昨日(7月2日)に、なでしこジャパンはW杯の第6戦目となる「対イングランド」の試合をしました。
これは、W杯の準決勝の1つです。
今大会で1番苦しい試合でしたね。
イングランドはとても日本を研究しており、ロングボールをペナルティエリア内に放り込むというパワープレイを90分を通して行いました。
前線からの守備も徹底していて、日本にゲームの組み立てをさせない闘い方でした。
日本は、相手の術中にはまったと言っていいでしょう。
個々人のテクニックや経験ではイングランドを圧倒しているのに、互角の試合になったからです。
90分を通してギリギリの攻防が続き、私は残り10分の時点で「内容では五分五分だ、延長戦に入るだろう。日本選手の方が体力は残っているので、延長戦では日本が押すだろう。」と感じていました。
結果としては、後半のロスタイム中に相手がミスをしてオウンゴールしてしまい、劇的なかたちで日本は勝利しました。
あれは、おいしい勝ち方でしたねえ。
この試合では、ペナルティエリアの外で有吉さんがファウルを受けたのにPKを得て、大儀見さんの動きはファウルじゃなかったのにPKを取られてしまい、最後は自殺点で試合が決着しました。
冷静に見ると、グダグダでしたよ。
私は思うのですが、女子サッカーはまだ審判のレベルが低くて、誤審が多いです。
時間が経てばレベルが上がって自然に解決していくと思いますが、現状を考えると『日本が女子審判を育成していけば、W杯や五輪の決勝を吹く人を何人も輩出できる』気がします。
日本人は真面目できっちりした仕事が好きだから、審判に向いていると思います。
だから、世界一の審判が日本から出てきても不思議はない。
イングランド戦について、試合後に佐々木監督は「選手に疲労があって、いつもの動きではなかった」と言いました。
全くその通りだと思います。
選手達の動きは、今までよりもにぶかったです。
本調子でなくても勝つのだから、大したものです。
でも、次のアメリカ戦では、この出来では負けるのが確実です。
決勝戦は『日本対アメリカ』となり、前回W杯、ロンドン五輪に続いて、ビッグな大会では3回連続で決勝はこのカードになりました。
これを見ると、世界ランキングとは別の次元で、日本とアメリカが女子サッカーでは傑出しているのでしょう。
私は前回の記事(6月29日の記事)の追記で、「アメリカは調子を上げている、おそらくドイツに勝って決勝に進む」と指摘しました。
で、予想通りアメリカが勝ちました。
アメリカ対ドイツを観ましたが、『アメリカはさらに調子を上げていて、とんでもなく良いサッカーをしていました』。
アメリカは、大会当初はぴりっとしなかったが、グングンと調子を上げています。
あのドイツを相手に、完勝と言えるほどの横綱相撲ぶりでした。
はっきり言って、『やばい位に、強い』です。
準々決勝と準決勝を見る限りでは、日本とアメリカの実力差は大きい。
正直に言いましょう。
アメリカの力を100とすると、日本は93です。
普通に闘ったら、まず間違いなくアメリカが勝ちます。
残念な事ですが、そうなのだから仕方ない。
私は心底から驚いているのですが、アメリカ選手はどの選手もトラップやドリブルがとても上手くて、足元のテクニックがはんぱじゃないです。
日本よりも上で、世界ナンバーワンです。
この部分を、アメリカはすごく磨いてきたようです。
選手同士の連係や距離感も良くて、パスが(特にショートパスが)次々と繋がります。
さらには、フィジカルが強くて当たり負けせず、90分間ずっと動けるスタミナまで持っています。
「日本が上回っているのは、組織力(皆で支えあう、チームの結束力)しかない」と思うほどに、アメリカの能力は凄い。
以前から強かったが、『身体の奥底から湧き上がってくる気迫』みたいな熱いオーラが出ており、王者の風格が漂っています。
私が思うに、日本は決勝戦で今までに見せた事がないほどのスーパープレイを出さないと、アメリカが自滅する(退場者が出るなど)以外に勝つ見込みはない。
相撲でいうと、アメリカは白鵬で、日本は稀勢の里です。
そのくらいに、サッカーの内容に差があると思う。
決勝戦で鍵となるのは、『中盤でどちらがボールを保持できるか』だと思います。
今のアメリカは、中盤で細かくパスを繋ぐスタイルで、そこでパスを回しておいて隙を見つけると一気に攻めてきます。
そのパス回しは、高いテクニックに裏付けられた美しいもので、女子では世界最高レベルです。
日本もパスを回して崩していくスタイルなので、中盤では激しい闘いとなる。
そこで負けると、押し込まれる展開になるし、アメリカは決定力があるので押し込まれたら耐え続けるのは不可能です。
パスを繋いでボールを保持できたら(ボール・ポゼッション率を上げていけば)、アメリカは自分達のサッカーができないので焦り出すと思う。
この展開に持ち込めば、日本に勝機が出てくる。
アメリカは寄せが速いので、今まで日本がしてきたパス回しのスピードでは通用せず、ボールを奪われてしまいます。
『今までよりも素早いパス回しをやり続ける(すごく良いポジショニングを皆がとり続ける)』、これを出来るかが、日本の勝敗を分けると考えます。
もしかしたら、アメリカはイングランドのように、日本対策としてロングパスを多用してくるかもしれない。
その場合、それは本来のアメリカの闘い方ではないので、耐えていればアメリカは焦って自分を見失うと思う。
おそらく、アメリカの方が強いことは、佐々木監督は分かっていると思う。
彼のここまでの働きを見ると、奇策を何回も用いている。
どんな手を使うのか楽しみにしていますよ。