6月7日に、サッカー日本代表・男子のザンビアとの強化試合がありました。
結果としては、4対3で日本が勝ちました。
日本はこのところ5連勝です。
次は、いよいよW杯で戦うことになります。
日本代表は、W杯に向けて短期間でキプロス、コスタリカ、ザンビアと試合をしたわけですが、今回のザンビア戦がいちばん面白かったですね。
前回の記事(サッカー日本代表のW杯メンバーが決まった)でも書いたのですが、これらの試合は練習試合だし、結果は重要ではありません。
でも、ここで全試合に勝てたのは、チームの雰囲気を良くする効果があると思います。
ザンビア戦の内容に入っていきますが、まず驚いたのは『ザンビアが見事な組織プレイをしてくること』でした。
アフリカのチームは、個人個人の能力は高いのですが、チームにまとまりがなくて、組織で攻撃や守備をしていくのが苦手です。
そのイメージがあったので、献身的なハードワークや、きれいに繋がるパス・ワークをする、ザンビア代表からは鮮烈な印象を受けました。
私はこれまで、こんなにチーム全体で連動性を発揮できるアフリカのチームを、見た事がなかったです。
「ザンビア代表、強えよ! まじか!」と、何度も首を振りましたねー。
前半はザンビアのペースで試合が進み、日本はボールをほとんどキープ出来ません。
最近の日本は、強い相手でもボールをキープできているので、滅多に見られない姿です。
正直に言って、日本代表の楽勝だと思っていたので、衝撃でした。
アフリカ・ネーションズ・カップ(2年に1度あるアフリカ最強を決める大会)で、前回にはザンビアが優勝しているというのも頷けます。
本当に、いいチームです。
で、0対2で日本がリードされる展開になった時点で、「もしかしたら、日本が負けるかも。このままザンビアがボールを支配していけば、100%勝つな。」と思いました。
そうしたところ、ハーフタイムを終えて後半に入ったら、いきなりザンビアの動きが鈍くなり全く別のチームになってしまいました。
ばててしまったらしいのですが、ここまで豹変するチームも珍しいですね。
ここ数日、W杯前の特集番組をやっており、いくつも見ているのですが、『アフリカのチームは後半になると集中力が落ちる』との事です。
日本がW杯の初戦で戦うコートジボワールも、後半になると精彩を欠くそうです。
こういうのは、お国柄なのでしょうか。
日本も以前は、前半開始直後や前半終了間際に、いちじるしく集中力を欠く(失点してしまう)習性がありました。
最近は、克服されていますねー。
今回のザンビア・サッカーを見て、『アフリカ・サッカーは、着実に進化している』と感じました。
アジアもレベルがぐんぐん上がってきているし、南米とヨーロッパだけが強い、という状態ではなくなりましたね。
さて。 ここからは日本代表の話をします。
この試合は先制点を奪われた事もあり、ザック監督をはじめとして低評価を下している人がけっこういますが、私はポジティブにとらえています。
明らかにザンビアは良いチームだったし、日本はW杯に向けての調整中でベスト・コンディションじゃないし、スタメンにはいつもと違うメンバーもいました。
それでも勝ったのだから、むしろ高評価を与えていいと思います。
私がまず感じたのは、『大久保さんがきちんと機能していること』です。
彼は、ベテランだけあり、チームにフィットするのが早いです。
強化試合3連戦では、大久保さんが機能するかが、1つの注目点だったわけですが、彼は二重丸をつけられるほどの完璧な結果を残しましたね。
彼はザンビア戦では、試合終了間際に決勝ゴールを決めましたが、本当に凄いゴールでした。
パスを出した青山さん共々、ワールドクラスのプレイでしたよ。
2人は、一緒にプレイした経験は今までぜんぜん無かったのではないかと思うのですが、何年も同じチームでやっているかのような噛み合いぶりには、非常に驚きました。
次に感じたのは、『西川さん、酒井宏樹さん、柿谷さんが、緊張のため動きが鈍かった』ことです。
W杯を前にして、かなりプレッシャーを感じているようです。
こういう選手が出てくるのは自然な事だし、スタッフや経験の豊富な選手がサポートしてあげる事が大切です。
GKについては、私は川島さんよりも西川さんの方が総合力では上だと思っているのですが、ザンビア戦を見て「西川さんは、緊張のため実力を出し切れない可能性がある」と思いました。
初戦のコートジボワール戦は、川島さんで決まりでしょう。
森重さんのオーバーラップ→意表をついた切りかえし→絶妙なラストパス→本田さんのシュート、という日本の3点目は、とても美しかったです。
森重さんは、若さに似合わない落ち着きがあり、私は高く評価しています。
森重さんと山口さんは、日本代表に定着してから日が浅いし、まだ若手の年齢なのに、もの凄い落ち着きがありますねー。
性格なのでしょうが、きつい局面でもまったく動揺せず、冷静な判断を下せます。
この2人は、W杯でも安定したプレイを見せてくれるでしょう。
けが人だった長谷部さん、酒井高徳さんも、調子を上げてきているようですし、全員が出られる状態でW杯を迎えられそうです。
前回の記事でも書きましたが、今の代表は粒が揃っているので、スタメンを固定せずに、調子の良い人を起用していくのが良いと思います。
私は、グループリーグは問題なく突破できると見ています。
もちろん油断は禁物ですが、日本は実力を出せれば3勝の可能性も十分にあると考えています。
2連勝したら、無理に3勝目を狙う必要はないですけどね。
コロンビアのファルカオ選手がケガで出られないのは、日本にとってはすごく助かりますよ。
ファルカオさんには申し訳ないですけど。
彼は1人で点を取れるスーパーなプレイヤーなので、いると本当にやっかいなんです。
日本の守備について言うと、3つの弱点が以前からあります。
① 鋭いカウンター攻撃を食らうと、シュートまで持ち込まれる事が多い
② 相手のセットプレイに対処しきれない(特にヘディングの競り合いで分が悪い)
③ 疲れてくると守備が甘くなり、相手にフリーな状態でペナルティエリア外からのミドルシュートを打たせてしまう
日本の失点の多くは、この3つから生じています。
これは、今の日本代表のサッカースタイルだと仕方ない部分もあり、改善するのは容易ではないです。
とりあえず、この失点パターンをしっかりと頭に入れておけば、ピンチを未然に防ぐことに繋がるので、これを意識しておくのが大切ですね。
最後になりますが、参加する選手たちには、とにかく楽しんでもらいたいですねー。
ほとんどの選手にとっては、1度きりの大会ですから。
W杯に何回も出られる選手なんて、ほんの一握りです。
日本代表は、悔いの残らないように、自分らしいサッカーを貫いてほしいです。
その方が、必ず結果もついてきますよ。