10月11日に、日本対セルビアの親善試合がありました。
結果は、0対2で完敗でしたね。
観戦していて思ったのは、『日本は、ピッチの状態が悪いと力を出せない』という事です。
この試合の会場は、芝の状態がかなり悪かったため、ボールの動きがスムーズにいかず、パスを多用する日本にはつらい環境でした。
パス・サッカーをするチームは、多かれ少なかれ、ピッチの状態に出来が左右されます。
美しいパス・サッカーの代表チームであるFCバルセロナも、ピッチ・コンディションが悪いと苦戦することが多いです。
W杯のような大きな大会は、ピッチ・コンディションが良いのが前提なので、来年のW杯ではこういう部分では心配はいらないでしょう。
でも、もう少し適応力をつけたいところですね。
あと思ったのは、『日本人は、対戦相手と仲の良い状態になると、そこから戦闘モードに戻すのが苦手である』という事です。
この試合は、セルビアのスタンコビッチ選手の引退試合を兼ねており、試合の途中で、彼の今までの活躍を称えるセレモニーが入りました。
日本の選手達は、温かい態度でセレモニーに参加し、彼を称えました。
それは、素晴らしいことです。
で、その後は、日本選手はどうも動きにキレがありません。
日本選手たちは気づかなかったと思いますが、彼らは、『相手チームに友情を感じたため、その後は牙をむくことが出来なくなった』のです。
日本人は、和を尊ぶ性格のために、一度相手を仲間(友達)と認識すると、無意識に配慮をしてしまうのです。
普通だと、試合に入る前に「これからするのは、ゲームとはいえ闘いである。手加減はできない」と、自分に言い聞かせて、それで最後まで行けます。
でも、この試合には一度「相手は友達だよ~」という場面が入りました。
(セルビア選手と日本選手が一体になって、スタンコビッチ選手に拍手を送った)
そのために、集中が切れてしまった(戦闘モードでなくなった)のです。
他の国の人々は、すぐに戦闘モードに復帰できる人が多いですが、日本人の多くはそうではありません。
根が優しいのでしょう。
これは美質なのですが、その特質のために、この試合では敗北しました。
自分もそうだから感じるのですが、日本人は根の部分で好戦的ではないです。
スポーツなんかでも、相手の弱い所にガツンガツン攻め込む事をせずに、むしろ相手の良い部分を引き出そうとする傾向があります。
実際に日本人は、スポーツの世界では「クリーンなプレイをする」という事で定評があります。
この性質は、勝利至上主義からするとマイナスに見えるかもしれませんが、私はすばらしいものだと思っていますよ。
この試合は親善試合なので、0対2という結果には、こだわる必要はありません。
でも、日本代表が何かを学べた感じがしなかったのが、残念ですね。
この試合では、柿谷さんがまったく活躍できませんでした。
彼を活かすには、いつもスペースに走らせるのではなく、彼のボール・キープ力を使うために、足元にもパスを出してあげた方がいいですね。
実は、私がこの試合で一番感じたのは、これでした。
『日本の選手達は、ぜんぜんサッカーを楽しんでいない。
試合後のコメントも、元気や希望の無い、覇気の無いものだ。
どうしたのだ、君達は。』
以前から、勝っても負けてもサッカー日本代表・男子がつまらなそうな顔をしているのが、気になっています。
私が見るに、今の選手達は勝利を意識するあまりに、サッカーへの愛情を見失っています。
これは、とても悲しい事です。
もう一度、笑顔を取り戻してほしいです。
彼らの暗い顔つきを見ているうちに、インスピレーションを得て、今まで考えていた事がまとまりました。
それは、『エッセイ』のページに、「スポーツについて考察する」として書きました。
ぜひ、読んでみて下さい。