志位さんがいま輝いている
国会での質問がハンパなく鋭い①
(2015.6.5.)

安倍内閣の提出した安保法案の国会審議が、いま続いています。

この法案は明らかに憲法違反だし、国民(特に自衛隊員)を危険にさらすものです。

(ちなみに今日の新聞には、『衆院の憲法審査会に呼ばれた憲法学者3人は、全員が「この安保法案は憲法違反である」との意見を述べた」と出ています。
当然の論理・憲法解釈なのですが、しっかりと真実を言ってくれた3人には感謝の念で一杯です。)

どの角度から見ても問題が大有りの法案なので、私は普段はあまり見ない国会中継も見ています。

そうしたところ、日本共産党の志位さんが素晴らしい質問を連発していました。

志位さんの質問や展開する論理の鋭さはかつてないほどで、安倍首相らに完勝しています。
サッカーでいうと、ハットトリックを決めるほどの大活躍なのです。

私は何度も志位さんの国会質問を見てきましたが、ここまでの内容ではありませんでした。
急激にもの凄い進化を見せています。

正直言って、びっくり仰天しました。後光が差している様に見えるほどの圧倒的な存在感だったからです。

ところが、我が家が取る毎日新聞では、彼の質問(論争)には全くといっていいほど触れていません。
民主や維新の質問ばかり扱っているのです。

(東京新聞も取っているのですが、それには多少は載っていました)

これには驚きましたよ。
サッカーの試合内容を記事にするのに、ハットトリックをした選手を無視して、他の選手の事だけを取り上げるようなものだからです。

私はこれを見た時に、「大手紙を見ているだけだと、とんでもない勘違いに導かれる可能性がある」と寒気を覚えました。

「ジャーナリストとは、この程度のセンスなのか」とも思いました。

志位さんの国会質問は、国民の皆が知るべき優れた内容です。
そこで、ここで紹介したいと思います。

○ 5月28日の志位和夫(日本共産党)の国会質問

志位

政府が提出した『PKO法(国連平和協力法)の改定法案』には、重大な問題があります。

この法改定は、国連が統括しないPKOとは関係ない活動にも、自衛隊を派遣しようとするものです。

そして、『形式上では停戦合意が成立しているが、まだ混乱が続いている場所』に、派兵して治安活動をさせる内容です。

PKO法の改定案の内容 (志位さんはこれをパネルで提示)

① 国連が統括しない活動への参加を認める

② 安全確保業務と駆けつけ警護を追加する

③ 自己の防衛のためだけではなく、任務遂行のための
  武器使用を認める

安倍総理。
この法案が通ったら、アフガニスタンで行われた治安維持活動「アイサク」に参加が可能になるのではないですか?

(アイサクについてネットで検索したところ、出てきません。
 ISAF(アイサフ)というNATOがアフガンで行う
 治安維持活動のことを言っていると思われます。)

安倍晋三・首相

安全確保業務では、『参加5原則』が満たされる事が条件です。

5原則とは、「停戦合意」「領域国および紛争当事者の受け入れ合意」「中立的な立場の厳守」「条件が満たされなければ撤収が可能」です。

(※ あと1つの原則は、安倍さんの答弁では分かりませんでした)

もちろん、掃討作戦などの活動はしないし、戦闘に参加はできません。

志位

私は、「アイサク(アイサフ)のような活動に参加できるようになるのか?」と訊いたのです。

総理は「参加は出来ない」とはおっしゃいません。

アイサクは治安維持を主任務にしていましたが、2002~14年の活動中に、約3500名が死亡しています。

ドイツは、湾岸戦争後に憲法解釈を変えて、NATO域外での軍事活動を認め、アフガン戦争では米軍の後方支援をしてアイサクに参加しました。

ドイツ軍は、比較的安全だった北部で活動をしていましたが、タリバンが攻めてきたために第二次大戦後に初めての陸上での戦闘をしました。

そしてその後、ドイツは任務遂行のための武器使用を認めました。

ドイツ軍の発表では、アフガンに派遣されたドイツ兵は、帰国後のPTSD(心的外傷後のストレス障害)による自殺者も含めて、55人が死亡しています。

(ISAFのドイツ死者数は、2015年4月時点で54人になっている)

このうち35人は戦死しています。

ドイツのドキュメンタリー番組では、「ほとんど毎週のように銃撃の応酬になった。ドイツ軍が殺した敵の戦闘員やアフガン市民は、おそらく数百人に上る。」と報じています。

安倍政権の政策を進めるとどうなるかを、アフガンにいたドイツ軍が示しているのではないですか?

ドイツは、憲法解釈を変更してNATO域外へ出て行き、平和貢献とか治安維持のつもりだったが戦闘となり、武器の使用基準を緩めた。

この結果、活動は戦争と変わらないものになり、多数の戦死者をつくった。

安倍総理、安全確保業務(治安維持活動)を認めたら、自衛隊はドイツ軍と同じになるんじゃないですか?

安倍

停戦合意が前提なんです。
志位さんの言う状況は、5原則に当てはまらないです。

そもそも、任務遂行型の武器使用はできますが、正当防衛または緊急避難に限られます。

志位

ドイツ軍だって、最初は治安維持と復興支援から始まったのです。
しかし最後には、多数の戦死者を出すようになった。

「安全確保業務」と言いますがね、内容は生易しいものじゃないですよ。

重要施設の警護、検問所を設置しての検査、巡回パトロール。

どれも戦闘に至る可能性があります。

アフガンに行ったドイツ兵は、パトロール中に狙撃されて銃撃戦になり死ぬ兵士が多かった。

この問題では、自衛隊員が殺される危険だけではなく、自衛隊員が一般市民を殺す危険性も深刻です。

ドイツ軍の場合、2008年8月にはドイツ兵が市民3人を殺害する事件を起こし、09年9月には米軍にタンクローリーの空爆を要請して誤爆となり140人超が殺されました。

ですから、停戦合意があっても混乱が続くアフガンのような地域には、自衛隊の派遣はしてはいけません。
憲法9条にも違反しています。

次に進みますが、安倍政権は集団的自衛権の行使を容認し、武力攻撃事態法や自衛隊法の改定などでそれを可能にしようとしています。

ここでの最大の問題は、集団的自衛権の発動条件である『武力行使の新3要件』について、「要件を満たしているかどうかが、時の政権の裁量に任されていること」です。

具体的に質していきたいと思います。

アメリカが先制攻撃を行った場合でも、新3要件を満たしていると判断すれば、集団的自衛権を行使する可能性はありますか?

安倍

新3要件を満たすかは、事態の状況に即して、政府が客観的かつ合理的に判断します。

同時に、ある国が武力攻撃を受けていないのに違法な武力行使を行うことは、国際法上で認められていませんから、日本がそれを支援する事はありません。

志位

私が訊いたのは「ある国」じゃないんです。
「アメリカ」です。

安倍

当然ながら、全ての国が対象です。

志位

アメリカは違法な先制攻撃をしない国と認識していますか?

安倍

答弁は差し控えます。

志位

息子ブッシュ政権は、2002年の安全保障政策で、次のように述べています。

「アメリカは長い間、先制行動という選択肢を保持してきた。
 たとえ不確実性があっても、必要とあらば先制的に行動する。」

むき出しの先制攻撃論の宣言です。

オバマ政権の2015年の安全保障戦略でも、こう述べています。

「我々は、我々の核心的な利益に対しては、一方的に行動する。
 我々や同盟国が危機にさらされたら、必要ならば一方的に軍事力を行使する。」

アメリカは今でも、先制攻撃論を継続しています。

総理、アメリカは一貫して先制攻撃を国家の基本戦略にしています。
この認識はないのですか?

(安倍首相は答えずに、岸田・外務大臣が答弁に立つ)

岸田

ご指摘の戦略は発表されていますが、日本が武力行使をするのは『新3要件』に該当した時のみです。

我が国が国際法に違反した行為を支援する事は、あり得ません。

(安倍首相も答弁する)

安倍

他国の安全保障政策を論評するのは、差し控えます。

国際法に反する武力行使には、日本が協力する事は無いです。

志位

アメリカは、国際法を踏みにじって数多くの先制攻撃の戦争をしてきました。

アメリカが行った「1983年のグレナダ侵略」「1986年のリビア爆撃」「1989年のパナマ侵略」は、国連が非難決議の採択をしています。

グレナダ侵略の非難決議は、賛成108、反対9、棄権27。
日本は棄権でした。

リビア爆撃の非難決議は、 賛成79、反対28、棄権33。
日本は反対でした。

パナマ侵略の非難決議は、 賛成75、反対20、棄権39。
日本は反対でした。

この3回とも、国連は「アメリカは国際法違反」と採決したのです。

外務大臣にお訊ねします。
日本はこの時、棄権もしくは反対をした。間違いないですね?

岸田

間違いありません。

日本政府は、グレナダ侵略では「遺憾の意」を表明しました。

リビア爆撃では、「事態の推移を見守る」と表明しました。

パナマ侵略では、「遺憾の意」を表明しました。

志位

当時に出した政府見解は、次のものでした。

グレナダ侵略時は、「アメリカの派兵は遺憾である。他方、米国の行動は米国人の安全保障などの需要があったと理解している」。

パナマ侵略では、「米軍がパナマにおいて武力を行使して多くの死傷者を出したのは遺憾であるが、同時に、米国が自国民を保護するために軍事力を使ったのは理解する」。

両方とも、政府声明の結論は「理解」なんですよ。

アメリカの軍事行動に対して、「理解する」で終わっているのです。

外務大臣、ちゃんと全部を読まないとダメですよ。

アメリカは他にも、数多くの先制攻撃を実行してきました。

しかし、日本が国連に加盟してから今日までに、アメリカの武力行使に対して「国際法に違反する」と反対した事はありません。

全部について、賛成・支持もしくは理解をしてきた。

こんな異常なアメリカへの無条件の追随をする国は、世界の主要国で他にありませんよ。

総理は「国際法に違反する武力行使をする国は、支援しない」と言うが、ただの1度もアメリカに反対してこなかった日本政府の言葉を、誰が信用できますか?

安倍

例に挙がった3回については、理解は表明していますが、支持はしていません。

ですから、この場合には集団的自衛権としてアメリカ軍を支援することはありません。

志位

重要なことは、『1度もきちんと反対していないこと』なんです。

アメリカの戦争に反対を表明できない国(歴代の自民党政権)。
この安保法案が通ったら、アメリカの言うままに集団的自衛権を行使するのは明瞭です。

※ まだまだ質問は続くのですが、かなりの長文になったので2回に分ける事にします。

続きはこちらです。


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