴いていたら、そういう歌手なのだと捉えて、今回に「雪の華」をたぶんクリック再生しなかったです。
今回、私が中島美嘉を少しリサーチしての感想は、「元々は平凡な歌手だったが、耳の病気という歌手には致命的な病気を乗り越えることで、飛躍的な成長を遂げた」です。
世間でどう評しているのか知りませんが、私の評価はコレです。
彼女は「ザ・ファースト・テイク」で、別の曲も歌ってますが、それも良かったので、雪の華だけの1発大当たりでもないです。
そんなわけで、祖母の慶子の看病中に、思いがけず大成長後の中島美嘉に出会いました。
それで、「雪の華」の歌詞とメロディの良さにも感銘を受けました。
私は全く知らなかったのですが、かなりの有名曲で、韓国ではドラマの主題歌に採用されたそうです。
そうして祖母・慶子は、私が雪の華を知った1ヵ月後に、亡くなりました。
慶子は北海道の生まれで、退職後にも20年くらい北海道・小樽で暮らしていました。
だから、「雪の華」を慶子への想いを込めつつ、ギターで弾こうと思ったのです。
歌無しで、ギターのインストもので制作するつもりだったのですが、YouTubeだと歌ありのほうが再生回数が多い傾向が顕著です。
私のチャンネルは再生数が伸びず低空飛行してるので、打開策として思い切って歌ってみることにしました。
歌詞が良いし、メロディとコード進行がどこか物悲しいので、慶子への感謝や哀惜の想いを歌詞に託せそうだと思いました。
で、まず歌以外の伴奏を作ったのですが、これは順調に行きました。
今回の録音から、マイクをSE electronicsというメーカーのX1Rに変えました。
これはリボン型のマイクです。
一般的に、自宅録音ならコンデンサー型のマイクを使うものなんですが、SE eleのサイトでコンデンサー型とリボン型の聴き比べをしたところ、圧倒的にリボンのほうがニュアンスが出ていると思いました。
高額のやつだとアナログ盤みたいな芸術の音が録れているので、それが欲しかったのですが、予算的に一番安いX1Rになりました。
で、X1Rでギターの伴奏を録ってみたところ、これまで使っていたコンデンサー型の最安値圏のマイク(PreSonusのM7)より音が良いし、なによりピーク超えのトラブルが少ないです。
今まで使っていたPreSonusのM7は、ピーク超えを頻繁にする位のゲインにしないと、まともに録れませんでした。
だからめちゃくちゃ苦労して録音してたのですが、X1Rにしてだいぶ改善されました。
でも後述するように、ダイナミック・レンジの点で不満はあります。
伴奏のトラックが完成したので、いよいよ歌の録音を始めたのですが、予想していた通りに一筋縄ではいきませんでした。
これまで歌唱の勉強も練習もしてないので、なにしろ息が続きません。
発声の基礎から分からないので、暗中模索になりました。
で、喉の疲労回復の日を間に入れつつ、3回にわたって歌の録音をしました。
歌うほどに上手くなっていったので、さらに回数をこなせばまだまだ上達すると思いましたが、そうやっているといつまでも発表できなさそうなので、未熟なのは知りつつ発表したのが、冒頭に貼った動画です。
普通だと、歌にはイコライザーなどをかけて、処理をします。
私も試しにやってみたのですが、歌の微妙なニュアンスとか声の自然さが失われたので、あえて何の処理もしない事にしました。
完全に好みの問題なんですが、私は処理をほどこした強調感のある音が好きではないのです。
だからギターもエフェクト処理をしてません。
歌の録音をして思ったのは、「歌唱は最初と終わりが難しい」という事です。
プレイバックした時に、入りがきちんと聴こえない(歌えてない)、終わりで声が揺れている(音が外れている)、というのが多かったです。
録り直しの半分くらいは、これが原因でした。
ギターだと、入りと終わりが難しいという印象は、そこまで強くないです。
それよりも、運指とかピッキングの難しい所で苦戦することが多いです。
あとは、歌い慣れてないので、声音が安定せず、歌うごとに声音に小さな違いが出てしまいました。
そのため、録り直して繋げると、繋いだのがバレてしまう事がありました。
ギターだと安定した音色で毎回弾けるので、自分の歌のあまりの不安定さに、ややショックでしたね。
歌のテイクを重ねている中で、たまに凄く良い声が出たのですが、なぜ出るのかが掴めず、それを継続できないという。
歌の勉強が必要だと、痛感しました。
ギターの伴奏では、歌のメロディをコードのトップノートに置いて歌唱をサポートするのはあまりせず、後半ではむしろメロディと対立するようなコードワークをしました。
そのわりにはきちんと正しい音程で歌えたし、初めてにしては良い出来だと思います。
音が外れた所もあるのですが、今回は諦めることにしました。
ちなみに、音程を修正するソフトがあって、それを使えば直せるのを知ってますが、直すと音が死ぬ(声が不自然になる)と私は感じてるので、やる気はありません。
最初で「雪の華」という難しい曲を選んだため、すごく苦戦しましたが、歌っていると充実した幸せな気分になる名曲でした。
やってみてけっこう楽しかったので、歌の勉強をしつつ、数曲に1回は歌を披露しようと思います。
「雪の華」は、「もし君を失ったとしたなら~」と歌う中盤終わりが、一番盛り上がる所です。
私もそこで盛り上がるように、伴奏を作りました。
ところが初めての歌録音なので、マイクの録音レベルの設定に苦戦し、「もし君を失ったとしたなら~」の部分を盛り上げて声量を上げて歌ったら、ピーク越えをして赤マークが付いてしまいました。
で、ピーク越えしない声量にして抑えて歌ったところ、盛り上がらない状態で終わる形になりました。
正直、ここが一番心残りです。
ギターの録音でもそうなんですが、静かなプレイから始めて、盛り上がっていって力強い表現を始めると、ピーク越えして赤マークが付きます。
そのため、ピーク越えを回避するために、抑えた表現に終始することが続いてます。
もっとダイナミック・レンジを確保した、メリハリのある演奏にしたいのに、ピーク越えが発生するので力をセーブしている(フォルテの表現を我慢している)状態です。
マイクなどの機材の力不足が原因だと見てます。
前述した、マイクをX1Rに替えることで、前よりはダイナミック・レンジを広げられたのですが、もっと弱音でも強音でもきちんと録れる状態に持っていきたいです。
「雪の華」のアレンジは、基本的に中島美嘉さんのザ・ファースト・テイクのバージョンを参考にして、それにドラムを加えてもっとR&B色を出す形にしました。
エンディングは、思いっきり変えて、「ずっと」という最終の歌詞を強調するようにしました。
前述のとおり、私はこの歌唱を祖母・慶子に捧げるイメージで作ったので、最後の「ずっと」には、「慶子は亡くなったが、これからも魂はずっと私と一緒にいる」とのメッセージを込めることにしました。
で、「ずっと」にその感情を込めて歌ったのですが、プレイバックしてみると他の楽器に埋もれてよく聴こえなかったのです。
発音を工夫したり声量を上げたりと、何度も録り直したのですが、いっこうに改善しませんでした。
「困ったな、大事な所なのに歌が埋もれてしまう…」と悩んだのですが、操作ミスで音のミュートをし忘れて、録音した2つの歌のテイクが重なる状態で再生された時、歌詞が埋もれないし歌詞が強調されるのに気付きました。
そこで、ここだけは歌を重ねた状態にしました。
多重録音というのは、音に厚みを出す手法として知ってましたが、使ってみて「場所を選ぶが、かなり有効な手法である」と分かりました。