本日の0時30分から、なでしこジャパンの対オランダの親善試合がありました。
眠いのをこらえながら、その試合を観ました。
代表のスケジュールを見ると、来年の2月末にはオリンピックの最終予選があり、それまでは試合がありません。
だから、オリンピックに向けた強化の方向を、もう決めないといけないです。
しかし、オランダ戦をみた限りでは、まだ方向が固まっていないです。
対オランダ戦の感想をさっと短く書き、その後は『オリンピックに向けた強化』について具体的な提言をしたいと思います。
まずオランダ戦ですが、前半は、W杯で活躍したメンバーが数多く出場しました。
しかし0対2で折り返すことになった。
後半は、佐々木監督が期待している若手の選手を投入しましたが、連係が極めて悪かったです。
現状のなでしこジャパンは、今まで活躍してきた選手をピッチに集めれば、安定した闘いをするし連係も良いが、マンネリ感があり爆発力がない。
若手を大量に投入すると、活気は出るが、連係力の不足となります。
正直な話、女子代表は、男子代表よりも集まる機会が少ないです。
だから、チーム作りが難しいです。
女子には素晴らしい才能を持った若い選手がたくさんいます。
男子とは、そこが根本的に違います。
磨けば輝きそうな選手は多いですが、代表で実力を出せるように戦術や連係を学ぶ時間がありません。
すごく残念な状況です。
なでしこリーグで活躍している調子の良い選手にチャンスを与えるのは、とても正しいと思います。
代表での経験が少ない選手を活かすためには、連係を高める必要があります。
そのためには、もっと練習時間を増やさなければならない。
正直、オリンピックの最終予選は、楽に勝てるものではないです。
だから、絶対に、事前に長期の合宿をした方がいいです。
皇后杯が終わったら、代表合宿をスタートさせて、連係を高めましょう。
ここからは、代表で活躍できると考える選手を挙げ、どのポジションで使えばいいかも書きます。
この記事を読む方には、「お前が何でそこまで口を出そうとする? 何を根拠に女子代表の選手選考やポジションまで提言できるのか」と思う人もいるかもしれません。
だが、私には自信があります。
少し古い話になりますが、私は4月7日の日記にてなでしこジャパンを取り上げ、「『川村、清家、阪口、柴田、澤の5人』が、なでしこリーグを観る中で感銘を受けた選手だ」と書きました。
あれから時が経ち、今シーズンのなでしこリーグは終了しましたが、上記の5人のうち、阪口はリーグMVPとなり、川村と柴田はベストイレブンに入り、清家は新人賞を取りました。
澤さんも、賞は取らなかったが、相変わらず素晴らしいプレイをしています。
この結果を見て、「俺の目に狂いはなかった」と自信を深めました。
もともとサッカーに限らず、「自分は才能を見抜く力に優れている」と思っていましたが、日記で色々と書く中でそれは確信になってきました。
なので今回は、中心に据えるべき選手など、女子代表の全体像について、大胆に書いちゃいます。
まず、これから数年の女子代表で中心に据える選手なのですが、阪口と川村に決定しましょう。
最近のなでしこリーグで、最も活躍している選手が、この2人です。
リーグ優勝した日テレ・ベレーザの要が阪口さん、2位になったベガルタ仙台の要が川村さんで、圧倒的な存在感を見せています。
この2人は、攻守の両面で素晴らしく、プレイに抜群の安定感があります。
サッカー・センスに優れていて、状況判断の能力で信頼できます。
だから、連係を高める練習にあたっては、『ボランチのレギュラーに阪口と川村を使い、この2人の連係を高めること』を最優先にする事を薦めます。
私の見るところ、今の日本で最高の選手は、阪口、川村、大儀見、の3人です。
この3人は、世界のベストイレブンにいつでも入れる位に、いま輝いています。
私は、阪口+川村のダブルボランチは、現状では「世界最高のボランチコンビ」だと考えています。
これ以上の才能を持ったコンビは、他の国には用意できないです。
残念ながら、現状では2人の連係はあまり良くないです。
ここを強化すれば、なでしこジャパンは一気に飛躍するでしょう。
攻守の要であるボランチに、日本は世界最高レベルの阪口と川村がいる。
だから、この2人を起用し、そこを軸に(中心に)チームを作ろう。
阪口+川村のコンビがしっかりと機能したら、オリンピックの金メダルも不可能ではないです。
『この2人の才能が噛み合えば、世界一になれる』、私はW杯後のなでしこリーグを観て、そう確信するようになりました。
2人は共に、大胆な攻撃参加をする事があります。
攻撃センスに溢れているので、それでいいのですが、1人が前線に上がったら、もう1人残らないとまずいです。
2人で協力してスペースを埋めるように、お互いの特徴を把握し、補い合う関係を作りましょう。
私は、有吉の右SB、大儀見のCF、熊谷のCBは、100%の信頼ができます。
何の不満も心配もないです。
阪口、川村、有吉、大儀見、熊谷の5人は、スタメンが確定でいいと思います。
彼女たちの能力には、全幅の信頼を置いています。
現状だと、左SBとGKが、弱点になっています。
スタメンがいつも確定していない(コロコロ変わる)のは、それを顕著に示しています。
宇津木さんは、ボランチで使われる事が多いのですが、ボランチには上記の凄い2人がいるし、バックアッパーで澤さんと宮間さんも用意できます。
だから、宇津木さんは左SBに固定していいです。
最近は鮫島さんが、あまりなでしこリーグの試合に出ていません。
オランダ戦でも、彼女は左SBでスタメン出場しましたが、失点に繋がるミスをしました。
調子が上がらないならば、オリンピックの最終予選では彼女をメンバーから外すのも手だと思います。
左SBは宇津木さんがファーストチョイスでいい。
GKでは、私は山根さんがどうしても信じられないのです。
以前よりもはるかに良くなったが、まだ安心して観ていられないです。
海堀さんも、たまに大ミスをするので、信頼しきれないです。
彼女は、なでしこリーグでも、えらく集中力を欠く日があります。
残念ながら、「この人にしよう」と推せるGKはいません。
実は、浦和にいるGKが、しなやかな動きをするので気にいってます。
たぶん、池田咲紀子さんだと思います。
浦和の試合を見たときに、「おっ! 浦和のGKは、日本の女子GKでは珍しく身体の動きが滑らかで柔らかいな」と感心しました。
いま男子代表で正GKをしている西川さんみたいな、力みのない自然な身体の動きをしていたのです。
気になったので、その時は名前を覚えたのですが、忘れてしまいました。
ネットで調べたところ、ほとんどの試合に出ているのは池田さんなので、彼女だったのだと思います。
「浦和のGKが良いよ」と推したい気持ちはあるのですが、今シーズンの浦和は成績がいまいちで失点が多いし、もう少し情報も得たいです。
だから、今は出来ません。
CBは、やっぱり熊谷さんと岩清水さんが一番です。
私は、以前から岩清水さんがたまに見せるとんでもないミスを懸念していましたが、残念ながらW杯の決勝でそれが出ました。
岩清水さんは100%の信頼はできないのですが、最近は好調だし、彼女を選択するのがベストでしょう。
オランダ戦では、岩清水さんが負傷欠場していたので、長船さんがスタメンに選ばれました。
しかし、私は彼女をあまり評価していません。
なぜなら、気迫を見せる事がないからです。
プレイが消極的で受け身のため、強豪国と本気の試合をしたらやられてしまうと思います。
私が注目しているのは、ベレーザで岩清水さんとコンビを組んでいる「村松さん」です。
なでしこリーグで活躍し、今期のベストイレブンにも選ばれました。
彼女は東アジアカップで初めて代表試合に出て、ミスを連発しました。
でも、なでしこリーグでのプレイを見ていて、「またチャンスを与えるだけの価値のある選手だ」と感じています。
読みが良いし、1対1でも強いです。
岩清水さんとなら、チームメイトなので連係面で全く問題ないはず。
サイドMFは、川澄、増矢、柴田、鮫島、が良いです。
この4人は、1対1での突破力があるし、パスの精度は高く、守備もさぼらないので、安心して任せられます。
川澄さんと鮫島さんは、所属しているINAC神戸では最近はスタメンから落ちがちです。
でも川澄さんは、出てくるといつも良い動きをしているし、コンディションに問題はないです。
一方、鮫島さんはどうも覇気がない。そこは気になります。
増矢さんと柴田さんは、ボール・コントロールの技術が高くて、ドリブルでは日本トップクラス。
さらに、守備でも頑張れる人です。
代表の合宿でチームメイトと連係を高めれば、重要な試合でも結果を出せるでしょう。
サイドMFでは、あともう1人、木龍さんも攻撃力は素晴らしいです。
彼女は代表に呼ばれていた時期もありましたが、最近は所属チームで控えに定着しています。
くすぶり続ける姿は、見ていてつらい。
良いものを持っているので、チャンスをもらえる(試合に出してくれる)チームに移籍するのも手だと思っています。
宮間さんは、今まで左サイドMFを任される事も多かったですが、最近は縦への突破力がなく、やや物足りないです。
彼女は、ボランチのバックアッパーか、トップ下で使うほうが良いと思います。
トップ下は、ボールをキープして味方に繋いだり、前を向いて勝負するのが重要なのですが、宮間さんは屈強なDFを相手にするとそれができない事があります。
「私は厳しい寄せにも負けない。ボールをキープし素晴らしい攻撃力を発揮してみせる。信じて欲しい!」と宮間さんが言うなら、彼女をトップ下にすると良いです。
トップ下(シャドーストライカー)は、本当は阪口さんがベストです。
彼女は、キープ力があり、視野が広くてパスセンスは素晴らしい。
スペースを見つけて入るのが上手いし、隙を見てシュートを打つ能力も高いです。
だが、彼女はボランチで使います。
川村とコンビを組ませて、チームの核にする。
最前線にいる大儀見さんのボールキープ力は、世界で完全に通用しています。
オランダ戦でも、ペナルティ・エリア内で受ける時ですら、ボールをしっかりとキープしていました。
ボランチの阪口と川村も、ボールキープ能力は凄いです。
だから、トップ下にキープ力のある選手がいれば、中央エリアのどこでもボールを保持できる状態に持っていけます。
中央でタメを作れれば、サイドの選手が活きてくる。
サイドの選手は安心して攻撃的なポジションに移動できます。
私は、CFもしくはトップ下(シャドーストライカー)の候補として、「清家さん」を考えていました。
彼女は最近は身体が太くなり、当たり負けしなくなってきました。
サッカー・センスとテクニックは抜群なので、身体ができればもう怖いものはありません。
「清家の成長ぶりを考えれば、そろそろ代表入りするな」と見ていたのですが、何と彼女は最近、練習中に十字靭帯断裂の大怪我をしてしまったのです。
私が20歳前後の選手で最も期待をかけていた清家、京川、柴田の3人のうち、清家と京川が怪我をしてしまった。
とてもショックを受けましたよ。
身体がしっかりと完成する23歳くらいまでは、才能に溢れる選手でもあまり起用しないほうが(試合に出しすぎないほうが)良いのだろうか。
女子の場合、10代の選手の大怪我が多いと思います。
清家、君は天才なんだから、必ず復帰してこいよ。
私は、君の才能を信じています。
話をトップ下(シャドーストライカー)に戻すと、残念ながら「この人なら大丈夫」と私が確信できる人は、阪口しかいません。
現状だと、宮間、上尾野辺、田中美南が候補者だと思いますが、宮間と上尾野辺はフィジカル面で、田中はパスセンスで物足りないです。
だからこそ2トップが現実的な形(よく使われる形)になっているのですが、大儀見さんは1トップの方が輝く人と見ています。
左右にスペースを与えておくほうが、彼女は活き活きとプレイしていると思います。
彼女のポストプレイは進化し続けてきて、完全に信頼できます。
だから、彼女に自由を与えて大胆に動かし、色んな場所でボールを受けさせる。そして、そこに周りの選手が絡んでいけば、攻撃のパターンが多彩になるはずです。
トップ下にクオリティの高い選手がいれば、大儀見さんと連係して(サポートに行ったり、空いたスペースに入り込んだりして)予測不能の攻撃が作れると思うのです。
そこにサイドMFやボランチが絡んでいけば、どのチームも止められません。
大儀見さんは、以前よりも格段にボールキープやパスが上手くなりましたね。
オランダ戦で最も驚いたのは、彼女のボールタッチの良さと、パス能力の向上ぶりでした。
あのフィジカルの強さとパス能力があれば、トップ下もこなせるでしょう。
でも、彼女は日本でいちばん得点能力が高いので、最もゴールに近い位置に置きたいです。
オランダ戦では、大儀見さんは大胆に下がってくる時もありました。
そこでパスを受けて、良いセンスで繋いでくれたのですが、やはりもっと前に居てほしい。
彼女はテクニックが以前とは別次元に進化しています。
だからこそ、最前線に居て、相手DFの嫌がる所に動いてほしい。
オランダ戦では後半になってから、菅澤さんを投入して最前線に置きました。
でも、ポストプレイができなかったです。
ここまで大儀見さんが進化した以上、最前線には彼女を置くしかないです。
そこに、トップ下(あるいはもう一人のFW)が絡んでいけばいい。
大儀見さんは自由に動いていいですが、あまり下がりすぎないようにする。
常にシュートを狙える動きをし、相手DFを引きつける。
そしてシュートを打ったり、フリーの味方にパスしたりするのです。
彼女の動きを見て、少し後ろにいる相棒は、空いたスペースに飛び込んだり面白い動きをしていく。
トップ下(シャドーストライカー)に能力の高い選手が現れれば、なでしこジャパンの攻撃力は一気に爆発するはず。
登場が待たれます。
書いてきたように、CFは大儀見さんがベストです。
彼女は本当に凄いFWですが、長く一緒にプレイした選手とじゃないと、連係が悪いですね。
新しい選手と組ませると、フィットするのに時間がかかります。
そこが唯一の弱点です。
大儀見さんのバックアッパー(もしくはCFの相棒)は、田中さんと菅澤さんかなあ。
清家さんは負傷中だから。
大儀見さんは、スピードのある、裏への抜け出しなど空いたスペースに入るのが上手いFWと相性が良いです。
それを考えると、田中さんの方が合う可能性は高いです。
W杯で活躍した大野さんは、最近は疲労がたまっているのか、動きにキレがありません。
ここまで、各ポジションについて、良いと思う選手を書きました。
この選手たちの連係を高めていけば、オリンピックでも十分な成績を出せるはず。
あと他に挙げるならば、澤さんは調子を落としていないので、呼んだほうがいいと思います。
W杯で頑張った岩渕さんは、海外リーグにいるので現状は知りません。
なでしこリーグのベストイレブンに入った原菜摘子さんは、地味ながら良い働きをしてくれる選手ですね。
味方のサポートが上手い。
原さんは、とても化粧が濃い。そこで異彩を放つ人物です。
プレイ内容よりも厚化粧の印象が残ってしまうほどで、あれで損をしている気がします。
なでしこジャパンがしてきたサッカー・スタイルは、研究されてきているとはいえ、変える必要はないと思います。
研究されても勝てる位じゃないと、世界一にはなれません。
今年のW杯において、なでしこジャパンは美しいパスワークをしたために、世界から「女版のバルセロナ」と呼ばれました。
『私の提案』のページにて「日本サッカー界の皆さん、ペップのバルサを目指し続けましょう」と提案していた私は、これを知った時、心から誇りに思いましたよ。
美しく魅力的なサッカーをして、勝つ。
これを実践しているのだから、変える必要はないでしょう。
戦術では、4-3-3(4-1-2-3)を採用して、川村をアンカーに置き、右MFに阪口、左MFに宮間を置くこともできると思います。
こうすれば、中盤での展開力は上がるかもしれません。
でも、川村と阪口は所属チームではボランチで出ているし、その出来は世界最高レベルです。
そしてなでしこジャパンは、ダブルボランチを基本にしてきました。
それに、日本のCBは強さと高さに弱点があるので、ダブルボランチにして(中央エリアで下がり目のMFを2枚にして)サポートするほうがいいです。
4-3-3だと、FWの3枚は攻撃に特化する感じになりますが、日本女子は攻守の分業に慣れていない気がします。
なでしこリーグを観ると、全員が協力して攻撃も守備もするスタイルが、主流です。
4-2-3-1などの1トップにすると、最前線の大儀見さんが孤立して苦しみがちになります。
でも、彼女はハートが強いので、それに耐えられます。
逆に言うと、菅澤さんと田中さんは、1人で(時にはファウルをもらいながら)ボールをキープし続ける事が、まだ困難な感じです。
救援がこない状況でも、諦めずに闘い続けられる大儀見さんは、凄いとしか言いようがないです。
男子でも、ここまで根性のある選手は、日本にはいないです。
1トップの陣形は、大儀見さんが居て成立するシステムとも言えます。
彼女が負傷離脱したら、現状だと2トップの選択肢しかないかも。
でも結局のところ、試合中にはポジション・チェンジする場面もでてくるし、相手がリードしていたら陣形を崩して(変更して)攻める事も必要になります。
陣形よりも、連係力で助け合いスペースを埋めていく事の方が重要ですねー。
そうやって、なでしこジャパンは結果を出してきたのだから。